この記事では介護保険の住宅改修でエレベーターはつけることができるのかということについて解説しています。
介護保険では要介護認定において「要介護1~5、要支援1・2」と認定された方を対象とした住宅改修制度があります。
手すりの取り付け・段差の解消・便器の取り付けなどを始めとした高齢者が住み慣れた自宅で自立した生活を続けて行くための改修メニューが用意されています。
ここではその住宅改修において、自宅絵のエレベーターの設置が制度の対象になるのかということについて解説していきますので、介護保険を利用した住宅改修を検討されている方は是非この記事を参考にしてみてください。
介護保険の住宅改修制度においてエレベーターの設置は可能なのか
人は年を取ると階段の上り下りがつらくなってきますが、少子高齢化社会といわれる日本では近年、戸建て住宅へのホームエレベーターの設置への関心が高まっています。
通常エレベーターとは5階建て以上のマンションなどに設置されているもので、基本的に一般住宅には付いていないことがほとんどであり、2階建て・3階建てなどになると高齢者の方は上の階へ上がるにも一苦労となります。
介護保険には住宅改修という高齢者がこれまで住み慣れてきた家で生活し続けるための制度があり、階段の上り下りが苦しくなっている方の中はこの制度を利用してエレベーターを設置したいと考えている方もいると思いますが、先に結論を申しあげますと介護保険の住宅改修においてエレベーターを設置することはできません。
介護保険の住宅改修においてエレベーターを設置することはできない
先程も申しあげたようにエレベーターの設置は介護保険の支給対象にはなりません。
もしそれでも設置したいと考えているのであれば、設置に関する費用は全額自己負担することになります。
ちなみに設置費用の目安は以下のようになっています。
[ホームエレベーターの設置費用の目安]
ホームエレベーターの価格には設置工事に関する費用も含まれており、エレベーターの価格は設置する物件が木造か鉄骨・RCかということやエレベーターの種類が油圧式なのかロープ式なのかということによって変わってきます。
油圧式とはエレベータールームをジャッキで下から直接支えて作動油の圧力を制御することによって昇降させるもので、ロープ式とはエレベータールームをドラム型の巻き取り装置を利用して昇降させるものです。
木造で油圧式の場合:274万円~474万円
鉄骨・RCで油圧式の場合:270万円~459万円
木造でロープ式の場合:303万円~433万円
鉄骨・RCでロープ式の場合:293万円~413万円
ホームエレベーターの設置にかかってくる費用の目安はこのようになっていますが、一般住宅にホームエレベーターを設置する場合にはエレベーター設置のための申請が必要であり、その申請にさらに10万円前後かかってきます。
また、ランニングコストとして電気代が月500円~600円程度、法定点検にかかる費用が4万円~7万円程度、固定資産税の上昇分が2万円程度などの他、メンテナンス代や油圧式ホームエレベーターの場合はオイルの交換台もかかってきます。
ホームエレベーターに変わる代替案
先程の項目でホームエレベーターの設置は介護保険における住宅改修の支給対象にならないと説明しましたが、自費でホームエレベーターを設置するには多大な費用がかかるので高齢者の中にはどうすればいいのかと悩まれている方もいるかと思います。
それらの方に対してホームエレベーターの代わりとなるものが「可搬型階段昇降機」です。
可搬型階段昇降機とはスイッチ操作においてキャタピラなどが作動して階段を昇降する福祉器具で、平成21年度より介護保険制度の対象である福祉用具貸与に追加されたため、レンタルであれば所得に応じて1割~3割の自己負担で利用することができます。
ただ、「可搬型階段昇降機」は「いす型階段昇降機」などのように壁に直接設置していないため、操作することになる介護者が安全に使用するために可搬型階段昇降機の安全指導員から実際に福祉用具を使用しながらの講習を受けなければならないと義務づけられています。
可搬型階段昇降機は操作が難しく、事故も起こっているため安全指導員による講習をしっかりと受けた上で練習を行うことが重要です。
まとめ
ここまで介護保険の住宅改修でエレベーターはつけることができるのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように介護保険の住宅改修ではホームエレベーターを設置することはできず、設置する場合は全額自己負担となります。
介護保険の支給対象となる別の選択肢もあり、操作が難しくしっかりと練習を積む必要がありますが使いこなせるようになると介護による負担を軽減することが可能になる可搬型階段昇降機という福祉用具もあります。
介護保険の支給範囲内で検討するのか、全額自己負担でホームエレベーターを設置するのかは利用者やその家族の考えによりますが、どちらにせよ熟考した上で最適な選択を行ってください。