介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みです。
公費や高齢者の介護保険料(第1号被保険者)のほか、40歳から64歳までの健康保険の加入者(第2号被保険者)の介護保険料等により支えられています。
介護保険料が徴収される年齢と、その徴収額について解説します。
介護保険料が徴収されるのは40歳になってから
介護保険料は「満40歳に達したとき」から徴収されます。「満40歳に達したとき」というのは誕生日の前日のことをいい、その日が属する月から第2号被保険者としての資格を取得したこととなり、徴収が開始されます。
介護保険料は誕生日の前日から発生する
「誕生日の前日が属する日」から徴収が開始されるということは、例えば誕生日が6月1日であった場合、前日が5月31日であるので、徴収は5月分の健康保険料とともに介護保険料の徴収が開始されるということになります。
介護保険料が免除される場合は
介護保険料の納付義務は、日本国内に住所を有する40歳以上の方であり、介護保険被保険者であることが定められています。
しかし、この介護保険被保険者に該当しない場合には、保険料の納付義務が発生しないため、保険料納付を免除することとなります。
免除の条件に関しては、市区町村が独自に定めることとなっていますが、多くの自治体で採用されている項目は以下の通りです。
① 日本国内に住所を有さない海外居住者
② 介護保険適用除外施設などの入所者
③ 在留資格1年未満の短期滞在の外国人
介護保険料はどうやって決まるのか
介護保険制度の対象となる方は第1号被保険者と第2号被保険者に分かれますが、それぞれ支払う介護保険料や、算定方法、納付方法が異なります。
さらに、第2号被保険者は国民健康保険とそれ以外の医療保険への加入者では違いがあります。
第1号被保険者の介護保険料
65歳以上の方の介護保険料は、本人や世帯員の住民税の課税状況、本人の収入や所得に応じ、毎年、各市区町村の介護保険料所得段階表に照し合せて決められます。
各市区町村で必要とされる介護給付の費用と、65歳以上の方の人数などから基準額が決まります。
基準額とは各所得段階の保険料額を決める基準になる金額のことです。
市区町村によって必要なサービスの量や65歳以上の人数は違いますので、基準額も異なります。
保険料額は所得の低い人などの負担が大きくならないように、本人と世帯員の住民税の課税状況や所得などに応じて、段階的に調整されます。
第1号被保険者の保険料納付方法
①特別徴収
老齢・退職・障害・遺族年金を受給している方で、受給額が年額18万円以上の方は年金の定期振込みの際に、介護保険料があらかじめ差し引かれます。
②普通徴収
老齢・退職・障害・遺族年金を受給している方で、受給額が年額18万円未満の方などは、市区町村が発行する納付書または口座振替で納付します。
第2号被保険者の介護保険料
第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)は、医療保険料と合わせて介護保険料を納めます。保険料の額や計算の仕方は、加入している医療保険によって異なります。
国民健康保険に加入している場合の計算方法
自営業者・自由業者のように国民健康保険に加入をしている第2号被保険者の場合は、次のように介護保険料が算定されます。
所得割+均等割+平等割+資産割 = 介護保険料
各市町村はこれら所得割・均等割等4つの項目を組み合わせ、独自の計算方法を決めて介護保険料を算定します。
国民健康保険以外に加入している場合の計算方法
事業所に勤務する従業員などの介護保険料は、次のように算定します。
標準報酬月額 × 介護保険料率 = 介護保険料
標準報酬月額とは、通勤代や残業代を含み税金が引かれる前の給与である報酬月額を、区切りのよい額で区分した額をいいます。
介護保険料率は、全国健康保険協会(協会けんぽ)や、ご自分が所属する健康保険組合ごとに設定されています。
介護保険料の納付の仕方
第2号被保険者の介護保険料の納付は、国民健康保険に加入している場合、同じ世帯の40歳から64歳の方全員の医療保険分と介護保険分とをあわせて、国民健康保険税として世帯主が納めます。
国民健康保険以外の健康保険に加入している場合には、医療保険料と介護保険料をあわせて給与および賞与から徴収されることとなり、原則として本人と事業主が2分の1ずつを負担します。
まとめ
介護保険料の納付は国民の義務であり、満40歳になると徴収されます。
介護保険の保険料の計算方法は、第1号被保険者は自治体によって異なり、第2号被保険者は、加入する医療保険による違いがあります。
公平公正な保険料徴収のために、住んでいる地域や職業、それぞれの年齢や経済状況に合わせた基準によって、均等な配分で負担するように考えられているのです。