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介護技術のシーティングを紹介!円背の人を椅子に座らせるには?

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介護技術のシーティングを紹介!円背の人を椅子に座らせるには?

皆様はシーティングという言葉をご存じでしょうか?

この技術を適切に活用できれば床ずれを予防・改善したり、食欲を回復したりと様々なメリットがあります。

中でも、お年寄りに多い円背の方に対しては大きな効果が期待できます。

今回はこの円背の方に焦点を当て、シーティングについて解説してきます。

円背とは何か?

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そもそも、円背とはどのようなもののことを言うのでしょうか。まずは円背について説明します。

円背ってどういう状態?

円背とは、背骨(脊柱)が何らかの原因により変形し、常時曲がっている状態になることを指します。

特に胸椎(胸くらいの高さのところにある背骨の一部)から湾曲してくることが多いです。

“猫背”をイメージしてみてください。

この猫背のような体勢が、背骨が曲がってしまったことにより常時続いている状態といえば分かりやすいでしょう。

脊柱後弯症ともいいます。

円背の原因は?

円背の原因として考えられているのは、まず一つに加齢や骨粗鬆症によって骨密度が低下し、脊椎(せきつい)の変形や脊椎圧迫骨折などで骨が変形してしまうことが挙げられます。

骨の変形については、一度変形すると元に戻ることは少ないです。

二つ目として考えられるのは、先天性の変形があります。

三つ目としては、体幹の筋力が低下したり姿勢を保持することへの意識低下等があります。

このように、骨の変形だけが円背の原因ではありませんので注意してください。

円背が進むと、体の歪みにより内臓が圧迫されてしまうので、食欲が落ちたり便秘になったり、呼吸機能が低下する可能性があります。

また、背中が伸びづらくなるので頭部や首に負担がかかり、首の痛みや肩こり、腰痛を併発する場合もあります。

さらには、背骨の一部が曲がって突出してくるので、寝ているときにその一部に体圧が集中してかかることによる褥瘡(じょくそう)ができてしまう可能性も考えられます。

円背になったらどうすればいいの?

円背になってしまった場合、変形した脊柱を元に戻すことは困難です。

これ以上円背を進行させないようにする投薬治療や運動療法による治療が多いです。

骨粗鬆症が原因として考えられる場合は病気の治療を行うことになりなす。筋力低下を原因とする円背の場合は、筋力トレーニングなどによりある程度改善を目指せる場合はあります。

円背で心配されるのが、褥瘡です。背骨が変形し丸まってしまっている状態ですので、ずっと同じ体勢で過ごしていると一か所に圧力がかかることによって血行が阻害されてしまいます。

また食欲低下や呼吸機能の低下などが引き起こされると栄養不足になり、体力も徐々に低下していきます。

これにより皮膚状態が悪くなり、皮むけしたり水膨れができたりします。悪化すると褥瘡となり、最悪命に危険が及ぶ場合も考えられます。

そのため、円背が進行する原因の対策と同時に褥瘡予防についても考えていく必要があります。

シーティングについて

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褥瘡予防を行う上で重要なのが、シーティングという技術になります。

これは介護全般で重要になってくる技術であり、様々な症状の方に応用し活用していける技術です。

シーティングって何?

シーティングとは、様々な形や素材のクッションを活用したり、使用する椅子や車椅子の選定・調整したりして座っている姿勢を整えることをいいます。

これにより、下記のような様々な効果が期待できます。

〇座り心地がよくない。
〇姿勢が安定する。
〇姿勢が崩れにくくなる。
〇座っていられる時間が増える。
〇同じ姿勢で座っているときのお尻や腰の痛みが軽減する。
〇褥瘡の予防や改善ができる。
〇食事の際に姿勢が崩れないため、誤嚥を防ぐことができる。
〇ADLの向上や介護量の軽減が期待できる。
〇生活の質が向上する。

シーティングの基本的な考え方

まず、対象者のシーティングを考える上で必要なのは「その人の座ったときの姿勢の何が問題なのか」ということです。

基本的には、座った状態で横から見たときに頭から座面までの一直線上に背骨のラインがあり、かつ背骨がS字カーブを描いている状態を「良い姿勢」としています。

ただ、ここでポイントになるのが「良い姿勢」とは何か、ということです。単刀直入に言うと、万人に当てはまるような「良い姿勢」という最適解は存在しません。

なぜなら、その人の好みや生活歴、暮らす場所、椅子、場面ごとに本人が楽だと感じている姿勢、ひいては“なぜ今こうやって座っているのか”といったことなど全てにおいて同じ答えが当てはまることはありえないからです。

つまり、「良い姿勢」というものはその人・その場所・その時間・その状況によって異なるということになります。

この基本的な考え方を忘れてしまうと、型に当てはめて考えてしまい本当の意味でその人に合ったシーティングを行うのが困難になります。

まずは、目の前にいるその方の座位姿勢にどんな課題があるのかを具体的に一つずつあぶり出し、対処していくのが基本となります。

シーティングってどういう人にするの?

シーティングが必要な人というのは、一言でいえば座位姿勢が崩れている状態の方を指します。

ここで、姿勢が崩れている状態の定義について説明していきます。

姿勢が崩れている状態とは、座ったときに大きく分けて「前方もしくは後方に傾いている(前屈・後屈)」「右もしくは左に傾いている」状態もしくはこの2つが組み合わさった傾き方をしている状態を指します。

特に今回のテーマである円背の方の場合は、背骨が突出しているためにその部分が背もたれに当たり、座った際に前屈している状態である場合が多いです。

円背の人へのシーティング技術

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それでは、具体的に円背の方に有効なシーティング技術について解説していきます。

椅子に座らせる場合

ポイントは

〇臀部が座面の奥に密着すること
〇骨盤が後ろに倒れないように支えること
〇胸を張れるようにすること
〇背骨の突出した部分に合わせてその前後を埋めること

になります。

このポイントを通常の椅子で満たそうとするのは困難なため、モジュール式車椅子と呼ばれる車椅子を活用するといいでしょう。

これは体格や骨格の変形に合わせて座面や幅、背もたれの張り等を調整できる車椅子になります。

それに体圧分散と骨盤後屈へのサポート機能をもったクッションを使用すると、なお確実です。

通常に椅子に座ってもらう際は、背もたれがポイントになります。

一番突出した部分が背もたれに当たると、どうしても前屈状態になってしまいます。

そのため、一番突出した部分より低い高さの背もたれになっている椅子を使用すれば骨盤がしっかり安定した座り方をすることができます。

円背対応として背もたれが低い椅子も商品化されていますので、そういったものを購入するのもいいでしょう。

臥床する場合

円背の方が寝る場合、背骨が当たるために右か左を向いて寝ることが多いと思います。

安楽に仰向けになって寝る場合は、仰向けになったときにできる隙間をクッションやバスタオルなどを使って埋めてあげるという考え方が有効です。

特別に専用のクッションを購入する必要はありません。

大きな隙間は家にある座布団を丸めたり、小さい隙間はバスタオルやフェイスタオルを組み合わせて調整し、海苔巻きのように丸めて円柱状にして埋めていくとよいでしょう。

まとめ

介護保険料の概要について
円背という症状は、猫背の延長線と侮っては決していけません。

まずは予防・改善が大切ですのでかかりつけ医や整形外科を受診するなどし、専門家に相談することも大切です。

またその方にとってしっくりくる姿勢というものも一人一人違います。

型にはめて考えず、本人や専門家と相談しながら進めていくとよいでしょう。

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