この記事では介護保険でポータブルトイレはレンタルすることができるのかということなどについて解説しています。
介護保険には介護ベッドや車いすといったレンタルすることができる福祉用具がありますが、福祉用具の1つであるポータブルトイレはレンタルすることができるのでしょうか?
ポータブルトイレを利用したいと考えている方の中には「レンタルすることができるのか?」と疑問に思われている方もいるでしょう。
ここでは介護保険でポータブルトイレはレンタルすることができるのかということなどについて解説してきますので、ポータブルトイレの利用を検討されている方などは是非ご覧ください。
ポータブルトイレはレンタルができない
福祉用具には様々なものがあり、介護保険を利用してレンタルすることができるものや購入することができるものがありますが、ポータブルトイレについては介護保険を利用してレンタルすることはできないと決められています。
これはポータブルトイレが「特定福祉用具」であるためです。
この特定福祉用具とは、福祉用具の中でも利用者の肌が直接触れるもののことをいいます。
ポータブルトイレでは利用者が座ることになる部分に利用者の肌が直接触れることになり、不衛生となるためレンタルできないのです。
ポータブルトイレはレンタルするか購入するかを選択できる車いすや介護ベッドなどとは違って最初から購入しか選択肢がないことになります。
ちなみにレンタルすることができない特定福祉用具にはポータブルトイレの他に、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分などが当てはまります。
ポータブルトイレは介護保険で購入ができる
先程申しあげたようにポータブルトイレは介護保険を利用してレンタルすることはできませんが、介護保険を利用して購入することは可能になっています。
ここではポータブルトイレの値段や購入場所などについて解説していきます。
ポータブルトイレの値段
ポータブルトイレの値段ですが、ポータブルトイレ自体の値段は数千円台のものから十数万円するものまで非常に幅が広くなっています。
介護保険を利用する場合はポータブルトイレの販売額の1割(所得に応じて2割~3割)を負担することで購入することが可能になっています。
ただ、介護保険の支給金額にも上限があり、10万円を超える場合、超過分には介護保険が利用できませんので超えてしまった分に関しては全額自己負担となります。
また、支払いは償還払いといい、一度ポータブルトイレの販売額すべて(10割)を自己負担で支払い、お住まいの市町村に申請することによって自己負担分以外の7割~9割の金額を返還してもらうという方法をとっているところがほとんどです。
ただ、お住まいの市町村によっては支払い方法などが異なる場合がありますので、事前に確認するようにしてください。
ポータブルトイレの購入場所
ポータブルトイレの購入場所についてですが、特定福祉用具販売の指定を受けている事業者から購入する必要があります。
ポータブルトイレ自体はホームセンターやインターネット通販などで簡単に購入することが可能になっていますが、介護保険を利用して購入する場合は特定福祉用具販売の指定を受けている事業者から購入しなければなりません。
特定福祉用具販売の指定を受けている事業者ではないところからポータブルトイレを購入した場合は費用を全額自己負担しなければなりませんので注意してください。
また、ポータブルトイレを販売している事業者がすべて特定福祉用具販売の指定を受けている訳ではありませんので、購入する際には指定を受けている事業者かどうかをしっかりと確認する必要があります。
ポータブルトイレの選び方
ポータブルトイレには標準型のプラスチック製のポータブルトイレから木製いす型のポータブルトイレ、金属製コモード型のポータブルトイレ、スチール製ベッドサイド設置型のポータブルトイレ、ウォシュレットが付いているポータブルトイレといったものなど様々な種類があります。
様々な種類があるため中にはどれにすればいいのか迷われる方もいるかと思います。
ここではそのような方のためにポータブルトイレを選ぶ際のポイントをご紹介します。
その①体格や身体状況に合うもの
ポータブルトイレを選択する際には、利用者の体格や身体状況に適したものを選択するようにしましょう。
立ち座りが容易で、利用者本人の体格に合っていることがポータブルトイレに座った際に姿勢を安定させることにつながります。
足腰が弱っている方にはポータブルトイレからの立ち座りのしやすさが特に重要になってきます。
デザイン重視のポータブルトイレの場合は高さなどが調整できない場合もありますので注意してください。
この他、肘掛けの高さを調節できるのかもズボンの上げ下げをしやすくなるためチェックしておく必要があります。
また、冬場などに冷たい便座に座ると急激な温度の変化によって心臓に負担がかかる場合もあるため、便座に暖房機能が付いているものを選んだり、身体が痩せておしりの骨が便座にあたって痛いという場合には便座が樹脂でできているものを選んだりすることも重要になってきます。
その②乗り移りがしやすいもの
また、ベッドからポータブルトイレへの乗り移りがしやすいかどうかも重要なポイントとなってきます。
ポータブルトイレは基本的にベッドの脇に設置して使用することが想定されています。
このため、ベッドから乗り移りがしやすいかどうかを想定してポータブルトイレを選択する必要があります。
具体的に例を挙げますと、立つことが難しい利用者なら、ポータブルトイレを足側にぴったりと横付けして設置することができる場合は肘掛けが跳ね上がるタイプが乗り移りがしやすくなります。
ポータブルトイレをベッドの頭側にしか設置するスペースがなく頭から離して設置したい場合やベッドにぴったりとくっつけて設置することができない場合などはトランスファーボードが付いたポータブルトイレがいいでしょう。
自ら立って乗り移りができる利用者の場合は、肘掛けが固定されているものでも問題ないでしょう。
まとめ
ここまで介護保険でポータブルトイレはレンタルすることができるのかということなどについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたようにポータブルトイレは特定福祉用具のため介護保険を利用してレンタルすることはできず、購入することしかできなくなっています。
その購入も特定福祉用具販売の指定を受けている事業者から購入のみが介護保険を利用することができる条件となっていますのでよく覚えておきましょう。
また、ポータブルトイレなどの特定福祉用具は、すでに同一種目を購入しており介護保険において福祉用具購入費の支給が行われている場合には、「耐用年数を経過している」「福祉用具が破損した」「利用者の要介護度が著しく上がった」「過去に購入したものと機能や用途が異なるものを購入したい」というようなケース以外では介護保険を利用した再購入が認められません。
このため、「ポータブルトイレのデザインが気に入らない」「自分の身体にしっくりこない」といった理由では再購入することができませんので注意してください。
購入する際には「自分の身体に合っているのか」「デザインはこれでいいのか」「ベッドからポータブルトイレへの乗り移りをしやすいのか」といったことを十分に確認してから購入するようにしましょう。