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介護保険を受けるけど住所地特例とは?どんな制度?

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介護保険を受けるけど住所地特例とは?どんな制度?

この記事では介護保険の住宅地特例について解説しています。

皆さんは介護保険に存在する住宅地特例という制度について詳しくご存知ですか?

知らない方が多いと思いますが、特に、これから介護施設に入居するという方や介護関係の仕事をしようと考えている方はこの制度を理解しておく方がいいでしょう。

ここでは介護保険の住宅地特例について解説していきますので、これから介護施設に入居するという方・これから介護関係の仕事をしようと考えている方などは是非ご覧ください。

そもそも介護保険はどんな制度?

そもそも介護保険はどんな制度?

介護保険とは、介護が必要な高齢者とその家族を社会全体で支えていくという制度です。

日本では40歳になると自動的に介護保険に加入して被保険者となり、介護保険料の徴収が始まります。

被保険者から納められる介護保険料や税金などを財源として、介護が必要な方は費用の一部を負担するだけで様々な介護サービスを利用することが可能になります。

ここまでのことなら知っている方も多いかと思われますが、そもそもなぜ介護保険制度は誕生したのかを知っていますか?

そして今後この制度はどうなっていくと思われますか?この項目ではそれらについてまず解説していきます。

介護保険制度はなぜ必要に?|誕生の理由

そもそも介護保険制度はなぜ必要になったのでしょうか?誕生の理由について解説します。

日本の老人福祉制度のスタートは1960年代にスタートしています。

この頃はまだ高齢化率5.7%であり70年代には老人医療費無償化も開始されるなどまだ余裕がありました。

しかし、年を経るにつれて高齢化率は高まっていき、寝たきり老人の増加や入院の長期化などが社会問題化していき、90年代に高齢化率が12%に達したところで政府は政策の転換を決定します。

「介護が必要な高齢者の増加」「介護する期間の長期化」「介護をする者の高齢化」「家族による介護の困難化」という理由から、介護を必要としている高齢者とその家族を社会全体で支えていくという目的を掲げて2000年に介護保険制度が施行されました。これが介護保険誕生の理由です。

介護保険制度の改正と今後の行方とは?

介護保険制度の成り立ちはわかりましたが、では、介護保険のこれからはどうなるのでしょうか?

2000年に施工された介護保険制度ですが、介護保険は時代に合わせた制度であるべきだということから3年ごとに見直されることになっていますが、少子高齢化が予想を遙かに上回るスピードで進行しているため改正が間に合わない状態になっています。

これまで5回の大きな改正が行われている介護保険制度ですが、これからの方向性としては、介護予防に重点を置かれるようになったということが挙げられます。

社会全体で高齢者を見守ることによって高齢者を家庭に閉じ込めないように使用というものです。

また、最新改正では介護保険制度を永続的に存続させるために、一定の所得のある高齢者にはその所得に合わせた負担を求めるという改正が行われました。

介護保険で受けられるサービスとは?

では実際に介護保険ではどのようなサービスが受けられるのでしょうか?

介護保険で受けることができるサービスは大きく分けて以下のような「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに分類することができます。

[居宅サービス]

居宅サービスとは、訪問看護員や介護福祉士が利用者の自宅を訪問して様々な生活介助を行う「訪問介護」や利用者がデイサービスなどの施設を利用して介護サービスを受ける「通所介護」といった、自宅を拠点としながら受けることができる介護サービスのことをいいます。また、「訪問看護」「デイサービス」「デイケア」「ショートステイ」「住宅改修」「福祉用具貸与」なども居宅サービスに分類されます。

[施設サービス]

施設サービスとは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3つの施設で受けることができるサービスのことを指しています。

[地域密着型サービス]

地域密着型サービスとは、市町村によって指定された事業者がその市町村に居住している被保険者を対象として提供するサービスのことです。高齢者がこれまで住み慣れた地域で介護サービスを受けられるようにと2006年にスタートしました。

介護保険の住所地特例って何?

介護保険の住所地特例って何?

ここから本題に入ります。介護保険では原則として被保険者が居住している市町村が保険者となり介護保険の給付などを行います。

しかし、個別の事情などによって他市町村の介護保険サービスを利用したいと思っている方もいるかと思います。

介護保険にはそのような場合に利用できる住所地特例という制度が設けられています。

介護保険|住所地特例とは?

