この記事では介護保険における第1号被保険者と第2号被保険者の違いについて解説しています。
介護保険制度では被保険者が年齢によって第1号被保険者と第2号被保険者の2種類に分けられていますが、皆さんはこの2種類の被保険者の違いをご存知ですか?]
数字の違いだけでそこまで変わらないだろうと思っている方もいるかもしれませんが、この第1号被保険者と第2号被保険者には大きな違いがあるのです。
ここでは護保険における第1号被保険者と第2号被保険者の違いについて下肢悦していきますので、2種類の被保険者の違いについて知りたいという方は是非この記事をご覧ください。
介護保険制度について
介護保険制度とは、介護が必要になった高齢者とその家族を社会全体で支えていこうという目的で平成12年にスタートした制度で、利用者の自立支援、利用者本位のサービス利用、社会保険方式の採用などが大きな特徴です。
現在日本では40歳になると自動的に介護保険に加入することになり、亡くなるまで介護保険料を支払わなければならなくなりますが、介護保険制度は全国の市町村と東京23区が運営主体(保険者)となり、介護保険の被保険者が納めている介護保険料と税金によって運営されていますので、被保険者が納める介護保険料はとても重要な財源となっています。
介護保険の被保険者は介護保険が適用される介護サービスを利用した場合、原則としてその費用の1割を自己負担分として支払い、残りの9割は保険者が負担することになります。
ただ、被保険者の負担分は所得に応じて決められることになっており、所得が多い方は自己負担割合が2割、または、3割となる場合があります。
第1号被保険者
介護保険制度における被保険者は年齢によって第1号被保険者と第2号被保険者に分けられていますが、ここでは第1号被保険者について解説していきます。
その① 年齢について
第1号被保険者となる年齢は65歳以上の方となっています。第1号被保険者となるためには年齢以外の条件などは特に存在せず、65歳意を迎えると自動的に第1号被保険者の資格を取得することが可能になっています。
ただ、介護保険の第1号被保険者であるからといって無条件で介護保険の支給が行われるわけではありません。介護保険の支給を受けるには介護が必要な状態であると認められる必要があります。
その② 徴収方法について
第1号被保険者の介護保険料の徴収方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類が存在します。
特別徴収とは基本的な徴収方法で、年金から介護保険料が天引きされるかたちでの徴収のことを指します。
年金を受給している者に年金を支払う前に介護保険領分の金額を差し引いて、その分を介護保険料として市町村へ納入します。
ほとんどの第1号被保険者の方がこの徴収方法で介護保険料を納めており、この方法によって介護保険料の未納や滞納などを未然に防ぐことが可能になっています。
また、第1号被保険者の方の中でまだ就業しているという方も給料からの天引きではなく、必ず年金から天引きが行われます。
普通徴収ですが、こちらは年間の年金受給額が18万円に満たない方が対象になる徴収方法となっています。
この条件に当てはまる第1号被保険者の方の介護保険料は年金からの賃引きは行われません。
市町村から送られてくる納付書や口座振替サービスなどを利用することによって介護保険料を納めなければならなくなります。
その③ 計算方法について
第1号被保険者の介護保険料ですが、支払わなければならない金額はお住まいの市町村によって異なってきます。
計算方法ですが、第1号被保険者の介護保険料は標準では9段階となっていますが、お住まいの市町村によって所得による段階数が異なってきます。
介護保険料の計算方法ですが、保険料基準額(第1号被保険者が利用する介護保険サービスにかかる費用を第1号被保険者の数で割ったもの)に所得による段階ごとに定められている係数を掛けることによって介護保険料を求めることが可能になっています。
お住まいの市町村によって介護保険料が異なってきますので、正確な数値を知りたいという方は担当窓口にて確認するようにしてください。
その④ 資格の取得や喪失について
[資格の取得]
①65歳になったとき
第1号被保険者の資格を取得することができるのは65歳の誕生日の前日となっています。
このため、誕生日が2日~31日までの方は誕生日月から介護保険料を支払うことになりますが、誕生日が1日の方は誕生日がある月の前の月に第1号被保険者となることになり、誕生日がある月の前の月から介護保険料を支払わなければならなくなります。
②他市町村から転入した場合
他市町村から転入した場合には、その転入した日が第2号被保険者の資格取得日となります。
[資格の喪失]
①第1号被保険者本人が死亡した場合
第1号被保険者本人が死亡した場合、その方は第1号被保険者の資格を喪失します。
この場合、死亡した日の翌日が資格喪失日となります。
②介護保険適用除外施設に入所するとき
第1号被保険者の方が以下に記載する介護保険適用除外施設に入所する場合、その方は第1号被保険者の資格を喪失します。
この場合、お住まいの市町村の担当窓口にて介護保険被保険者証を変換しなくてはなりません。
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第29条第1項に規定する指定障害者支援施設(生活介護及び施設入所支援に限る)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第11項に規定する障害者支援施設(生活介護に限る)
- 児童福祉法第42条第2号に規定する医療型障害児入所施設
- 児童福祉法第6条の2の2第3項の厚生労働大臣が指定する医療機関
- 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法に規定する福祉施設
