介護をする上で欠かすことのできないものの一つに、ベッドがあげられます。
通常の家具として販売されているベッドでも問題はないのですが、寝たきりになったり、それに近い状態になった時、オムツ交換や食事など、様々な点で利点のある福祉寝台(特殊寝台)について解説します。
介護保険でベッドは購入できるのか
ベッドは購入ではなくレンタルなら可能
介護保険のサービスを利用するにあたり、要介護度の認定を受けます。
介護保険サービスでは「福祉用具貸与」というレンタルサービスや、「特定福祉用具販売」というサービスを受けることができます。
「特殊寝台」とよばれるお世話をする上で必要な機能をもったベッドは、介護保険サービスではレンタルのみ可能なサービスです。
介護保険で購入できる福祉用具
特定福祉用具販売の対象は5品目あります。
①腰掛便座
和式便器の上に置いて腰掛式に変更するもの(腰掛式に交換する場合高さを補うものを含む)
洋式便器の上に置いて高さを補うもの
電動式又はスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有するもの
ポータブルトイレ
②自動排泄処理装置の交換可能部品
自動排泄処理装置の交換可能部品のうち、居宅要介護者又は、介護者が容易に交換できるもの
③入浴補助用具
入浴に際しての座位の維持、浴槽への出入り等の補助を目的とする用具であって次のいずれかに該当するもの
- 入浴用いす
- 浴槽用手すり
- 浴槽内いす
- 入浴台
- 浴室内すのこ
- 浴槽内すのこ
④簡易浴槽
空気式又は折り畳み式等で容易に移動できるものであって、取水又は排水のために工事をともなわないもの
⑤移動用リフトの吊り具
移動用リフト本体は貸与(レンタル)対象の商品です。吊り具部分のみ購入対象商品になります。
介護保険でレンタルできる福祉用具
福祉用具貸与の対象は13品目あります。
①車いす
自走用標準型車いす、普通型電動車いす、又は介助用標準型車いす
②車いす付属品
クッション、電動補助装置等で、車いすと一体的に使用されるもの
③特殊寝台
サイドレールが取り付けてあるもの、又は取り付け可能なもので、背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能があるもの。床板の高さが無段階に調整できる機能があるもの。
④特殊寝台付属品
マットレス、サイドレール等であって、特殊寝台と一体的に使用されるもの
⑤床ずれ防止用具
送風装置又は空気圧調整装置を備えた空気マット。水等によって減圧による体圧分散効果をもつ全身用のマット
⑥体位変換器
空気パッド等を身体の下に挿入し、体位を変換できる機能を有するもの。(体位の保持のみを目的とするものは除く)
⑦移動用リフト
床走行式、固定式、据置式のもの。(取付けに住宅の改修を伴うものを除く)
⑧認知症老人徘徊感知機器
認知症老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの
⑨手すり
取付けに際し工事を伴わないもの
⑩スロープ
段差解消のためのものであって、取付けに際し工事を伴わないもの
歩行器
歩行機能を補う機能があり、移動時に体重を支える構造をもつもの。
⑫歩行補助杖
歩行時に体を支えるための杖。松葉づえや多点杖など。
⑬自動排泄処理装置
尿や便が自動的に吸引されるもの。(尿のみ吸引:要支援、要介護。尿と便を吸引:要介護4・5)
介護保険を利用して福祉用具をレンタルや購入する方法
「福祉用具貸与」と「特定福祉用具販売」といった介護保険サービスを利用する場合、要介護度の認定を受ける必要があります。
要支援または要介護の認定を受けたのち、これらのサービスを利用して福祉用具のレンタルや販売を受けることができます。
「特定福祉用具販売」は要介護ごとに定められている、毎月の利用上限額とは別に10万円を上限枠として購入費の7~9割までが支給されます。
まず利用者が全額(10割)を支払って購入し、後で市町村役場へ申請して負担割合に応じた払い戻しを受けることとなります。
「福祉用具貸与」の場合は要介護度の支給限度額以内で、ケアマネージャなどが計画するケアプラン(居宅介護支援計画)に位置づけることによって受けることができます。利用者の負担は負担割合証によって確認され、1~3割の負担です。
福祉用具のレンタルや購入時の注意点
どちらのサービスを利用する場合でも、ケアマネージャーに相談してサービスを受けることとなります。
「福祉用具貸与」を利用する場合に注意することは、要介護度によってはレンタルを受けることができない物もあるということです。
上記の貸与対象品目のうち①~⑧は要介護2~5までの方が対象です。
介護度が該当しない場合であっても、医師の判断を受けたり、全額の10割を負担することなどの条件をクリアすれば貸与サービスを受けることもできます。
購入に関しては、都道府県等の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入した場合のみ対象となります。
福祉用具のレンタルや購入は在宅サービスの人が対象
また、「在宅で生活している方」が対象のサービスですので、自宅でお住いになっている方が対象であり、介護保険施設のうち「在宅」と位置づけられていないサービスでは利用することができません。
同じ種類のものは複数所持することができない
特定福祉用具販売で購入した場合、同じ種類のものを複数購入することは、介護保険法により認められていません。
ただ、商品が破損した場合など、市町村が認めた場合には再支給が認められる場合もあります。
まとめ
介護が必要になった場合、福祉用具を活用して少しでも負担を軽減し、自立した生活に向けた支援が必要となります。
介護保険サービスを利用せずに購入することもできますが、その費用負担も大きくなってしまいます。
ケアマネージャーや福祉用具業者といった専門家の視点で、対象者の生活に合った用品を選定してもらうことで、ストレスのない生活が送れるものと思います。