先程も申しあげたように、介護保険では原則として被保険者が居住している市町村が保険者となり介護保険の給付などを行います。

しかし、この原則通りに制度の運用を行うと介護保険施設などが多く存在している市町村の介護給付費が増大することになり、介護保険施設などの少ない市町村との財政の面で不公平となってしまいます。

この状態を解消するためにもうけられたのが住宅地特例で、被保険者が他市町村の介護施設などに入居し、その施設の所在地に住所の変更を行った場合には住所の変更を行う前まで居住していた市町村が引き続いて保険者となるという制度です。

介護保険|住所地特例対象施設とは?

介護保険制度には住所地特例対象施設というものが定められており、それらの施設に入居した場合に住所地特例の対象となります。住宅地特例対象施設は以下に記載する施設のことを指します。

[住所地特例対象施設]

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 有料老人ホーム(介護付・住宅型)
  • 養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
  • サービス付き高齢者向け住宅

介護保険|住所地特例の事務手続き方法

住所地特例を適用するためには以下のような事務手続きが必要になります。

[施設に入所・入居した場合]

  • 被保険者は保険者である市町村に住所地特例適用届けを提出します。
  • 被保険者が入所した施設は保険者である市町村に施設入所連絡票を送付します。
  • 被保険者が住所を移した住所地市町村は保険者である市町村に住所地特例者連絡票を送付します。

[施設を退所・退去した場合]

  • 被保険者は保険者である市町村に住所地特例終了届を提出します。
  • 被保険者が入所していた施設は保険者である市町村に施設退所連絡票を送付します。
  • 被保険者が住所を移した住所地市町村は保険者である市町村に住所地特例者連絡票を送付します。

以上が住所地特例にかかる事務手続きです。

介護保険の住所地特例とは実際いつ利用するの?

介護保険の住所地特例とは実際いつ利用するの?

先程の項目で住所地特例に関する仕組みについて解説してきましたが、「結局どのような人が対象なの?」「対象条件はどうなっているの?」ということが気になっている方がほとんどだと思いますので、ここではそれらについて解説していきます。

介護保険の住所地特例とは|対象年齢は?

介護保険における住宅特例の対象者となる年齢は、65歳以上の方と40歳~64歳までの医療保険に加入している方となります。

介護保険の住所地特例とは|対象条件とは?

住所地特例の対象条件は、65歳以上の方と40歳~64歳までの医療保険に加入している方の中で住所地特例対象施設に入所しているということが対象条件となります。また、要介護認定がない方(自立の方)でも住所地特例対象施設に入所した場合は住所地特例の対象となります。

介護保険の住所地特例とは|具体例をご紹介!

では最後に住所地特例の保険者・被保険者の関係について具体例を紹介していきます。(例としてあげる被保険者の要介護度はすべて要介護3とします)

具体例①

A市に住んでいる施設への入所を希望する被保険者が、要介護度が上がって要介護4となりました。この要介護度に該当する施設がB市にしかなかったためB市の施設に入所しました。

→この場合の保険者はA市となります。

具体例②

具体例①で出てきた被保険者は現在B市の施設に入所していますが、被保険者の家族はC市に居住しており、なかなか面会にくることができません。C市の施設に移してほしいという家族の希望により空きが出たC市の施設に入所することになりました。

→この場合の保険者はA市となります。住所地特例対象施設を移動したとしても保険者は変わりません。

具体例③

C市の施設に移った被保険者はリハビリに励み、家族が自宅で面倒を見られる状態にまで回復したので、C市にある家族の家に居住することになりました。しかし、とある事情によってB市の施設に戻ることとなりました。

→この場合はC市が保険者となります。一度住所地特例対象施設を退所して生活することになると、退所してから居住していた市が保険者となります。

介護保険の住所地特例を理解してしっかりと制度利用を!

介護保険の住所地特例を理解してしっかりと制度利用を!

ここまで介護保険の住宅地特例について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

解説してきたように住所地特例を利用するためには住所変更を行わなければなりません。

住所を変更することによってその市町村の介護サービスを利用することができるようになりますが、もともと住んでいた市町村特有のサービスは利用できなくなってしまいます。

このことをよく頭に入れておくようにしましょう。

また、住所地特例を適用するためには保険者となる市町村に届出を行わなければならないということも忘れないでください。

介護保険にはこのような制度も設けられていますので、制度の内容をしっかりと理解した上で、必要であれば積極的に利用していきましょう。

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