- 国立及び国立以外のハンセン病療養所
- 生活保護法第38条第1項第1号に規定する救護施設
- 労働者災害補償保険法第29条第1項第2号に規定する労働者災害特別介護施設
- 障害者支援施設(知的障害者福祉法第16条第1項第2号に係るものに限る)
- 指定障害者支援施設(生活介護及び施設入所支援の支給決定を受けて入所している知的障害者及び精神障害者に係るものに限る)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第29条第1項の指定障害福祉サービス事業者であって、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則第2条の3に規定する施設(療養介護に限る)
③他市町村へ転出したとき
お住まいの市町村から他市町村へ転出した場合、その市町村での第1号被保険者の資格を喪失します。ただ、必要な手続きを行うことによって転出先の市町村にて第1号被保険者の資格を取得することが可能になっています。
第2号被保険者
ここまでは第1号被保険者について解説してきましたが、ここでは第2号被保険者について下肢悦していきます。
その① 年齢について
第2号被保険者の対象年齢は40歳~64歳となっており、その中で医療保険に加入している方が第2号被保険者となります。
40歳になると自動的に介護保険に加入することになり、介護保険料の徴収が始まりますが、介護が必要になれば介護保険サービスを利用することができる第1号被保険者とは違い、第2号被保険者が介護保険サービスを利用することができるのは、介護が必要になった原因が老化が原因とされる特定疾病であると認められた場合に限られています。
その② 徴収方法について
第1号被保険者の方は基本的に年金から介護保険料が天引きされますが、第2号被保険者の方は加入している医療保険の保険料に介護保険料が上乗せされるというかたちで介護保険料の徴収が行われます。徴収方法が1つしかないので、第1号被保険者と違ってわかりやすいですね。
その③ 計算方法について
第2号被保険者の介護保険料の計算方法ですが、これは加入している医療保険によって計算方法が異なってきます。
[国民健康保険以外の医療保険に加入している方]
国民健康保険以外の医療保険に加入している方の介護保険料は給与や賞与に介護保険料率を掛けることによって算出することが可能になっており、この保険料の支払いは事業所との折半となっています。計算式は‥
「給与の介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率」
「賞与の介護保険料=標準賞与額×介護保険料率」
となっています。
標準報酬月額とは給与などの報酬を区切りがいい幅で区切って決められているもので、5万8,000円から139万円で50等級に分けられており、固定給が大きく増減した場合以外は、年1回の決定時の標準報酬月額が介護保険料計算に使用されます。
標準賞与額は3ヶ月を超える期間ごとに支払われる報酬から1,000円未満の金額を切り捨てたもののことをいい、介護保険料率は加入している保険組合によって異なってきます。
[国民健康保険に加入している方]
国民健康保険に加入している第2号被保険者の介護保険料は「介護保険料=所得割+均等割+平等割+資産割」という計算式によって計算することができます。
- 所得割:世帯ごとに被保険者の前年の所得に応じて決められる
- 均等割:世帯の被保険者数によって決定される
- 平等割:一世帯ごとに課される
- 資産割:所有している土地や家屋に応じて決定される
ただ、この場合の介護保険料はお住まいの市町村が所得割や均等割などの4つの項目を独自に組み合わせて行いますので、実際の計算方法は市町村によって異なります。
その④ 資格の取得や喪失について
[資格の取得]
①40歳になったとき
医療保険に加入している者が40歳になった場合、誕生日の前日に第2号被保険者の資格を取得することになります。
第1号被保険者になる場合は介護保険被保険者証が交付されますが、第2号被保険者の場合は被保険者証の交付はありません。
②他市町村から転入した場合
他市町村から転入した場合には、その転入した日が第2号被保険者の資格取得日となります。
[資格の喪失]
①第2号被保険者本人が死亡した場合
第2号被保険者本人が死亡した場合、その方は第2号被保険者の資格を喪失します。
この場合、死亡した日の翌日が資格喪失日となります。
②介護保険適用除外施設に入所するとき
第2号被保険者の方が介護保険適用除外施設に入所する場合、第1号被保険者と同じようにその方は第2号被保険者の資格を喪失することになります。
③他市町村へ転出したとき
お住まいの市町村から他市町村へ転出した場合、その市町村での第2号被保険者の資格を喪失します。
ただ、所定の手続きを行うことによって転出先の市町村にて第2号被保険者の資格を取得することが可能になっています。
まとめ
ここまで介護保険における第1号被保険者と第2号被保険者の違いについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように被保険者となる年齢や介護保険料の徴収方法など様々な違いがあることが分かっていただけたかと思います。
また、介護保険サービスを利用する際には第2号被保険者にのみ条件が設けられており、老化を原因とする特定疾病が原因で介護が必要になったと認められなければ介護保険サービスを利用することができなくなっています。
ただ、第2号被保険者の方も一定の条件をクリアすると第1号被保険者と同じ介護保険サービスを利用することが可能になります。
このため、介護保険料はしっかりと支払うようにしましょう。「いざというとき」はいつ訪れるか分かりません。
介護が必要となったときに介護保険料を支払っていないと、適切な介護保険サービスを利用することができなくなる可能性がありますので注意する必要があります。