両親や身内の介護をしている人にとって介護サービスは是非活用したいサービスです。
しかし、介護保険施設へ入所すると、介護サービス費用とは別に居住費や食費などの費用もあり、家族には経済的負担がかかります。
このような負担を軽減する方法として負担限度額というものがあります。この記事では「負担限度額」について解説していきます。
そもそも負担限度額とは?
介護保険施設に入所すると、介護サービス費用の利用者負担分を支払うほかに、居住費・食費を支払う必要があります。
この居住費・食費において、所得の低い人は負担限度額が定められ、一般の人に比べると負担が軽減されます。
所得に応じて利用者負担段階が区分され、その区分ごとに負担限度額が定められています。この制度を「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」と言います。
負担限度額の対象となるサービスは?
負担限度額の対象となるサービスには以下のものがあります。
- 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)(居住費・食費)
- 介護老人保健施設(居住費・食費)
- 介護療養型医療施設(居住費・食費)
- 短期入所生活介護(滞在費・食費)※介護予防を含む
- 短期入所療養介護(滞在費・食費)※介護予防を含む
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(居住費・食費)
また、負担限度額を利用するには、下記の二つの要件を満たす必要があります。
- 所得要件:世帯の全員(世帯分離をしている配偶者を含む)が市民税非課税
- 資産要件:預貯金等が一定額以下
配偶者がいる方は合計で2,000万円以下
配偶者がいない方は1,000万円以下
以上の要件を満たした上で、課税年金収入額と非課税年金収入額と合計所得金額の合計額により利用者負担段階が決まります。
負担限度額の申請について
負担限度額を利用するには、介護保険負担限度額認定の申請を行う必要があります。
認定されると介護負担額申請証が交付されます。
介護保険負担限度額認定を申請する場合、申請書には預貯金に関する事項を書く欄があります。
その① 申請方法
介護保険負担限度額認定申請書に記入、押印し、同意書と通知書の写しと共に各市区町村の介護保険課へ提出します。
この手続きは毎年必要です。認定証の有効期限は7月31日なので、8月までに有効申請を行います。
申請をするときは、マイナンバーを記載して番号確認や本人確認を行います。
本人確認が運転免許証のように写真付きでない場合は、健康保険証や介護保険被保険者証のような証明書を2つ以上必要です。
その② 申請書類
負担限度額の申請に必要な書類には以下のものがあります。
- 介護保険負担限度額認定申請書
- 同意書
- 通帳、有価証券等の写し
その③ 代理人が申請する場合
代理人のマイナンバーを記載し、代理権の確認及び代理人の本人確認が必要です。
提出書類は本人が申請を行う場合と同様です。
代理人が住民票上、同一世帯の世帯員以外が申請を行う場合は、代理権の確認が必要です。
成年後見人等の法定代理人の場合は登記事項証明書と法定代理人であることを証明する書類、その他の代理人である場合は委任状が必要です。
また、郵送による申請を行う場合は、申請書類、同意書、通帳等の写し、マイナンバーの通知カードまたは個人番号カードの写しと本人確認ができるものの写しが必要です。
負担限度額の段階を大公開!
利用者負担段階は所得などの状況から第1段階~第4段階に分けられており、国が定める第1段階~第3段階の利用者には負担軽減策が設けられています。
利用者負担のどの段階に該当するかは市町村が決定します。
第1段階~第3段階の設定を受けるには、利用者本人(または代理人)が本人の住所地の市町村に申請し、市町村より「介護保険負担限度額認定証」を受ける必要があります。
この「介護保険負担限度額認定証」施設側へ提出することにより、居住費・食費の負担軽減策=「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」を受けることができます。
以下の表は利用者負担段階とその対象者の所得などの状況についてまとめたものです。
※第4段階においては、高齢者二人暮らし世帯などで、一人が施設に入所しその利用料を負担すると、自宅で暮らす方の生活が困難になると市町村が認めた方は利用者負担第3段階になる場合もあります。
以下の表は利用者負担段階別の居住費・食費の負担限度額についてまとめたものです。居住費・食費の負担限度額は1日あたりのものです。居住費の負担限度額は、その居室のタイプによって金額が変わり、多床室が一番安く、ユニット型個室が一番高く設定されています。
※第4段階の負担額は施設における平均的な費用を勘案して国が定めた基準費用額であり、具体的な負担額は施設の基準によります。
まとめ
介護保険施設における居住費や食費などの負担限度額について解説しました。
以下に重要なポイントをまとめます。介護保険の費用を節約する方法の負担限度額や世帯分離について解説しました。以下に重要なポイントをまとめます。
- 介護保険施設での居住費・食費において世帯所得により負担限度額が定められており、負担が軽減されます。
- 負担限度額の対象となるサービスには介護保険施設などがあり、対象者には所得や資産の要件があります。
- 負担限度額を利用するには、介護保険負担限度額認定の申請を行う必要があり、申請の際には介護保険負担限度額認定申請書、同意書、通帳・有価証券等の写しなどの書類が必要です。
介護保険施設に入所すると、介護サービス費以外にも居住費や食費などを支払う必要があり、家族にとっては経済的な負担がかかってしまいます。
所得の状況によって負担限度額は決まっていますが、特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)を利用することで、介護費用を大きく軽減することできます。
この制度は自ら申請しないと利用することができないため、このような制度があると覚えておくと良いです。
自分たち家族がこの要件を満たしているのかを把握しておき、家族が施設へ入所する際には活用できるようにしておきましょう。