この記事ではグループホームや訪問看護、また、介護保険のグループホーム入所者に対して訪問看護は可能なのかということなどについて解説しています。
介護保険には訪問看護という介護保険サービスがありますが、この訪問看護はグループホームに入所している方に対して行うことは可能なのでしょうか?
ここではグループホームや訪問看護、また、介護保険のグループホーム入所者に対して訪問看護は可能なのかということなどについて解説していきますので、興味がある方は是非ご覧ください。
そもそもグループホームとは何か?
グループホームとは、要介護認定において要支援2以上と判定された認知症の高齢者を対象とした小規模の介護施設のことをいいます。
このグループホームでは入所者が最大9人からなる「ユニット」と呼ばれる単位に分かれて家事などを分担しながら共同生活を行います。
入所することになる認知症の高齢者の方は、新しいことを覚えたりすることが難しいとされており、大人数が入所しているような施設では常に心が落ち着かない状態になってしまいます。
このため、いつも同じメンバーで生活することができるグループホームは認知症の高齢者に適しており、入所者がそれぞれの状況に合わせた認知症のケアを受けることが可能になっています。
グループホームで行われている認知症のケアですが、これまではリハビリテーションやレクリエーションなどでしたが、今では公園の掃除やお祭りといった地域行事に参加するなど多様化しています。
訪問看護で出来る事(サービスの内容)
訪問看護とは病気や障害のあり方がこれまで住み続けてきた地域でこれまで通り暮らしていけるようにサポートするという介護保険サービスです。
利用者の心身機能の維持・回復を目的としており、看護師等が利用者の自宅を訪問して主治医の指示に基づいた療養上の世話や診療の補助といったことを行ってくれます。
この訪問介護では以下のようなサービスを受けることが可能になっています。
- 介護保険サービスなどに関する手配状況の確認や助言
- 血圧、体温、脈拍、呼吸、症状などのチェックや食事、運動、休養に関する助言
- 入浴、排泄の介助や洗髪といった療養生活のサポート
- 薬の服用方法の指導や服薬確認、カテーテルや人工呼吸器の管理、リハビリテーションなど
- マッサージやしゃべり相手になるといった利用者の精神と新鋭の看護
- 利用者の家族が抱えている悩みの相談への対応
- 在宅での看取り
グループホームは『医療連携体制加算』で医療の強化を!
ここまでグループホームや訪問看護によって受けることができるサービスについて解説してきました。
ただ、このグループホームですが、看護師の配置が義務づけられておらず、看護師が在籍していないグループホームでは医療行為が必要になると退去せざるを得なくなります。
ただ、介護保険ではグループホームと訪問看護を提供している訪問看護ステーションが契約を行い、グループホームが「医療連携体制加算」を算定して訪問看護ステーションに支払うことによってグループホームに入所している高齢者に対して訪問看護ステーションが訪問看護を提供することが可能になっています。
その① 『医療連携体制加算』とは何か?
医療連携体制とは利用者の健康管理を日常的に行ったり、利用者の状態を判断して看護師が医療的な側面から適切な指導や援助を行うものです。
通常時や利用者の状態が悪化した際に主治医(医療機関)との連絡調整の連携を行います。
そして医療連携体制加算ですが、環境の変化に影響を受けやすくなっている認知症の高齢者が、グループホームにおいて可能な限り継続して生活を行うことができるように日常的な利用者の健康管理を行ったり、医療が必要になった際に適切な対応が取ることができるというような体制を整備している事業所を評価するために存在するものです。
グループホームがこの医療連携体制加算を制定することによって、そのグループホームの入所者は訪問看護を利用することが可能になります。
その② 届出や契約内容について
グループホームが訪問看護ステーションと医療連携について契約を行う際には届出は必要となっていません。
また、契約内容に関する取り決めについてですが、契約料・目的・内容・定期訪問頻度・随時対応頻度・時間といったことについてグループホームと訪問看護ステーションの両者が綿密な話し合いを行う必要があり、話し合いの結果合意に至れば契約を行います。
その③ 費用について
グループホームの介護報酬には基本報酬の他に様々な加算要件がありますが、医療連携体制加算には種類があり、「医療連携体制加算(Ⅰ)」「医療連携体制加算(Ⅱ)」「医療連携体制加算(Ⅲ)」に区別されます。
医療連携体制加算(Ⅰ)は、グループホームの従業員または他の医療機関と連携して24時間連絡体制を確保している場合に加算されるもので、1日で39単位となります。医療連携体制加算(Ⅱ)は、事業所の職員として常勤換算で看護職員を1名以上配置している(配置している看護職員が准看護師のみの場合は、訪問看護ステーション又は病院の看護師との連携体制を確保している)場合に加算されるもので、1日で49単位となります。
医療連携体制加算(Ⅲ)は、事業所の職員として常勤換算で看護師を1名以上配置していることが算定要件となり、1日で59単位となります。
医療連携体制加算(Ⅱ)と医療連携体制加算(Ⅲ)ですが、これらは2018年の介護報酬改定によって新設されました。
その④ 指示書等について
基本的に医療保険において訪問看護を行う際には、訪問看護基本療養費(Ⅱ)どの訪問になるので、グループホームを訪問する際には訪問看護し辞書が必要になってきます。
しかし、介護保険での医療連携体制加算によって訪問看護ステーションとグループホームが契約を行っている場合、グループホームを訪問する際には訪問看護指示書は必要ないということになっています。
ただ、主治医とはしっかりと連携する必要があるため、主治医との情報交換は必須となっています。
まとめ
ここまでグループホームや訪問看護、また、介護保険のグループホーム入所者に対して訪問看護は可能なのかということなどについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
グループホームですが、基本的に看護師の配置が義務づけられておらず、看護師が在籍していないグループホームでは医療的なケアを受けることができないため、医療行為が必要になれば低所するしかなくなってしまいます。
ただ、解説してきたように介護保険制度には「医療連携体制加算」というものがあります。
グループホームと訪問看護ステーションが契約を行って「医療連携体制加算」を算定し、訪問看護ステーションに支払うことによってグループホームの入所者は訪問看護を利用することが可能になります。
このため、前もって医療的なケアが必要であると分かっている場合は、グループホームの入所を検討する段階で入所をするグループホームが「医療連携体制加算」によって訪問看護を利用することが可能になっているのかということを確認するようにしましょう。
また、グループホームや訪問看護についてよく分からないという方は担当のケアマネージャーなどに相談して、自身の状態に対応した施設に入所するようにしましょう。