この記事ではデイサービスとデイケアの違いなどについて解説しています。
介護保険サービスには大きく分けて「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つのサービスがありますが、主に施設への入居が必要となるサービスと入居を必要としないサービスに分けることができます。
今回は居宅サービスの1つである通所サービスに分類されるデイサービスとデイケアについて解説して行くのですが、皆さんはデイサービスとデイケアは何が違うのかということはご存知ですか?
「名前は聞いたことがあるけどサービス内容の違いまではわからない」という方もいらっしゃると思いますので、興味のある方は是非ご覧ください。
デイサービスとは
デイサービスは介護保険サービスでは「通所介護」と呼ばれているサービスで、利用者は日中の一定時間施設に通い、食事・入浴・排泄の介助や健康状態の確認・機能訓練・レクリエーションなどのサービスの提供を受けます。
家に閉じこもりがちになっている高齢者の孤独感の解消や家で介護を行っている利用者の家族の負担軽減などを目的としており、これらの理由で利用されることが多いです。
デイケアとは
デイケアは介護保険サービスでは「通所リハビリテーション」と呼ばれているサービスで、デイサービスと同じく日中の一定時間施設に通い、医療的なケアやリハビリテーションを中心とした介護サービスの提供を受けます。
これらのサービスは理学療法士や作業療法士などの専門スタッフが担当してくれるので、このデイケア(通所リハビリテーション)は医療系介護サービスに分類されています。
専門的なサービスだけではなくデイサービスと同じく、入浴・食事などの介助やレクリエーションなどのサービスも受けることができます。
デイサービスとデイケアの違い
ここではデイサービスとデイケアの様々な違いについて解説していきます。
その①目的の違い
[デイサービスの場合]
デイサービスは前述したように、自宅に引きこもりがちになっている高齢者の外出による孤独感の解消・社会交流の場の提供や自宅で介護を行っている家族の介護による負担を軽減することを目的としています。
社会交流の場として提供されることによって高齢者が安心して外出できるようになり、外出することによって生活のリズムを作ることができる他、気分が晴れるといった効果や認知症の予防・改善といった効果も期待できます。
また、利用者が一緒になって四季折々のレクリエーションを行ったり、趣味活動や娯楽の共有を行ったりすることによって生き甲斐も感じることができます。
さらに、デイサービスを利用することによって家族の介護負担を軽減し、家族に介護から開放される時間を提供します。
[デイケアの場合]
デイケアはデイサービスよりも身体機能の維持回復や生活機能の回復・認知機能の改善などを主な目的としており医師の指導の下、理学療法・作業療法・言語療法などをグループに分かれて行います。
身体機能の維持を目的としたリハビリテーションを行ったり、身体機能の低下によって狭まってしまった生活範囲を広げるためのリハビリテーションを行ったり、言語聴覚士が中心となって認知症や言語障害などによって低下したコミュニケーション能力の向上を目的としたリハビリテーションを行います。
また、これらの他にもデイサービスと同様に食事・入浴などの介助も受けることができます。
その②運営する基準の違い
介護保険制度では、介護保険事業を行う際には満たさなければならない基準が設けられています。
運営基準・設備基準・人員基準に分かれているのですが、ここでは介護保険事業を行う上で守らなければならない最低限の基準である運営基準について見ていきます。
以下には主な運営基準を記載しています。
[デイサービスの場合(主なもの)]
・勤務体制の確保
事業所で働く従業員の勤務態勢が明確に定められている必要があります。これは職員数や職種が、事業所が提供しているサービスや事業所の規模によって変わってくるためです。
・定員の遵守
サービスの水準維持や利用者の安全を確保するために、利用者数の定員を超えるサービスの提供は行わないことが定められています。ただ、災害時などは例外なっています。
・サービス提供内容の説明と同意
サービスの利用を申し込んできた人に対して、サービスの内容や運営規定・事故発生時の対応・苦情処理体制などについて説明し、申込者の同意を得なければいけないと定められています。
・通所介護計画
利用者の心身状況や住環境などを踏まえた上で通所介護計画を作成しなければならないと定められています。
・料金表の作成
デイサービスでは利用者の希望によって保険内の時間を越えてのサービスの提供を行う場合があり、その場合にかかったサービス費やおむつ代といった費用などはあらかじめ料金表などに定めておく必要があります。
・サービス提供の記録
通所介護計画の変遷がわかるように保管することや実際に提供を行ったサービス内容や事故が起きた場合はその事故に対する処置などの記録を整備しておくことが定められています。
[デイケアの場合(主なもの)]
・サービス提供内容の説明と同意
サービスの利用を申し込んできた人に対して、サービスの内容や運営規定・事故発生時の対応・苦情処理体制などについて説明し、申込者の同意を得なければいけないと定められています。
・サービス提供拒否の禁止
利用者の住んでいる地域がサービス提供範囲外である、利用者数が定員に達しているといった正当な理由がない場合に、利用者へのサービスの提供を拒むことはできないと定められています。
・通所リハビリテーション計画の作成
医師やリハビリスタッフなどと共にリハビリ計画書を作成し、利用者に同意をもらって交付しなければなりません。
・サービス提供の記録
サービス提供日・サービスの内容などの必要な記録を整備しておくことが定められています。
・衛生管理
利用者が使用する施設や設備などについて衛生的な監理に努めること、医薬品や医療機器を適正に管理すること、事業所内において感染症の発生や蔓延が起こらないように必要な措置を講じることなどが定められています。
・秘密保持
事業所の従業者や過去に従業者であった者が、正当な理由もなく業務上知り得た情報を漏らさないように市、漏らさないための措置を講じることが定められています。
その③利用できる人の違い
提供するサービスの目的が多少異なってくるので、デイサービスやデイケアを利用することができる人に違いはあるのかと思っている方もいるでしょうが、基本的にデイサービスとデイケアは要介護認定によって要介護1以上と認定されれば利用することが可能になっています。
要介護認定によって要支援と判定された方を対象に行われるのは、介護予防通所介護(介護予防デイサービス)と介護予防通所リハビリテーション(介護予防デイケア)となります。
その④訓練内容の違い
デイサービスとデイケアでは訓練内容が変わってきます。
[デイサービスの場合]
デイサービスで行う訓練は以下のようなものになります。
- 歩行訓練、関節可動域訓練、筋力増強訓練といった身体機能の維持向上を目的としたもの訓練
- 自分1人でお風呂には入れるようになりたいといった生活機能の維持向上を目的とした実践的な訓練を反復して行う訓練
[デイケアの場合]
デイケアで行う訓練は以下のようなものになります。
- 関節拘縮の予防、体力・筋力の維持、褥瘡の予防、自主トレーニングといった身体機能の維持などを目的とした訓練
- 屋内外で行う歩行練習、寝返りや起き上がりなどを始めとする基本動作訓練、入浴やトイレ動作といった日常生活動作訓練
まとめ
ここまでデイサービスとデイケアの違いについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
デイサービスとデイケアは名前が似ているため同じようなサービスではないかと思われている人もいるでしょうが、解説してきたように異なった性質を持ったサービスとなっています。
名前は似ていますが、内容が違ってきますので、自分にとってどのようなサービスが必要なのかをしっかりと見極めて、自分に合った最適なサービスを利用するようにしましょう。