介護保険 介護サービス

介護保険の自己負担の計算方法をご紹介!

更新日:

介護保険の自己負担の計算方法をご紹介!

介護保険を利用したサービスの料金は、食料品や衣類とは異なり、利用料金の一部が40歳以上になると支払うことになる「介護保険料」から給付されます。

介護サービスを利用するにあたって、利用料金について不安になることもあるでしょう。

今回は介護保険サービスを利用したときの、自己負担の計算方法を紹介していきます。

介護保険で必要なお金について

介護保険で必要なお金について
介護保険サービスを利用したときに、必要になるお金は大まかにわけて、介護保険料から給付対象となるものと、そうではないものになります。

「介護保険料」の給付対象となる料金は、介護保険サービスを利用すると自動的に発生します。

この料金のことを、当記事では「介護保険サービス費」と呼ぶことにします。

「介護保険サービス費」は介護保険サービスを利用した時の、基本料金のようなものです。

一方で、宿泊費や食費は「介護保険料」からの給付を受けることはできません。

食費であれば、体調不良で食事を食べなかった場合、料金が請求されることはありませんが、先ほど紹介したように「介護保険サービス費」は介護サービスを利用すれば、必ず発生います。

その① 自己負担額について

「介護保険サービス費」は「介護保険料」からの給付対象になると紹介しましたが、負担割合は人によって異なります。

1割から3割までの幅があり、収入が一定額以上ある方は2割もしくは3割負担になります。

それ以外の方は1割負担で、介護保険サービスを利用することができます。

自己負担割合は、介護保険被保険者証の負担割合で確認することができます。

例えば通所介護(デイサービス)を1回利用した時に「介護保険サービス費」が、5,000円発生する場合、1割負担の方は500円で利用することができます。

基本的に介護サービスを提供する事業所の料金表には、「介護保険サービス費」から1割(もしくは2割、3割)した費用が記載されています。

後の項目で紹介する「区分支給限度額」を超えて介護サービスを利用するときに、「介護保険サービス費」について気を付けなければなりませんが、そうでない方は介護サービスを利用する費用は、1割(もしくは2割、3割)負担で利用できるんだという程度で問題ないでしょう。

もし「区分支給限度額」を超えてサービスを使用しているかどうか心配な方は、担当ケアマネジャーに問い合わせみることをおすすめします。

その② 区分支給限度額

「介護保険サービス費」には要支援、要介護度によって、1か月に使える限度額が決められています。

この限度額のことを「区分支給限度額」と言います。

要支援1から要介護5までの「区分支給限度額」の詳細は、次の表の通りです。

介護保険の自己負担の計算方法をご紹介!表

上の表は自己負担割合が、1割の方を対象としたものですので、自己負担割合が2割(もしくは3割)の方は、「自己負担限度額」に自己負担割合の数をかけてください。

例えば要介護度1の方で自己負担割合が2割の方は、「自己負担限度額」は33,384円になります。

「介護保険サービス費」が「区分支給限度額」を超えた場合ですが、「介護保険料」の給付対象外となるため、10割負担しなければならなくなります。

この「区分支給限度額」を超えた時の料金は、計算方法が複雑であるため、あたらめてモデルケースを用いて詳しく紹介していきます。

介護保険で必要なお金の計算方法

介護保険で必要なお金の計算方法
それでは実際に、介護保険サービスを利用した時に必要になるお金を、3つのモデルケースにわけて紹介していきます。

事例.1では妻、息子夫婦と同居しているAさん(男性)、事例.2では息子と2人暮らしのBさん(女性)、そして事例.3では、事例.2のBさんが複数の介護サービスを利用したときのモデルケースです。

その① 事例1.区分支給限度額以内でサービスを利用した場合

利用者:Aさん(男性) 要介護度1(自己負担限度額 16,692円)

家族関係:妻、息子夫婦と同居。
     男性の妻も年老いてきたため、気晴らしにデイサービスの利用を希望。

利用サービス:デイサービス(1回の利用につき、677円の自己負担)
       ※入浴介助加算等は発生していないものとします。

利用回数:1カ月で4回の利用(6時間以上8時間未満での利用)

1か月の利用料金:2,708円

算出方法:677円×4回=2,708円(自己負担限度額である16,692円以内)
     ※別途、食費などの諸経費が発生します。

その② 事例2.区分支給限度額を超えてサービス利用した場合

利用者:Bさん(女性) 要介護度1(自己負担限度額 16,692円)

家族関係:息子と2人暮らし。息子は日中、仕事で外出している。
     認知症が現われはじめているので、日中、1人で家で過ごせるかが心配であり、
     デイサービスの利用を希望。

利用サービス:デイサービス(1回の利用につき、677円の自己負担)
       ※入浴介助加算等は発生していないものとします。

利用回数:1カ月で30回の利用(6時間以上8時間未満での利用)

1か月の利用料金:52,872円

算出方法:677円×30回=20,310円(自己負担限度額である16,692円を超えている)

