この記事では介護保険とはどのような保険なのかということについて解説しています。
現在日本では40歳になると自動的に介護保険制度に加入することになっていますが、皆さんはこの介護保険制度とはどのような保険なのかご存知ですか?
あまり詳しくない方は「どのような人が対象なのか?」「どのようなサービスを受けることができるのか?」「サービスを受けるためにはどうすればいいのか?」というような疑問をお持ちだと思います。
ここでは介護保険とはどのような保険なのかということについて解説していきますので、介護保険について詳しく知りたいという方は是非この記事を参考にしてみてください。
介護保険の概要について
介護保険制度とは介護が必要になった高齢者を社会全体で支えていこうという仕組みで、利用者の自立支援、利用者本位のサービス利用、給付と負担の関係が明確となっている「社会保険方式」を採用していうことなどが特徴です。
では、この介護保険はどのような人が対象でどのようなサービスを受けることができるのでしょうか?以下で解説していきます。
その① 何歳から支払う?
現在日本では40歳になると自動的に介護保険制度に加入することになり、介護保険料を亡くなるまで毎月支払い続けることになります。
つまり支払いを開始する時期と受給対象になれる時期が同時にくるということになります。
40歳~64歳までの方は第二号被保険者となり、基本的に加入している医療保険に上乗せされるかたちで介護保険料を支払うことになります。
ただ、40歳になると介護保険に加入することになると申しあげましたが、介護保険料の徴収が始まるのは誕生日の前日が含まれる月となっていますので、誕生日が2日~31日までの方は誕生日のある月からの徴収開始ですが、各月の1日が誕生日の方は誕生日のある月の前の月からの徴収になりますので注意するようにしてください。
65歳以上の方は第一号被保険者となり、基本的には支給されている年金からの天引きとなりますが、年金の受給額が年間18万円以下の場合は納付書や口座振替サービスを利用して介護保険料を納付することになります。
その② どんな人が対象?
介護保険の被保険者は第一号被保険者と第二号被保険者に分けられていますが、介護保険サービスを利用するためにはそれぞれ満たさなければならない要件があります。
[65歳以上の第一号被保険者の場合]
第一号被保険者の方は、要介護状態や要支援状態であるであると認められれば、原因を問わずに介護保険サービスを利用することが可能になります。
[40歳~64歳までの第二号被保険者の場合]
第二号被保険者の方は、介護が必要になればその原因を問わずに介護保険サービスを利用することが可能になる第一号被保険者の方とはちがい、介護保険法によって規定されている末期がんや関節リウマチといった16種類の特定疾病によって要介護状態や要支援状態になったと認められる場合にのみ介護保険サービスを利用することが可能になります。
その③ 要支援と要介護とは?
先程の項目で介護保険サービスを利用するためには要介護状態や要支援状態と認められる必要があると申しあげましたが、これらの状態を判定するものを要介護認定といい、どの程度の介護が必要になのかということを「要支援1・2」「要介護1~5」という7段階に分けて判断します。
各段階の目安は以下の通りです。
その④ 受けられるサービスは?
介護保険において受けることができるサービスは大きく分けて「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに分けることができます。
居宅サービスは、訪問看護員や介護福祉士が利用者の自宅を訪問して生活介助を行ったり、利用者自身が施設に通ってサービスを受けたりといった、要介護者や要支援者が現在住んでいる自宅に住み続けながら提供を受けることができる介護サービスのことです。
訪問介護、訪問看護、通所介護、ショートステイ、福祉用具貸与、住宅改修などが該当します。
施設サービスは、介護保険法によって定められている介護保険施設に入所して受ける介護サービスのことで、施設サービスに該当する介護保険施設は介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護療養型医療施設の3つとなっています。
地域密着型サービスとは、平成17年に新設されたもので、高齢者が住み慣れている地域で生活を続けていけるようにと提供されている介護サービスです。
訪問・通所・短期入所といったサービス、認知症の方向けのサービス、介護保険施設によるサービスなどが提供されています。
介護保険サービスを受けるまでの流れ
介護保険サービスを利用するための流れは以下のようになります。
- 申請を行う
- 介護認定調査
- 一次判定
- 二次判定
- 結果通知
- ケアプランの作成
介護保険サービスを利用知りためには要介護認定を受ける必要がありますので、お住まいの市町村の担当窓口にて要介護認定の申請を行います。要介護認定の申請には申請書、介護保険被保険者証(第二号被保険者の方は健康保険被保険者証)、マイナンバーが確認できるもの等が必要になってきます。
要介護認定の申請を行うと介護認定調査が始まります。これは申請者が「どの程度の介護が必要なのか」ということを確認するためのもので、介護認定調査員が申請者の自宅や入所している病院などを訪問して聞き取り調査を行います。
介護認定調査が終わると一次判定が行われます。一次判定では客観的かつ公平な判定をするためにコンピュータによって行われます。一次判定では介護認定調査の結果や主治医意見書の一部をコンピュータに入力して所定の基準に従って要介護度を判定します。
二次判定は一次判定の結果と主治医意見書に基づいて介護認定審査会によって行われます。介護認定審査会とは保険・福祉・医療の専門家によって構成されており、ここで最終的な要介護度の決定が行われます。
市町村は介護認定審査会が下した最終的な判定結果に基づいて要介護度の認定を行い、申請者に結果の通知を行います。認定結果は「要支援1・2」「要介護1~5」又は「非該当」のいずれかに分類されています。この結果通知は原則として申請を行った日から30日以内に行うことになっています。
要介護認定の結果が届いたら、ケアマネージャーなどにケアプランを作成してもらいます。ケアプランとは介護保険サービスを利用する際に市町村へ提出しなければならないもので、ケアプランを作成して介護保険サービスを提供している事業者と契約することによってサービスを利用することができるようになります。
これからの介護保険制度について
介護保険制度は平成12年に施行されましたが、見直しを行いながら実情に合った制度にしていこうということで3年ごとに制度の見直しが行われることになっています。
ただ、少子高齢化が予想を上回る速さで進行しているため、改正がそれに追いついていないというのが現状です。
このため、高齢化によって要介護者が増え続けていくのと共に、それを支えていく若者たちが減少していきますので、これからの介護保険サービスは縮小が予想されており、高齢者が介護が必要になった場合でも住み続けてきた地域でこれまで通り暮らしていくための「地域包括ケアシステム」の構築が急務となっています。
まとめ
ここまで介護保険とはどのような保険なのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように介護保険が適用される介護サービスを利用するためには様々な手続きが必要になるため、初めての方は難しいと感じるかもしれません。
ただ、介護保険サービスは利用者の自立支援だけではなく、普段介護を行っている家族の負担を軽減することもできるため、利用できる場合は積極的に利用していきたい制度となっています。
また、介護保険は40歳になると自動的に加入することになるもので、介護保険料はそこから亡くなるまで払い続けなければなりません。健康なうちはこの出費が無駄に感じることもあるかと思います。
しかし、いざ介護が必要になった際に介護保険料を滞納していると適切な介護保険サービスを受けることができなくなってしまいますので注意しましょう。