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介護保険と医療保険どちらが優先?気になる訪問看護に迫る!

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介護保険と医療保険どちらが優先?気になる訪問看護に迫る!

同じ社会保障制度でも「介護保険」と「医療保険」では、サービスを利用する方の状況によって、適応される保険が異なります。

例えば「訪問看護」では「介護保険」を利用するケースと、「医療保険」を利用するケースの二通り存在しますが、「介護保険」と「医療保険」のどちらを利用するかは、国が定めた原則に従う必要があります。

今回は「介護保険」と「医療保険」の違いや、「訪問看護」を利用したとき、「介護保険」と「医療保険」のどちらが適応されるかを紹介していきます。

まずは整理!それぞれの違い

まずは整理!それぞれの違い
「訪問看護」を利用したときに、「介護保険」と「医療保険」のどちらが優先されるかについて、まずは「介護保険」と「医療保険」の違いや、「訪問看護」と「訪問介護」を整理するところからはじめましょう。

その① 介護保険と医療保険の違い

「介護保険」は介護サービスを利用した時に発生する、費用の一部が給付される保険です。

原則、料金の1割負担で介護サービスを利用でき、40歳以上の方が対象になります。

39歳以下の方は対象外となりますので、「介護保険」を利用することができません。

40歳以上の方が「介護保険」の対象になりますが、40歳以上65歳未満の方は「特定疾病」に該当する疾病の診断を受けなければ、「介護保険」を利用することはできません。

65歳以上の方であれば、疾病に関わらず「介護保険」を利用できます。

このように「介護保険」は、利用できる年齢が定められているのです。

また「介護保険」を利用するには、要介護・要支援認定を受けなければならず、「介護保険」の利用には事前の手続きが必要です。

最後に「介護保険」には、保障の限度額が存在します。

1か月間に利用した介護サービスの利用料金が、保障の限度額を超えたときには、本来であれば1割から3割負担になる利用料金が、全額負担(10割)負担になることを注意しなければなりません。

保障の限度額は、要支援度・要介護度によって異なります。

要支援度・要介護度が高くなればなるほど、保障の限度額も高くなります。

続いて「医療保険」についてです。

「医療保険」は、病院などの医療機関で受診したときに発生する、費用の一部が給付される保険です。

原則、3割負担で医療機関を利用でき、全国民が対象になります。

「介護保険」と異なり、「医療保険」の対象は年齢制限が存在しません。

医療機関で受診した際に、健康保険証を提示すれば「医療保険」を利用できますので、要介護・要支援認定のような事前手続きの必要がないことも、「介護保険」と「医療保険」の大きな違いです。

また「医療保険」には保障の限度額が存在しません。

その② 訪問看護と訪問介護の違い

「訪問看護」は、看護師などの医療従事者がサービスを提供します。

提供されるサービスの内容は、食事、排泄、入浴などの身体介護以外に、医療的な処置が必要になる点滴や胃ろうの管理、傷口の消毒などです。

「訪問看護」の特徴は、提供されるサービスに医療的な側面が含まれるということです。

また理学療法士、作業療法士そして言語聴覚士などによるリハビリが提供される場合があります。

一方、「訪問介護」は介護福祉士やホームヘルパーが、サービスを提供します。

サービスの内容は食事、排泄、入浴などの身体介護から、買い物や掃除などの生活援助となります。

「訪問介護」の特徴として、提供されるサービスが身体介護だけでなく、生活援助が含まれていることにあります。

訪問看護は介護保険?医療保険?

訪問看護は介護保険?医療保険?
「介護保険」と「医療保険」、「訪問看護」と「訪問介護」の違いについて整理できたところで、続いて、「訪問看護」を利用した時に適応される保険が、どちらになるかを解説していきます。

原則は介護保険の利用

「訪問看護」を利用するときには、原則的に優先して「介護保険」が適応されると定められています。

しかし「訪問看護」を利用する方が、「厚生労働省が定める特定疾病」に該当する場合には、「医療保険」の適応が優先される例外があります。

「厚生労働省が定める特定疾病」は以下の表にある通りです。

gg0157-1

gg0157-2

この「厚生労働省が定める特定疾病」は一部重複する疾病があるものの、40歳以上65歳未満の方が要介護・要支援認定を受けているのに必要となる「特定疾病」とは別のものです。

また「介護保険」と「医療保険」を併用して「訪問看護」を利用することはできず、どちらか一方の保険を利用して、「訪問看護」を受けることになります。

その① 訪問看護が医療保険になるケース

次に「訪問看護」が「医療保険」になる例外的なケースを紹介してきます。

先ほど紹介した「訪問看護」の利用は「介護保険」が優先して適応になることを、頭の片隅に置いておくとわかりやすいでしょう。

まずは40歳未満の方が、「医療保険」で「訪問看護」を利用することになります。

なぜ40歳未満の方が「訪問看護」が「医療保険」になるかというと、「介護保険」と「医療保険」の違いで紹介したように、40歳未満の方は「介護保険」の対象外となるためです。

「介護保険」の対象外ということから、40歳以上の方でも要介護・要支援認定を受けていない方も、「訪問看護」が「医療保険」になるケースに該当します。

先ほど紹介した「厚生労働省が定める特定疾病」に該当する方は、年齢に関わらず「訪問看護」は「医療保険」を利用することになります。

その② 訪問看護が介護保険になるケース

要介護・要支援認定を受けている65歳の方は、「介護保険」を利用できますので、「介護保険」の利用を優先するという原則に従い、「訪問看護」の利用時には「介護保険」になります。

要介護・要支援認定を受けている方で注意しなければならないのが、40歳以上65歳未満の方です。

40歳以上65歳未満の方でも、「特定疾病」に該当すれば「介護保険」を利用できますが、先ほど紹介した「厚生労働省が定める特定疾病」の方は、「医療保険」で「訪問看護」を利用することになります。

次で紹介する40歳以上65歳未満の方が「介護保険」を利用する条件である「特定疾患」のうち、赤文字のものが「厚生労働省が定める特定疾病」と重複するものです。

そのため、黒文字の「特定疾病」に該当する方は「訪問看護」が「介護保険」になります。

gg0157-3

gg0157-4

※赤文字は「厚生労働省が定める特定疾病」と重複した疾病

まとめ

まとめ
「介護保険」と「医療保険」の違いから、「訪問看護」を利用したときに「介護保険」、「医療保険」のどちらが適応になるかを解説してきました。

「訪問看護」を利用したときに、「介護保険」と「医療保険」のどちらを利用することになるか、おわかりいただけたのではないでしょか。

「訪問看護」を利用したときに、「介護保険」と「医療保険」のどちらが優先になるかをまとめると

  • 原則的に「訪問看護」を利用したときには、「介護保険」の適応が優先される
  • 「厚生労働省が定める特定疾病」に該当する方は、「医療保険」の適応になる
  • 訪問看護」を利用した時に、「介護保険」と「医療保険」を併用することはできない

ということがあります。

「訪問看護」を利用したときに負担する費用は、「介護保険」を利用したほうが負担割合が低く、魅力的ではありますが、「介護保険」には保障の限度額があることに注意しなければなりません。

「訪問看護」を1か月間に利用した回数が多く、保障の限度額を超えてしまった場合、「医療保険」を利用した時と比較して割高になってしまうことがあります。

「介護保険」と「医療保険」の両方を利用できる方は、担当のケアマネジャーなどに相談するとよいでしょう。

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