この記事では市町村民税を未申告だった場合に介護保険の自己負担割合がどうなるのかということについて解説しています。
介護保険制度では、利用者は所得に応じて費用の一部を負担してサービスを利用することになります。
この負担割合ですが、65歳以上の第一号被保険者の方は前年度の所得によって決定されるのですが、では、市町村民税未申告で前年度の所得がわからない第一号被保険者の自己負担割合はどうなると思いますか?
ここで市町村民税未申告の方の自己負担割合はどうなるのかということについて解説していきますので、興味のある方は是非ご覧ください。
介護保険のサービスを利用した場合の自己負担割合
介護保険において第一号被保険者である65歳以上の方の負担割合は前年度の所得によって決定され、所得に応じてサービスを利用するためにかかった費用の1割か2割または3割を自己負担額として支払うことになります。
それぞれの自己負担割合になる方は以下のような方です。
[3割負担になる方]
- 合計所得金額が220万円以上
- 年金収入+その他の合計所得金額=単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は344万円以上に相当)
[2割負担になる方]
- 合計所得金額が160万円以上
- 年金収入+その他の合計所得金額=単身世帯で280万円以上、夫婦世帯で346万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は280万円以上に相当)
[1割負担になる方]
3割負担と2割負担の条件に当てはまらない方
※「合計所得金額」とは給与所得・事業収入などの収入から給与所得控除や必要経費を控除した後の金額のことで、「その他の合計所得金額」とは合計所得金額から年金の雑所得を除いた金額のことです。
市町村民税未申告で前年の所得がわからない場合
先程の項目で、第一号被保険者は前年の所得に応じて負担割合が決定されるといいましたが、市町村民税未申告で前年度の所得がわからない場合どうなるのでしょうか。
実は、市町村民税が未申告であるために前年度の所得がわからない者については、判定上1割とすると定められています。
ただ、後に所得更正があり、再判定の結果で一定以上の所得があると認められた場合には過誤調整が行われることになります。
過誤調整とは適切に負担割合を計算した後であっでも
被保険者からの世帯変更の届出が遅れたことなどにより、世帯構成の変更の事実の把握が遅れ、随時の再判定が本来適用すべき月に間に合わなかった場合・修正申告等により所得更正があり、判定の根拠とした所得の額が遡及して変更された場合
に行われるものです。
所得更正があった場合には、再判定と負担割合証の再交付を行い、2割負担なのに1割負担でサービスを利用していた方からはその差額を徴収し、1割負担なのに2割負担でサービスを利用していた方には差額を還付することになります。
よって、市町村民税未申告の方で2割負担なのに1割負担でサービスを受けていた方は、定期的な判定が切り替わる8月1日までさかのぼり、その時点からの間に利用した負担額の差額が徴収されることになります。
まとめ
ここまで市町村民税を未申告だった場合に介護保険の自己負担割合がどうなるのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように介護保険では、第一号被保険者は前年度の所得に応じて介護保険の自己負担割合が変わってきます。
市町村民税が未申告の場合は基本的に1割となり、所得的にもともと1割の方は負担割合の変更はありませんが、所得が2割負担の条件に当てはまる方は利用した負担額の差額が徴収されますので、注意が必要になります。