この記事では介護保険サービスを利用リハビリとはどのようなものかということについて解説しています。
介護保険において提供されるサービスや医療保険において提供されるサービスにはリハビリに関するサービスがありますが、皆さんは介護保険のリハビリと医療保険のリハビリの違いはどのようなものか、また、介護保険のリハビリにはどのようなものがあるかご存知ですか?
ここでは介護保険のリハビリと医療保険のリハビリの違いや介護保険サービスを利用したリハビリとはどのようなものかということについて解説していきますので、興味のある方は是非ご覧ください。
介護保険のリハビリと医療保険のリハビリは違う
介護保険と医療保険は名前が似ているので、提供されているリハビリのサービスも同じものだと思われている方もいるかもしれませんが、実は介護保険において提供されるリハビリと医療保険においてリハビリはその目的などが異なっているのです。
介護保険のリハビリとは日常生活の機能維持を目指したもの
介護保険において提供されるリハビリは「日常生活の機能維持」を目的として提供されるものです。
ただ、リハビリを始めとする介護保険サービスを利用するためには要介護認定を受ける必要があります。
介護保険のリハビリでは、サービスの提供を受けることができる日数や症状に関する条件はなく、リハビリの必要性があると認められれば継続してリハビリを受け続けることが可能になっているので、介護保険のリハビリは長期のリハビリに向いているといえます。
また、リハビリを行う人ですが、リハビリは医療行為となっており、リハビリを行うためには理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が医師の指示に基づいて行ってくれます。
- 理学療法士:マッサージや体操などによって、利用者が日常生活を送る上で重要となる基本動作を行う機能の維持回復を行ってくれます。
- 作業療法士:家事などを始めとする作業動作を通して身体機能の回復や社会に適応する能力の維持回復を行ってくれます。
- 言語聴覚士:発声・発語といった言葉に関する訓練や嚥下機能の訓練などを行ってくれます。
医療保険のリハビリとは体の機能回復を目指したもの
医療保険において提供されるリハビリは「体の機能回復」を目的として提供されるもので、病院に通院したり入院したりすることによって提供を受けることができます。
介護保険のリハビリは要介護認定を受けている方しか利用することはできませんが、医療保険のリハビリは要介護認定を受けていない方や介護保険の被保険者ではない39歳以下の方なども受けることが可能になっています。
ただ、介護保険のリハビリは介護保険のリハビリと違って、病気別にリハビリが行われ、それぞれにリハビリの日数制限が設けられています(例外として医師の判断によりリハビリ期間が延長されることがあります)。
このため、医療保険のリハビリは介護保険のリハビリとは違って長期にわたってリハビリを受けることは難しくなっています。
また、リハビリを行う人ですが、こちらは介護保険と同じように理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が医師の指示に基づいて行ってくれます。病院にはリハビリ専門職も多いので、充実したリハビリを受けることが可能になっています。
介護保険のリハビリの種類
ここまで介護保険のリハビリと医療保険のリハビリの違いについて解説してきましたが、ここでは介護保険において提供されるリハビリの種類について解説していきます。
通所型リハビリ
介護保険には通所リハビリテーションという通所型リハビリの介護サービスがあります。
この通所リハビリテーションは「デイケア」と呼ばれ、身体機能を維持回復・日常生活の回復・認知機能の改善させることを目的としたリハビリを行う介護保険サービスです。
利用者はデイケアを提供している病院、診療所、老人保健施設といった施設に通うことによってサービスを受けることができます。
通所型リハビリにおいて提供されるリハビリは、通常のリハビリのような失われた機能を回復させるというようなリハビリだけではなく、それ以外に利用者の食事や入浴・排泄といった日常生活に関する支援やレクリエーションなどを行うなどして、利用者が自分らしく自立して生きていけるような支援を理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が行ってくれます。
リハビリ専門職が利用者の自宅を訪問して行う訪問リハビリテーションと比べて、リハビリ機器が整った施設でリハビリを受けることができるというメリットがあります。
訪問型リハビリ
介護保険の訪問型リハビリは訪問リハビリテーションと呼ばれる介護保険サービスにて受けることができます。
この訪問リハビリテーションは、主治医が必要であると判断した利用者の自宅を理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が訪問してリハビリを提供するというサービスです。
訪問リハビリテーションでは利用者の身体機能の維持回復や日常生活の回復などを目的として、バイタルチェックなどを始めとする病状の観察、身体機能の改善、日常生活を送る上での指導や助言、介護に関する相談や介護を行っている家族の支援といったサービスを受けることができます。
通所型リハビリであるデイケアと比べて個別でのリハビリを受けることができるので、きめ細やかなサポートを行ってもらえる他、利用者に合わせたペースでリハビリを行うことができるというメリットがあります。
入所型リハビリ
入所型リハビリとは、介護老人保健施設(老健)に入所することによってリハビリを受けるサービスを指します。
老健における入所型リハビリは介護が必要な高齢者が自宅で生活を送ることを目指すために行われるもので、医師の医学的管理下での介護・看護の提供や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職によるリハビリテーション、食事・入浴・栄養管理といった様々なサービスの提供を受けることができます。
自宅で生活できるようになることを目的としているため、原則として入所期間は3~6ヶ月となっていますが、「自宅で生活できるレベルには身体機能が回復していない」といった理由によって入所期間内に自宅へ帰ることができない場合もあります。
まとめ
ここまで介護保険サービスを利用リハビリとはどのようなものかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
介護保険と医療保険にはそれぞれリハビリを提供するサービスがありますが、介護保険によって提供されるリハビリは「日常生活の機能維持を目指したもの」であり、医療保険において提供されるリハビリは「体の機能回復を目指したもの」となっているので目的が異なっており、簡単に言いますと介護保険において提供されるリハビリはこれまで日常生活ですることが「できなかったこと」を「できる」状態にするためのものとなります。
また、介護保険において提供されるリハビリには「通所型リハビリ」「訪問型リハビリ」「入所型リハビリ」の3種類があり、それぞれにメリットがあります。リハビリ機器が整った施設でリハビリを受けるのか、自分のペースでリハビリを行いたいのか、自分はどのようなリハビリを受けたいのかをしっかりと検討した上で自分に合わせた適切な介護保険サービスを利用するようにしましょう。