この記事では住所地特例の対象者や住所地特例の対象者が利用することができる地域密着型サービスについて解説しています。
介護保険には住所地特例という制度がありますが、皆さん住所地特例とは何なのかご存知ですか?
また、介護保険には「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の大きく分けて3つのサービスがありますが、住所地特例者はどのような地域密着型サービスを利用することができるかご存知ですか?
ここでは住所地特例者や住所地特例者がどのような地域密着型サービスを利用することができるのかと言うことについて解説していきますので、興味のある方は是非ご覧ください。
介護保険における住所特例とは
住所地特例とは介護保険法第十三条にて定められている制度で、介護保険の被保険者が他の市区町村にある住所地特例対象施設に入所し、施設の所在地に住民票を移した場合、入所する前に住民票があった市区町村が引き続き保険者となるというものです。
介護保険では、原則として被保険者の住民票のある市区町村が保険者となります。
しかし、この原則通りに介護保険制度を運用すると、介護保険施設が多い市区町村に人が集まることによって介護保険給付にかかる費用が財政を圧迫することになり、介護保険施設が少ない市区町村との財政的な不均衡が生じてしまいます。
このような事態を避けるために住所地特例制度が設けられており、被保険者が他市区町村の介護保険施設に住民票を移した場合には、施設の所在地である市区町村ではなく、住民票を移す前の市区町村が引き続いて保険者となるのです。
住所地特例の対象者
住所地特例の対象者となるのは先程の項目も出てきた「住所地特例対象施設」に入所し、その施設に住民票を移した方です。
住所地特例対象施設とは以下の施設のことをいいます。
- 介護老人保健施設(老人保健施設)
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護療養型医療施設(入所定員が30人未満である地域密着型老人福祉施設は住所地特例の対象外となります)
- 軽費老人ホーム(ケアハウスなど)
- 養護老人ホーム
- 有料老人ホーム(住宅型や介護付も含む)
- サービス付高齢者向け住宅(定員が30人未満のものは対象外であり、食事や介護等の提供がない場合も対象外となります)
※グループホームなどの地域密着型サービス施設は住所地特例の対象外となりますので注意してください。
住所地特例の対象者が受けられる地域密着型サービス
住所地特例の対象者は以下のような地域密着型サービスを受けることが可能になります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、日中・夜間を通じて1日に複数回の定期訪問と随時対応による訪問介護と訪問看護を提供することによって、介護が必要な方の生活を24時間体制で支えるというサービスです。
平成24年4月に創設されたサービスで、介護職員と看護職員の連携による適切な介護・看護を受けることができます。
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護は、18時~8時の夜間に定期的に要介護者のもとを巡回し、安否の確認や排泄の介助などを行う定期巡回の他、サービスを利用している方の通報によって訪問介護員が訪問する随時対応を組み合わせたサービスです。
平成18年4月に創設されました。ただ、サービスを提供している事業者が限られているため、注意が必要です。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護は、脳血管疾患やアルツハイマー病などにおいて認知機能が低下して日常生活に支障を来している方を対象にして、デイサービスなどにおいて食事・入浴・排泄の介助や機能訓練を提供するというサービスです。
介護保険制度の改正によって平成18年4月に地域密着型サービスの1つとして位置づけられました。小規模対応であり、1ユニット3人以下となっています。
看護小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせて提供するサービスで、看護師や介護福祉士等が中心となって利用者に合わせた個別のケアを行ってくれます。
24時間体制でサービスの提供を行ってくれるので、要介護度が高い方でも安心して利用することができます。
まとめ
ここまで住所地特例の対象者や住所地特例の対象者が利用することができる地域密着型サービスについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように介護保険には住所地特例という保険者の負担が大きくなりすぎないような制度が設けられており、その対象となる施設に入所して住民票を移すことで住所地特例者となります。
ただ、住所地特例対象施設に入所しても住民票をそれまで住んでいたところから移していない場合は住所地特例者とはなりませんので注意してください。
また、施設に入所して住民票を当該施設の住所地に移した場合には保険者である市区町村に住所地特例適用届の提出する必要が出てきますので、忘れないようにしてください。