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介護保険サービスの自己負担とは?支給限度額との関係は?

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介護保険サービスの自己負担とは?支給限度額との関係は?
この記事では介護保険サービスの自己負担について解説しています。

介護保険制度では介護保険サービスを利用する際にはかかった費用の一部を自己負担として支払うことになっていますが、皆さんは介護保険で必要になってくる自己負担の額などについてはご存知ですか?

ここでは介護保険サービスの自己負担について解説していきますので、介護保険サービスを利用した際の自己負担について知りたいという方は是非この記事を参考にしてみてください。

介護保険サービスの料金について

介護保険サービスの料金について
介護保険制度は介護が必要になった高齢者やその家族を社会全体で支えていこうという目的で平成12年にスタートした制度です。

この介護保険では介護保険サービスを利用するとかかった費用の一部を利用者負担として支払うことになりますが、一体どれくらいのお金が必要になってくるのでしょうか?

その① 自己負担について

介護保険では自己負担割合というものが定められており、65歳以上の第一号被保険者の方は介護保険サービスを利用すると所得に応じて決められている負担割合に応じた費用を支払う必要があります。

介護保険制度が始まった2000年には原則として全ての方が1割負担でしたが、2015年8月の介護保険の改正によって一定以上の取得がある方の利用者負担割合が1割から2割に引き上げられました。

また、2018年8月の介護保険の改正によって2015年の改正で2割負担となった方の一部が3割負担に引き上げられました。

なお、40歳~64歳までの第二号被保険者の方はどれだけ所得があろうと全ての方が一律で1割負担となっています。

それぞれの負担割合となる所得の基準は以下の通りです。

  1. 3割負担になる方
    • 合計所得金額が220万円以上
    • 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は344万円以上に相当)
  2. 2割負担になる方
    • 合計所得金額が160万円以上
    • 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で280万円以上、夫婦世帯で346万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は280万円以上に相当)
  3. 1割負担になる方
  4. 上記の3割負担と2割負担の要件に当てはまらない方

    ※「合計所得金額」とは給与所得や事業収入などの収入から給与所得控除や必要経費を控除した後の金額のことをいい、「その他の合計所得金額」とは、合計所得金額から年金等の雑所得を差し引いた金額のことをいいます。

その② 支給限度額について

介護保険サービスを利用するためには要介護認定を受けなければなりませんが、介護保険では要介護度に応じて全国一律の区分支給限度額(以下に記載)というものが定められています。

介護保険サービスの自己負担とは?支給限度額との関係は?表

この限度額の範囲内で介護保険サービスを利用した場合は先程の項目で解説した所得に応じた1~3割の自己負担となりますが、限度額を超えて介護保険サービスを利用した場合には、その超過分全てが自己負担となるため、ケアマネージャーはこの区分支給限度額を念頭にケアプランを作成することになります。

ただ、この支給限度額の対象となるのは在宅介護で介護保険サービスを利用する場合のみであり、施設サービスは支給限度額の対象外となっています。

しかし、施設サービスでは自己負担分の費用の他に食費、居住費、日常生活費などがかかってきます。

介護保険サービス料金の計算について事例で説明

介護保険サービス料金の計算について事例で説明
介護保険ではサービスを利用した場合の利用料は金額ではなく単位で表され、「1単位=10円」を標準として計算を行います。

介護保険で必要になってくる金額は「サービスごとの単位数×1単位の単価(標準で10円)=介護報酬」という計算式を使用して介護報酬を算出し、算出した介護報酬に利用者の自己負担割合を掛けることによって自己負担額を導き出すことができます。

ただ、標準で10円となっている1単位の単価ですが、お住まいの地域によって人件費や物価などが違ってくるため「1級地~7級地、その他」に地域区分されており、級地が上がると地域加算によって1単位の単価が高くなります。

一番地域加算が高いのは東京23区で、最大20%加算されることになります。

その① 支給限度額を超えて利用した場合

支給限度額を超えて利用した場合ですが、要介護1で自己負担割合が1割の方が、1回800単位の介護保険サービスを月に25回利用したとします。

この場合、「800単位×10円×1割×25=20,000円」となり、支給限度額である16,692円を超えてしまいます。

この場合、自己負担1割で利用することができるのは支給限度額である16,692円までであり、残りの3,308円は全額自己負担となりますので、「3,308円×10=33,080円」となり、その月の自己負担額は49,772円となってしまします。

その② 介護保険の対象外のサービスを利用した場合

介護保険サービスは介護保険が適用されるため、サービスを受ける際にかかった費用の1割(所得に応じて2~3割)を負担することで受けることができますが、介護保険の対象外のサービスを利用した場合は介護保険が適用されないため、かかった費用は全額自己負担となります。

通常、介護保険サービスは要介護認定を受けている方しか利用することができませんが、この介護保険の対象外のサービスは要介護認定を受けていない方でも利用することが可能になっています。

介護保険の対象外のサービスには以下のようなサービスが該当します。

  1. 介護保険サービスでは提供することができない生活援助系のサービス
  2. 食事、洗濯、掃除、買い物、草むしり、花の水やり、大掃除、手間のかかる料理などを始めとした日常生活を送る上で必要になってくる支援を行うサービスがこれに該当します。これらのサービスは介護保険サービスでは提供することができないものとなっており、利用する場合は全額自己負担となります。

  3. 介護保険サービスでは提供することができない身体介護系のサービス
  4. 入院中の世話、墓参り、冠婚葬祭、趣味趣向のための外出介助、認知症高齢者の見守りなどの支援を行うサービスがこれに該当します。これらのサービスも介護保険サービスでは提供することができないものとなっており、利用する場合は全額自己負担となります。

  5. 移動系のサービス
  6. 介護保険適用外の「介護タクシー」などがこれに該当します。介護保険サービスの1つである訪問介護には「通院等の乗降介助」があり、介護保険で定められている範囲であればケアプランに組み込むことによって介護タクシーは介護保険が適用となるため自己負担が軽減されることになります。ただ、要介護認定において「要介護1~5」と認定され、1人で公共交通機関に乗ることができない方のみしか保険適用の対象にならず、介護を行っている家族も同乗することができないと定められています。このため、介護保険が適用される介護タクシーは使いにくいと感じる方が多くなっていますが、保険適用外の介護タクシーを利用することによってケアプランを作成せずとも利用することができ、家族も同乗することが可能になります。

まとめ

まとめ
ここまで介護保険サービスの自己負担について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

解説してきたように介護保険サービスを利用した際にはそのサービスの費用の一部を負担することになりますが、介護保険には支給限度額というものが定められており、所得に応じて決められた負担割合で利用することができるのはその支給限度額の範囲内である場合のみとなっています。

つまり、支給限度額を超えて介護保険サービスを利用した場合には、その超過分の費用を全額自己負担しなければならなくなるということです。

もし認定されている要介護度が現在の身体状況に適合しておらず支給限度額が足りないという場合は、要介護度の区分変更申請を行うことができます。

このため、自分の身体状況が認定されている要介護度に合わないからといって、利用している介護保険サービスの量を削って支給限度額内におさめるなどということは絶対にやってはいけません。

自分自身にとって必要となる介護保険サービスを必要な分だけ受けるために何をすればいいのか、担当のケアマネージャーなどに相談した上で必要な行動を行うようにしてください。

また、介護保険の対象外のサービスは介護保険適用の介護保険サービスとは異なりサービスを利用するための条件などがありませんが、その分かかった費用は全額自己負担となりますので、利用はその点をよく考えた上で行うようにしましょう。

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