この記事では介護保険の保険者について解説しています。
40歳になると介護保険制度に加入することになりますが、介護保険に加入している方は被保険者と呼ばれ、様々な介護サービスを利用することができます。
その被保険者とは対極的な存在である保険者についてはご存知ですか?
この記事では介護保険の保険者について解説していきますので、興味のある方は是非ご覧ください。
介護保険には保険者と被保険者がいる
介護保険制度は主に保険者と被保険者、そして介護サービス事業者によって成り立っています。
介護保険の保険者とは
介護保険の保険者とは、全国各地の市町村と特別区(東京23区)のことを指します。
保険者はその地域に居住している40歳以上の方を被保険者とし、介護保険料の支払いを受けます。
また、被保険者である方が介護保険が必要であると認められた場合には、利用者に応じた介護保険のサービスの給付を行います。
介護保険の被保険者とは
介護保険の被保険者とは、40歳以上の方すべてのことを指します。
39歳以下の方は介護保険料を支払っていないので被保険者ではありません。
この被保険者は年齢によって第一号被保険者(65歳以上)と第二号被保険者(40歳~64歳)に別れています。
[第一号被保険者]
65歳以上の方は第一号被保険者となり、介護が必要になった場合には要介護認定の申請をし、介護が必要であると認められた場合には介護保険のサービスを利用することができます。
[第二号被保険者]
40歳~64歳の方は第二号被保険者となります。
第二号被保険者は第一号被保険者のように要介護認定を受けると介護保険のサービスを利用することができるわけではなく、特定疾病と呼ばれる16種類の病気であると認められた場合のみ介護保険のサービスを利用することが可能になります。16種類の特定疾病は以下の通りです。
- がん(がん末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護保険の保険者の大きな役割
保険者は被保険者に対して介護保険のサービスや費用の給付を行う運営主体で、大きな役割を担っています。
要介護認定の判定
保険者は被保険者が要介護認定の申請を行った際に、「本当に介護が必要なのか」「介護保険の給付対象になるのか」「必要になる介護の程度はどのくらいのものなのか」ということを判定するための審査を行います。
この審査を要介護認定といい、全国各地の市町村や特別区に設置される介護認定審査会において判定されます。
判定の結果は30日以内に郵送にて通知され「要介護1~5、要支援1・2、非該当」のいずれかの認定区分に分類されます。
「要介護・要支援」のかたは所得に応じて1~3割の自己負担で介護保険サービスを利用することが可能になります。
非該当など要介護認定の判定に不満がある場合は、通知を受け取った翌日から60日以内なら都道府県ごとに設置されている介護保険審査会に不服申し立てを行うことができます。
保険給付金の支給
保険者は被保険者が介護保険サービスを利用する際にサービスにかかった費用の9~7割を介護サービスを提供した事業所へ介護保険給付金として支給します。
サービスにかかった残りの1~3割は被保険者の自己負担分となり、所得に応じて支払うことになります。
この給付金には3つの種類があり、「予防給付」「介護給付」「市町村特別給付」に分けられます。
「予防給付」は要支援1・2の方が対象となっており、内容は以下のようになっています。
- 介護予防サービス費
- 地域密着型介護予防サービス費
- 介護予防福祉用具購入費
- 介護予防住宅改修費
- 介護予防サービス計画費
- 高額介護予防サービス費
- 特定入所者介護予防サービス費
「介護給付」は要介護1~5の方が対象となっており、内容は以下のようになっています。
- 介護給付
- 居宅介護サービス費
- 地域密着型介護サービス費
- 居宅介護福祉用具購入費
- 居宅介護住宅改修費
- 居宅介護サービス計画
- 高額介護サービス費
- 特定入所者介護サービス費
「市町村特別給付」は市町村が独自に行っているサービスで、サービス内容は市町村によって異なります。
保険料の徴収
保険者は被保険者から介護保険料の徴収を行います。
[第一号被保険者の場合]
65歳以上の第一号被保険者の方の介護保険料は受け取っている年金の額によって特別徴収か普通徴収に分類されます。
年金を年間18万円有情受け取っている方は特別徴収となり、現在受け取っている年金から天引きされます。
年金の年額が18万円に満たない方は普通徴収となり、口座振替や納付書を利用して収めることになります。
[第二号被保険者の場合]
40歳~64歳までの第二号被保険者の方の介護保険料は現在加入している健康保険や国民健康保険といった医療保険の保険料と一緒に納めることになります。
サラリーマンの方ですと毎月の給料から健康保険料に介護保険料が上乗せされるかたちで天引きされ、自営業の方は国民健康保険と一緒に納めることになります。
まとめ
ここまで介護保険の保険者について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように介護保険の保険者とは各地の市町村と特別区のことであり、被保険者が自分の状況に応じた介護保険サービスを利用することができるように様々な役割を担っています。
介護保険を利用する側の被保険者である我々は、あまり保険者について知る機会がないと思いますので、この機会の保険者について少しでも理解していただけたらと思います。