この記事では介護保険においてグループホームに住所地特例は適用されるのかということについて解説しています。
現在、日本には様々な介護保険施設が存在しています。
その中には認知症の高齢者が共同生活を送るグループホームという種類の介護施設がありますが、市区町村の域を超えて利用したいと考えている方もいるかと思います。
介護保険には住所地特例という制度が設けられていますが、その制度はグループホームに適用されるのでしょうか?
ここでは介護保険においてグループホームに住所地特例は適用されるのかということについて解説していきますので、興味のある方は是非ご覧ください。
介護保険の住所地特例|そもそもグループホームって?
そもそもグループホームってどういったものなのでしょうか?この項目ではグループホームについて解説します。
グループホームとは、正式名称を「認知症高齢者グループホーム」、介護保険法では「認知症対応型共同生活介護」と呼ばれており、認知症である高齢者の方が共同生活を送りながら専門のスタッフによる身体介護や機能訓練・レクリエーションなどを受けるという施設です。
65歳以上の第一号被保険者の方の中で要支援2以上の要介護度の認定を受けている方が対象となるサービスです。
グループホームの入所基準と入所難易度
グループホームの入所基準ですが、先程も申しあげた「65歳以上の第一号被保険者の方の中で要支援2以上の要介護度の認定を受けている方」そして「グループホームがある市町村に住民票がある方」が基本的な基準となっています。
これ以外にも施設ごとに基準が設けられている場合があり、「共同生活に適応できるか」「感染症にかかっていないか」といったことが条件となっているところもあるので、事前に入居を検討している施設に問い合わせる必要があります。
入所難易度については、グループホーム自体が2008年から導入された制度なので、まだまだ施設の数が少ない上に既存の施設の規模も小さく、入所が認められるまでに数ヶ月かかる施設というのもざらという状態なので、入所するための何度は高くなっています。
グループホームの費用
グループホームを利用するためにかかる費用についてですが、ほとんどの場合で初期費用(入居一時金・保証金など)と月額利用料が必要になってきます。
目安としては初期費用が0円~数百万円、月額利用料が15万円~30万円程度となっています。
グループホームのメリット・デメリット
グループホームの利用を検討されている方の中には入所するメリットとデメリットを知りたいと考えている方もいると思います。
グループホームを利用するメリットとデメリットには以下のようなものがあります。
[メリット]
- 入居者やスタッフの数が少ないので、アットホームな雰囲気の中で生活を送ることができる
- 認知症専門のスタッフが常駐しているので、症状にあったケアを受けることができる
- レクリエーションが充実しているところが多い
- 住み慣れた地域で暮らすことができる
[デメリット]
- 比較的費用が高い
- 身体状態が悪化すると退去を迫られる場合がある
- 医療ケアには対応していない施設が多い
介護保険の住所地特例|住所地特例ってなんだっけ?
介護保険制度では原則として被保険者の住民票がある市町村が保険者となり、被保険者への介護保険給付などを行います。
しかし、この原則に則って制度の運用を行うと介護保険施設が多い市町村の介護給付費が増大することとなり、介護保険施設が少ない施設との財政面での不均衡が生じてしまいます。
この不均衡を解消するために導入されたのが住所地特例で、被保険者が他の市町村にある介護保険施設に入所して施設の所在地に住民票を移した場合、施設がある市町村が保険者になるのではなく、施設に入所する前住民票を置いていた市町村が引き続き保険者となるという制度です。
住所地特例の対象年齢と条件
住所地特例の年齢を含めた対象条件ですが、65歳以上の方と40歳~64歳までの医療保険に加入している方の中で住所地特例対象施設に入所しているということが対象条件となります。
住所地特例の対象施設とは
先程の項目で出てきた住所地特例対象施設とは何なのかということが気になる方もいると思います。住所地特例対象施設とは介護保険制度において規定されているもので、それらの施設に入所した場合に住所地特例の対象となります。
[住所地特例対象施設]
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 有料老人ホーム(介護付・住宅型)
- 養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
- サービス付き高齢者向け住宅
住所地特例になるのはどんな人?
まとめると住所地特例になる方は、65歳以上の方か40歳~64歳までの医療保険に加入している方で住所地特例対象施設に入所した方となります。
また、要介護認定がない方(自立)でも住所地特例対象施設に入所した場合は住所地特例の対象となります。
介護保険の住所地特例|グループホームは対象?
では本題に入りましょう。介護保険の住所地特例においてグループホームは対象となるのでしょうか?
これから市外のグループホームに入りたいけど住所地特例になる?
結論から申しあげますと、グループホームは住所地特例の対象にはなりません。グループホームなどの地域密着型サービスはその市町村の被保険者しか利用できないため住所地特例の対象外となっています。
市外の老人ホームから同じ市のグループホームに移りたいけど住所地特例になる?
この場合も住所地特例の対象とはなりません。
A市の有料老人ホームに住所地特例で入居しているBさん(もともとC市に居住)の家族が、認知症状が悪化したため同じA市のグループホームにBさんを入居させたいと考えた場合を例として解説します。
この場合、住所地特例が適用されているBさんの保険者はもともと居住していたC市ということになります。
グループホームはその市町村の被保険者しか利用することができないため、グループホームを利用するためには施設のあるA市に住民票を移さなければなりません。
市外のグループホームに入るのはどうしたらいいの?
では、市外のグループホームにはどうすればいいのでしょうか?その方法についてA市に居住しているBさんがC市のグループホームに入所する場合を例として解説します。
A市に居住しているBさんがC市のグループホームなどの地域密着型サービスを利用したい場合、まずA市とC市が協議を行います。
この協議によってC市から利用にかかる同意が得られた場合にのみ、A市の被保険者であるBさんはC市のグループホームに入所することが可能になります。
ただ、この方法で他市町村の地域密着型サービスを利用するためは利用者の住所が隣接市町村である、虐待等の理由があるといった特別な事情がある場合に限られます。
介護保険の住所地特例とグループホームを理解して利用しましょう!
ここまで介護保険においてグループホームに住所地特例は適用されるのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたようにグループホームは地域密着型サービスであるため住所地特例の対象ではありません。
居住している市町村以外のグループホームを利用するためには、グループホームのある市町村の同意を得る必要があります。
ただ、市域を越える地域密着型サービスの利用については市町村ごとに基準が設けられている場合があり、サービス利用の同意を得られない場合もありますので注意してください。
グループホームを利用する際は基本的に居住している市町村のグループホームを利用することになりますが、グループホームは定員が少ないためすぐに入居できるとは限りません。
そのため、入居を検討しだしたら、できるだけ多くのグループホームをピックアップしておくようにしましょう。