この記事では第二号被保険者で介護保険の要介護認定を受けるにはどうすればいいのかということについて解説しています。
介護保険のサービスを利用するためには要介護認定を受ける必要があります。
ただ、どのような原因でも要介護認定を受けることができる第一号被保険者とは違い、第二号被保険者の方は要介護認定を受けるためには条件が設けられています。
この記事では第二号被保険者で介護保険の要介護認定を受けるにはどうすればいいのかということについて解説していきますので、第二号被保険者で要介護認定を受けたいと考えている方は是非参考にしてください。
介護保険の第二号被保険者とは
介護保険制度の被保険者は年齢によって第一号被保険者と第二号被保険者の2種類に分けられています。
第一号被保険者は65歳以上の方、第二号被保険者は40歳~64歳までの方で医療保険に加入している方が該当します。
第二号被保険者は基本的に介護保険料が年金から天引きされる第一号被保険者とは違い、被保険者が加入している医療保険の医療保険料に上乗せするかたちで保険者である市町村に納付されます。
第二号被保険者の対象者
介護保険は40歳になると自動的に加入することになりますが、保険給付の範囲や介護保険料の徴収方法の違い・保険料の決定方法の違いなどの制度上の都合によって第一号被保険者と第二号被保険者に別れています。
第二号被保険者の対象となる方は先程も申しあげたように、40歳~64歳までの方で健康保険組合・全国健康保険組合などを始めとする医療保険に加入している方です。
ちなみに以下のような方は40歳~64歳であっても第二号被保険者とはなりませんので、「介護保険第二号被保険者資格取得・喪失届」をお住まいの市町村に提出する必要があります。
①日本国内に住所を有さない海外居住者
海外では日本の介護保険制度は利用することができないので、第二号被保険者ではなくなります。
②短期滞在の外国人
日本国籍を有しないで労働などを目的として日本に短期滞在している外国人は第二号被保険者ではありません。
③介護保険適用除外施設に入所している者
以下の介護保険適用除外施設に入所している方は第二号被保険者ではなくなります。
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第29条第1項に規定する指定障害者支援施設(生活介護及び施設入所支援に限る)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第11項に規定する障害者支援施設(生活介護に限る)
- 児童福祉法第42条第2号に規定する医療型障害児入所施設
- 児童福祉法第6条の2の2第3項の厚生労働大臣が指定する医療機関
- 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法に規定する福祉施設
- 国立及び国立以外のハンセン病療養所
- 生活保護法第38条第1項第1号に規定する救護施設
- 労働者災害補償保険法第29条第1項第2号に規定する労働者災害特別介護施設
- 障害者支援施設(知的障害者福祉法第16条第1項第2号に係るものに限る)
- 指定障害者支援施設(生活介護及び施設入所支援の支給決定を受けて入所している知的障害者及び精神障害者に係るものに限る)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第29条第1項の指定障害福祉サービス事業者であって、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則第2条の3に規定する施設(療養介護に限る)
第二号被保険者が特定疾病にかかると要介護認定を受けられる
要介護状態や要支援状態になった原因がどのようなものであっても要介護認定を受けることができる第一号被保険者と違って、第二号被保険者は16種の特定疾病によって介護が必要な状態になり、その要介護状態が6ヶ月以上に渡って続くことが予想される場合のみ要介護認定を受け、介護サービスを利用することが可能になります。
要介護認定を受けられる指定の特定疾病
先程の項目で第二号被保険者が要介護認定を受けるためには16種の特定疾病が原因で要介護状態になった場合のみと申しあげましたが、その16種の特定疾病とは以下の疾患のことを指します。
[16種の特定疾病]
- 1.がん(がん末期)
- 2.関節リウマチ
- 3.筋萎縮性側索硬化症
- 4.後縦靭帯骨化症
- 5.骨折を伴う骨粗鬆症
- 6.初老期における認知症
- 7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 8.脊髄小脳変性症
- 9.脊柱管狭窄症
- 10.早老症
- 11.多系統萎縮症
- 12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 13.脳血管疾患
- 14.閉塞性動脈硬化症
- 15.慢性閉塞性肺疾患
- 16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
要介護認定対象者が受けられる介護サービス
要介護認定を受ければ第二号被保険者は第一号被保険者と同じ介護サービスを利用することが可能になります。
介護サービスは大きく分けて「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着サービス」の3種類に分類することができますが。それぞれのサービスについて解説していきます。
[居宅サービス]
居宅サービスとは、サービスの利用者が住み慣れた自宅で生活をしながら介護を受けつつ、自立した生活を送ることができるように介護サービスを提供するものです。
自宅を訪問してもらうサービス、施設を利用するサービス等が分類されており、以下のようなサービスを受けることができます。
- 訪問看護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
- 住宅改修
[施設サービス]
施設サービスとは、介護保険を利用して入居することができる施設である介護保険施設にて提供される介護サービスです。施設サービスに該当する介護保険施設は以下の3つとなっています。
- 介護老人保健施設
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護療養型医療施設
[地域密着型サービス]
地域密着型サービスとは、要介護・要支援状態の方がこれまで住み慣れている地域で引き続き生活を続けていけるようにと提供されている介護サービスです。
地域密着型サービスは市町村単位で事業運営されており、訪問・通所・短期入所のサービスや認知症向けサービス、介護保険施設によるサービスなど以下のような様々なサービスが提供されています。
- 小規模多機能型居宅介護
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 認知症対応型通所介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
まとめ
ここまで第二号被保険者で介護保険の要介護認定を受けるにはどうすればいいのかということなどについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように、どのような原因で介護が必要になっても要介護認定を受けることができる第一号被保険者とは違い、第二号被保険者は特定疾病が原因で介護が必要になったと認められなければ要介護認定を受けることができず、介護サービスを利用することができません。
ただ、要介護認定を受けると第一号被保険者の方が受けることができる介護サービスと同じものを受けることが可能になります。
第二号被保険者は条件付きではありますが、介護サービスを利用することが可能になっています。
このため、介護保険料の支払いを無駄だなどとは思わずにしっかりと納めるようにしましょう。
もし自分が介護を受けなければならなくなったときに、介護保険料を納めていなかった場合には保険給付を受けられなくなることもありますので注意するようにしましょう。