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介護保険の負担限度額を抑えて施設利用費を安くするには?世帯分離をご紹介!

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介護保険の負担限度額を抑えて施設利用費を安くするには?世帯分離をご紹介!

両親や身内の介護をしている人にとって介護サービスは是非活用したいサービスです。

しかし、介護保険施設への入所などは高額の費用がかかり、家族には経済的負担がかかります。

このような問題を解決する方法として「世帯分離」というものがあります。

この記事では世帯分離について、その方法などについて解説していきます。

介護保険制度には負担限度額が存在する

介護保険制度には負担限度額が存在する
介護保険制度には負担限度額というものが存在します。

介護保険を利用する際は、既定の費用を自己負担することが定められています。

ただし、自己負担には世帯の所得額によって上限があり、上限を超えて支払った場合は超過分の払い戻しができます。これが「高額介護サービス費」です。

また、介護保険施設に入所すると、介護サービス費用の利用者負担分を支払うほかに、居住費・食費を支払う必要があります。

この居住費・食費において、所得の低い人は負担限度額が定められ、一般の人に比べると負担が軽減されます。負担限度額については、利用者負担段階ごとに定められています。

これが「特定入所者介護サービス費」です。
 

その① 負担限度額について表で解説!

以下に「高額介護サービス費」の利用者負担段階とその負担限度額について表にまとめました。

介護保険の負担限度額を抑えて施設利用費を安くするには?世帯分離をご紹介!表1

 以下に「特定入所者介護サービス費」の利用者負担段階別の居住費・食費の負担限度額について表にまとめました。(1日あたり)

介護保険の負担限度額を抑えて施設利用費を安くするには?世帯分離をご紹介!表2

※第4段階の負担額は施設における平均的な費用を勘案して国が定めた基準費用額であり、具体的な負担額は施設の基準によります。

その② 負担限度額の申請方法について

「高額介護サービス費」と「入所者介護サービス費」の2つの負担限度額の申請方法について説明します。

「高額介護サービス費」の支給は、要件を満たす人に通知書・申請書が利用月の約3ヵ月後に届きます。要件を満たすかどうかの判断は、自治体で自動的に行われます。

これらの書類に必要事項を記入し、市区町村窓口に提出すれば申請は完了です。申請時には、介護保険サービスの利用と支払いを証明する領収書が必要となりますので、きちんととっておきましょう。

「特定入所者介護サービス費」の支給を受けるには、介護保険限度額認定を各市区町村に申請、認定されることが必要です。

まずは市区町村の社会福祉課や地域包括ケアセンターに相談しましょう。生活保護受給者の方は、ケースワーカーに相談してみてください。

その③ 負担限度額に申請に必要な書類等について

「高額介護サービス費」と「入所者介護サービス費」の2つの負担限度額の申請に必要な書類には以下のものがあります。

「高額介護サービス費」申請に必要な書類

  • 高額介護サービス費支給申請書
  • 介護保険被保険者証の写し
  • 介護サービスを利用した領収書

「特定入所者介護サービス費」申請に必要な書類

  • 介護保険負担限度額認定申請書
  • 同意書(本人が窓口に行けない場合)
  • 介護保険被保険者証の写し
  • 被保険者本人、配偶者名義のすべての通帳の写し
  • その他預貯金以外の資産(有価証券や投資信託など)の写し

秘策!世帯分離で負担限度額の対象に!

秘策!世帯分離で負担限度額の対象に!
前述したように、介護保険には負担限度額というものが存在します。

この負担限度額は介護保険施設を利用する人にとっては、自己負担額が少なくなりとても助かる制度です。

この対象となる秘策として、「世帯分離」という方法があります。世帯分離について以下で説明します。

その① 世帯分離とは何か?

