自宅へホームヘルパーが訪問してくれる「訪問介護」から、施設へ入所しその場所で暮らしていく「特別養護老人ホーム(特養)」まで、介護サービスは多岐にわたります。
それぞれの介護サービスの特徴を確認し、介護を希望される方の状態にあった介護サービスを利用していきましょう。
今回は介護サービスの一覧をまとめ、各介護サービスの特徴を紹介していきます。
介護サービス 一覧表(H30.11.1時点)
はじめに平成30年11月1日時点で利用できる介護サービスの一覧を紹介します。
それぞれの介護サービスについては、次の項目から行っていきます。
訪問系サービス
訪問系サービスは自宅に介護士や看護師が訪問し、介護サービスを提供します。
訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの身体介護や掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助を行います。
訪問看護
看護師などが疾患のある方の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて、療養上の世話や、診療の補助を行います。
訪問介護(ホームヘルプ)と比較して、医療的なサービスの提供に重きを置いた介護サービスです。
訪問入浴
看護職員と介護職員が自宅を来訪し、持参した浴槽にて入浴介助を行います。
介護職員による入浴介助の提供だけでなく、看護職員による健康チェックも行います。
訪問リハビリ
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、リハビリテーションを行います。
介護を希望される方の、身体能力の回復を目的とした訪問系サービスです。
夜間対応型訪問介護
夜間帯にヘルパーが、自宅の訪問を行う介護サービスです。
「夜間帯対応型訪問介護」は「定期巡回」と「随時対応」の2種類があります。
「定期巡回」は18時~8時(夜間帯)に定期的な訪問を行い、排泄介助や安否確認などを行います。
それに対して「随時対応」は、ベッドからの転落や体調不良時などの緊急時に、ヘルパーを呼んで介助を受けたり、救急車の手配を行ったりする介護サービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護
24時間、365日体制で定期的な巡回や必要時の通報対応など、利用者の状況に応じて、介護サービスを提供します。
24時間、365日体制で介護サービスが受けられるため、手厚い介護が期待できます。
しかし利用料金が1カ月ごとの定額制であるため、利用頻度が少ない場合には割高になってしまう可能性があります。
通所系サービス
通所系サービスは介護を希望される方が施設へ通い、介護サービスを受けます。
介護サービスによっては、施設の車両による自宅への送迎も可能で、日帰りでの利用になります。
通所介護(デイサービス)
通所介護の施設(デイサービス、利用定員が19人以上)へ通い、食事や入浴などの日常生活に必要な支援とともに、生活機能の向上を目的とした機能訓練や口腔機能向上サービスを日帰りで受けます。
自宅にこもりがちになる高齢者の、外出や社会交流を目的としています。
施設によっては日常生活の支援だけではなく、レクリエーションや外出に力を入れた所もあります。
介護を希望される方が望むサービスを提供してくれる、施設を利用するとよいでしょう。
通所リハビリテーション(デイケア)
基本的にはデイサービスと同じですが、通う施設が通所リハビリテーション(老人保健施設、病院、診療所など)であるという違いがあります。
また通所リハビリテーションは医師が常駐しなければならず、外出や社会交流を目的とした通所介護(デイサービス)とは異なり、機能訓練や認知症の改善など、生活機能の向上を目的としています。
認知症対応型通所介護
認知症の方を対象にした、専門的なケアを提供する通所系サービスです。
デイサービスセンターのほかに、グループホームなどでサービスの提供を受けることになります。
認知症対応型通所介護は、認知症の方を対象としているため、医師による認知症の診断を受けなければ利用できません。
通所介護(デイサービス)と同じように、外出や社会交流を目的としています。
地域密着型通所介護(小規模デイサービス)
地域密着型の通所介護施設(定員が19人未満のデイサービス)へ通う介護サービスです。
提供されるサービスは、通所介護(デイサービス)と同じです。
療養通所介護
看護師による経過観察が必要となる難病、認知症、脳血管疾患後遺症等の、重度介護者を対象にした介護サービスです。
療養通所介護の施設へ通い、食事や入浴などの日常生活の支援から、レクリエーションなどを通して社会との交流を行えます。
1日に利用できる定員が8名となっており、利用者1人対して1.5人以上の人員を配置するように定められているため、手厚いサービスを受けられます。
短期入所系サービス
短期入所系サービスは一定の期間、施設へ宿泊し、介護サービスが提供されます。
連続して施設へ宿泊できる期間は、原則的に制限が存在します。
短期入所生活介護(ショートステイ)
介護老人福祉施設(特養)などが一定期間、介護を希望される方を受け入れ、入浴や食事などの日常生活支援、機能訓練などを提供します。
連続利用できる日数が30日という制限があるため、永続的に利用することは原則的に不可能です。
介護をされる方の急を要した外出や冠婚葬祭、日々の疲れのリフレッシュなどの利用が多く見受けられます。
短期入所療養介護
医療機関や介護老人保健施設(老健)などに一定期間、宿泊し介護サービスを受けます。
短期入所生活介護(ショートステイ)と異なり、医療機関や介護老人保健施設に宿泊するため、インスリンの自己注射を行っている方や喀痰吸引が必要な方など、医療的なサポートが必要な方に適した介護サービスです。
環境を整えるサービス
環境を整えるサービスは歩行などの日常動作や、安全に過ごせるように自宅の環境を整えることを目的とした介護サービスです。
福祉用具貸与