ここからが事例.1とは大きくことなります。

まずは10割負担する料金(自己負担限度額オーバー分)を算出します。

20,310円(1か月の利用料金)-16,692円(自己負担限度額)=3,618円

3,618円×10=36,180円(自己負担限度額オーバー分)
※本来であれば1割負担であるとこ、10割負担になるため、自己負担限度額を超えた料金は10倍になります。

10割負担分が算出できたら、1割負担となる「自己負担額」と合算し、1か月の利用料金が算出されます。

16,692円(自己負担限度額)+36,180円(自己負担限度額オーバー分)=52,872円
※別途、食費などの諸経費が発生します。

その③ 事例3.区分支給限度額を超えて、複数の事業所のサービスを利用した場合

基本的な考え方は、事例.2の「区分支給限度額」を超えて利用したときと同じです。

担当ケアマネジャーの判断により、「自己負担限度額オーバー分」をどの介護サービス事業所で発生させるかが決められます。

今回はデイサービスとショートステイを利用し、「自己負担限度額オーバー分」はデイサービスの事業所で発生するものとします。

利用者:Bさん(女性) 要介護度1(自己負担限度額 16,692円)

家族関係:息子と2人暮らし。息子は日中、仕事で外出している。
     平日はデイサービスの利用。息子が1泊2日で出張へ行くことになり、
     ショートステイの利用も希望。

利用サービス:デイサービス(1回の利用につき、677円の自己負担)
       ※入浴介助加算等は発生していないものとします。

       ショートステイ(1回の利用につき、599円の自己負担)
       ※機能訓練等の加算や、食費、居住費は含まれないものとします。

利用回数:デイサービスを、1カ月で30回の利用(6時間以上8時間未満での利用)

     ショートステイを、1泊2日で1回の利用(2日間の利用)

利用料金(1か月):デイサービス 1,198円

         ショートステイ 63,654円

算出方法の紹介にあたり、「区分支給限度額」を超えて複数の事業所を利用した場合の計算方法は、大変混み入っており、介護保険サービスの利用に慣れていない家族や周りの方は、混乱を招く可能性があります。

参考までに算出方法を記載しますが、無理に理解する必要はありません。

ただし事業所間の連絡ミス等の要因により、「自己負担限度額オーバー分」を本来請求されない事業所(今回の事例であればショートステイ事業所)から請求されることが考えられます。

「区分支給限度額」を超えて複数の事業所を利用したときには、請求書の確認をしておくことを強くおすすめします。

それでは算出方法の紹介をしていきます。

ショートステイの利用料金の算出方法:599円×2回=1,198円

デイサービスの利用料金の算出方法:677円×30回=20,310円

事例.2ではデイサービスのみ利用していましたが、今回はショートステイも利用しています。

デイサービスで自己負担額が発生するので、デイサービスの利用料金に充てられる「区分支給限度額」がショートステイの利用分、目減りした状態となっています。

というのも「区分支給限度額」は、1か月間に利用できるすべての「介護保険サービス費」の合算であるからです。

要介護1の方の「自己負担限度額」は、16,692円(上の表、参照のこと)でした。

ショートステイの利用で1,198円の利用料金が発生しているため、残りの「自己負担限度額」は、以下の通りとなります。

16,692円ー1,198円=15,494円(介護保険サービスで利用できる残りの「自己負担限度額」)

この後のデイサービス利用料金の算出方法は、事例.2で紹介したものと同様です。

事例.2では「自己負担限度額」を16,692円で算出していましたが、今回は「自己負担限度額」の残りが15,494円になっているので、置き換える必要があることだけを注意してください。

今回の事例.3での、デイサービスの利用料金は次の通りです。

15,494円(デイサービスの利用に充てられる「自己負担額」)+48,160円(自己負担額オーバー分)=63,654円

まとめ

まとめ
介護保険の自己負担の計算方法について、紹介してきました。

「区分支給限度額」を超えると、発生する費用が大きくなるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

介護保険の自己負担についてまとめると

  • 「介護保険料」で料金の一部が給付される「介護保険サービス費」の他に、食費や宿泊費などが発生することがある
  • 「介護保険サービス費」は要支援、要介護度によって、1カ月に利用できる限度が決められている
  • 1月に利用できる限度を超えた場合には、超えた分に関して10割負担しなければならない

ということがあります。

先ほどの事例では、要介護度1の方が1か月間にほぼ毎日デイサービスに通うという事例でしたが、介護保険サービスの利用方法よっては、費用が大きくことなるということは心にとめておいた方がよいでしょう。

前項目で紹介したように、要支援や要介護が高くなればなるほど、つまり介護が必要であればあるほど「区分支給限度額」が高くなります。

ケアマネジャーと相談し、介護を希望されている方が必要としている、介護サービスを利用するようにしましょう。

-介護保険, 介護サービス

Copyright© たのしい介護 , 2023 All Rights Reserved.