世帯分離とは、住民票に登録されている一つの世帯を、二つ以上の世帯に分けることです。

例えば、親と同居している場合、親世帯と子世帯とに分けて住民登録をします。

これは市役所などで届けるだけで簡単にできます。

その② 世帯分離と負担限度額の関係

介護サービスを利用する際、費用の一部は利用者が自己負担することになります。

世帯分離をすることで世帯の所得が下がり、「高額介護サービス費」や「特定入所者介護サービス費」の利用者負担段階が変わり負担限度額が下がることで、介護費用の節約につながります。

その③ 実はデメリットも!?

世帯分離は介護費用の節約につながるとお話ししましたが、実はデメリットもあります。

  • 国民健康保険料の負担額が増えることがある
    国民健康保険に加入している世帯が世帯分離をした場合、各世帯主が国民健康保険料を支払うことになるため、負担額の合計は増えることがあります。
  • 会社の健康保険組合を利用したほうがよい場合がある
    親を介護している人がサラリーマンの場合、会社の健康保険組合に親を扶養家族として加入させ、組合の制度を利用したほうがお得なことがあります。
  • 介護サービス利用の合算ができなくなる
    複数の介護サービス利用者がいる場合、同一世帯であれば利用料を合算して払い戻しを申請できますが、世帯が別の場合は合算ができません。そのため、サービスの利用の仕方によっては、損をすることがあります。

その③ 事例で解説!【費用が抑えられたケース】

ここで、世帯分離をしたことで費用を抑えられたケースについてお話します。

【事例】 
収入400万円のAさん、パート収入100万円の妻、年金収入70万円の母親の世帯で、母親は特別介護老人ホーム(ユニット型個室)に入所中の場合。

<世帯分離前>

介護保険の負担限度額を抑えて施設利用費を安くするには?世帯分離をご紹介!表3

 Aさんの母親は特別養護老人ホームで、1ヶ月に35万円の介護サービスを受けており、その1割の35,000円を自己負担しています。この他に特別養護老人ホームの居住費と食費が100,500円がかかり、Aさんの母親の介護費用は合計で月額135,000円です。利用者負担段階は第4段階に相当し、特に自己負担額の免除はありません。

<世帯分離後>
Aさんと妻の子世帯、母親のみの親世帯の2つに世帯分離をした場合。

介護保険の負担限度額を抑えて施設利用費を安くするには?世帯分離をご紹介!表4

Aさんの母親は特別養護老人ホームで、1ヶ月に35万円の介護サービスを受けていますが、世帯分離をしたことによって母親のみの世帯所得となり、利用者負担段階の第2段階に相当します。

そのため、高額介護サービス費が適用となり、負担限度額は月額15,000円となります。

また、特定入所者介護サービス費も適用となり、特別養護老人ホームの居住費の負担限度額が1日820円(ユニット型個室)、食費の負担限度額が1日390円となるため、居住費・食費の自己負担分は月額36,300円となります。

介護費用の合計は月額51,300円となり、世帯分離前と比べ、84,200円も減額することができました。

まとめ

 
まとめ
介護保険の費用を節約する方法の負担限度額や世帯分離について解説しました。

以下に重要なポイントをまとめます。

  • 世帯所得により利用者負担段階があり、その段階別に負担限度額が定められています。限度額を超えて支払った場合は超過分の払い戻しができます。施設の居住費・食費においても負担限度額が定められています。
  • 世帯分離をすると世帯所得が下がるため、介護費用の節約につながるケースもあります。特に施設入所している場合は大幅な節約となります。
  • 世帯分離には介護費用の節約というメリットもありますが、デメリットもいくつかあります。

介護サービスでは、世帯全体の所得により高額介護サービス費などの負担限度額が決まるため、世帯分離をした方が介護費用の節約につながるケースもあります。

特に高額な費用がかかる施設に入所した場合は、世帯分離をするかしないかで負担額に大きな差が出ます。

しかし、世帯分離にはデメリットもいくつかあります。メリットとデメリットを把握した上で検討をすると良いでしょう。

世帯分離は介護費用を節約する方法の一つとして覚えておくと良いです。

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