介護が必要な方の状態に適した福祉用具の選定、取り付け、調整を行い、該当の福祉用具を借り受けることができます。
借り受けることができる福祉用具は、歩行器や車いす、床ずれ防止用具などがあります。
福祉用具は借り受けるため、利用が終了したら事業者へ返却しなければなりません。
住宅改修
手すりの取り付けや、段差の解消などを目的とした住宅の改修をおこなったときに、必要となった費用の9割が介護保険から支給されます。
住宅改修には20万円の「支給限度基準額」(9割が支給されるため、支給額の限度は18万円)が定められています。
住宅改修を行うときには「支給限度基準額」に注意し、利用するようにしましょう。
また介護保険を利用した住宅改修は、事前に市区町村へ申請を行う必要があります。
特定福祉用具販売
入浴や排せつなど、レンタルに適していない福祉用具の販売を行います。
購入時の自己負担額は、介護保険被保険者証の自己割合を反映したものになります。
施設へ入所するサービス
施設へ入所するサービスは生活の拠点を施設へ移し、介護サービスを受けながら日々の生活を施設にて送ります。
同じ施設へ入所するサービスでも、基本的に連続利用の日数制限がない「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」から、原則3カ月までの利用である「老人介護保険施設(老健)」など、さまざまな種類が存在します。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設(特養)に入所し、施設で日々の生活を送りならが、介護に必要なサービスを受けられます。
短期入所生活介護(ショートステイ)と異なり、連続して利用する日数の制限が存在しません。
介護老人保健施設(老健)
長期にわたって療養が必要な方を受け入れ、入所者が可能な限り自宅で生活できるよう、リハビリと身体のケアを中心とした介護サービスを受けることができます。
原則、3カ月までの入居期間が定められており、入居期間を過ぎてしまうと退居しなければなりません。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設が長期にわたって、療養が必要な方を受け入れ、機能訓練や医療、介護サービスを提供します。
介護療養型医療施設は、病院に併設されていることが珍しくなく、身体の回復を目的とした方を受けています。
入院という特色が強く、一般的な老人ホームと比べてプレイべートスペースは少ない特徴があります。
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
国や自治体から、指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームに入居し、食事や入浴などの日常生活支援や機能訓練などを提供します。
訪問介護事業所(ヘルパー事業所)や訪問看護事業所などが外部サービスとして、連携しサービスを提供する施設もあります。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の方を対象とした入所施設で、5~9人の特養などと比較して少人数の利用者が、介護スタッフとともに共同生活を行います。
施設に入所し、食事や入浴などの日常生活支援、機能訓練などを受けられますが、できることは自分で行うのが認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の特徴ですので、医療的なサービスが必要になる方は入所が難しくなっています。
また認知症の方を対象とした施設ですので、医師より認知症の診断を受けていない方は入所することができません。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
入所定員30人未満の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所し、必要な介護サービスを受けることができます。
特別養護老人ホームとは異なり、原則として施設がある地域に住んでいる方しか申し込むことができません。
サービス内容は特別養護老人ホームと変わりありません。
地域密着型特定施設入居者生活介護
入居定員が30人未満の、有料老人ホームや経費老人ホームに入所し、介護サービスを受けられます。
基本的なサービス内容は特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)と、同じものになります。
まとめ
介護サービスについて、紹介してきました。
自宅から施設へ通う通所介護(デイサービス)から杖や歩行器などの貸与を行う福祉用具貸与、施設へ入所し日々の生活を送る介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)など、複数の種類が存在します。
介護サービスについてまとめると
- 介護サービスの提供を受ける場所は、自宅から施設と幅広い
- 認知症対応型通所介護など、条件を満たさなければ利用できない介護サービスがある
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護など、施設の利用定員によって名称が異なる介護サービスもある
ということがあります。
介護サービスは多岐にわたるため、どのようなサービスが必要であるかを考えて、利用する介護サービスを選ぶ必要があります。
また同じ通所介護(デイサービス)でも、力を入れて提供しているサービスが異なります。
どの介護サービスを使用したらよいか決められないのであれば、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談することをおすすめします。
介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談するときには、介護を希望される方の状態とともに、介護を希望される方だけでなく、家族や周りの人たちの介護サービスの利用に関する要望を伝えるようにしましょう。