この記事では介護保険の申請をスムーズに行うためのポイントについて解説しています。
介護保険を利用するためには要介護認定の申請を行って要介護度の判定を受ける必要がありますが、申請から認定までの流れは多少複雑になっており、初めて要介護認定の申請を行うという方にとっては分かりにくいものとなっています。
ここでは介護保険の申請をスムーズに行うためのポイントについて解説していきますので、新規で介護保険サービスを利用したいと考えている方などは是非この記事を参考にしてみてください。
介護保険を申請する流れ【フローチャートで説明】
ここでは介護保険(要介護認定)の申請を行う際の流れについてフローチャートを用いて説明していきます。
- 要介護認定の申請
- 訪問調査
- 主治医意見書
- 審査判定(一次判定)
- 審査判定(二次判定)
- 認定結果の通知
要介護認定を受けるためには申請を行う必要があります。
要介護認定を行うと介護認定調査というものが始まります。これは介護保険の申請を行う者が「本当に介護が必要な状態なのか」「どのような介護が必要なのか」ということを確かめるために行われるもので、介護認定調査員が申請者の自宅や入所先の病院などを訪問して聞き取り調査を行います。
主治医意見書は申請者の要介護度を判定する際に必要になってくるもので、基本的にはかかりつけ医が市町村からの依頼によって作成します。作成にかかる費用の負担などはありません。
審査判定は一次判定と二次判定に分かれて行われます。一次判定では客観的かつ公平な判定を行うために、訪問調査の結果と主治医意見書の一部をコンピュータに入力することによって行われます。
二次判定は一次判定の結果と主治医意見書に基づいて介護保険審査会という場所で行われます。介護認定審査会は保険・福祉・医療の専門家によって構成されており、ここで最終的な要介護度の判定が行われることになります。
保険者である市町村は介護認定審査会によって下された判定結果に基づいて要介護度の認定を行い、申請者にその結果を通知します。判定結果は「要支援1・2」「要介護1~5」または「非該当(自立)」のいずれかとなり、原則として申請を行ってから30日以内に結果が通知されることになっています。
介護保険の申請について整理
介護保険(要介護認定)を受けるためには申請をする必要がありますが、その申請方法はどのようなものとなっているのでしょうか。
その① 申請をする場所
要介護認定の申請はお住まいの市町村の担当窓口にて行うことになりますが、この担当窓口は市町村によって「介護保険課」「高齢者支援課」「福祉課」など名称が異なってくる場合がありますので、どこが担当窓口か分からないという場合は役所の総合窓口にて確認するようにしてください。
その② 申請に必要なもの
申請を行うためには以下のような書類が必要になってきます。
[要介護・要支援認定申請書]
申請を行いますので当然申請書は必要になってきます。この申請書は市町村の担当窓口や地域包括支援センターなどで入手することができる穂か、役所のホームページからダウンロードすることも可能になっています。
申請書には主治医や医療機関に関する情報を記載する必要がありますが、事前に自分で記入していくことも可能になっています。
[介護保険被保険者証]
申請を行う方が65歳以上の第一号被保険者の場合は介護保険被保険者証が必要になります。この被保険者証は65歳を迎える前にお住まいの市町村から郵送されてきますので大切に保管しておきましょう。また、申請を行う方が40歳~64歳までの第二号被保険者の場合は、介護保険被保険者証の代わりに加入している医療保険の被保険者証を持参するようにしましょう。
[マイナンバー及び身分証明書]
申請を行う際にはマイナンバーを確認することができるものが必要になってきますので、マイナンバーカードかマイナンバーの通知カードを持参するようにしてください。また、身分証明書として運転免許証・パスポート・障害者手帳などを用意しておきましょう。
[委任状・印鑑など]
被保険者本人か家族以外の者が申請を行う場合には代理権を確認することができる委任状や印鑑が必要になります。また、代理人の身分証明書も必要になってきますので用意しておきましょう。
介護保険の申請をスムーズにするための3つのポイント
ここまで介護保険の申請を行う際の流れなどについて解説してきましたが、最後に申請をスムーズに行うためのポイントについて解説していきます。
その① 介護が必要になるきっかけを見極めて!
厚生労働省の調査によると、介護が必要になるきっかけは脳血管疾患、認知症、高齢による衰弱、骨折・転倒などが多いとされています。
このうち脳血管疾患や骨折・転倒などは突然起こるものですが、認知症や高齢による身体機能の衰えなどは徐々に進行していき、介護が必要な状態となります。
このため、日頃から高齢者の生活の様子などを把握しておき、介護が必要となるきっかけを見極める必要があります。
その② 社会資源である相談機関に積極的に頼る!
申請をスムーズに行うために分からないことがある場合は地域包括支援センターなどを積極的に利用するようにしましょう。
地域包括支援センターとは介護・医療・保険・福祉といった地域内の様々な社会資源を活用して高齢者をその人に合わせた適切なサービスに結びつけるという役割を担っており、該当地域に居住している高齢者やその介護を行っている方が利用することができる施設です。
高齢者が抱えている生活上の問題について総合的に相談に乗ってくれる場所なので、要介護認定の申請に関する相談にも対応してくれます。
地域包括支援センターを相談窓口として活用することによってスムーズな要介護認定の申請を行うことが可能になります。
その③ 家族が連携して早めに行動を!
要介護度の認定を受けるためには、申請を行ってから訪問調査、主治医意見書の作成、審査判定など様々な工程を経る必要がありますので時間がかかります。
原則として要介護度の判定結果は申請を行ってから30日以内に結果が通知されることになっていますが、申請者が多い時期などは結果通知が遅れるということも多々あります。
このため、介護が必要だと感じた場合には家族が連携することによって早め早めの行動を心がけましょう。
早めに申請を行うことによって認定結果も早く分かることになりますので、介護保険サービスをその分だけ早く利用することが可能になります。
まとめ
ここまで介護保険の申請をスムーズに行うためのポイントについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
介護保険サービスを利用するためには要介護度の認定を受けるための申請を行うことが必要になってきます。
ただ、原則として申請を行ってから30日以内に結果が通知されることになっていますが、結果通知の遅延が常態化しているところもあり、スムーズに介護保険サービスを利用するためには早め早めの行動が必須となっています。
このため、介護が必要になるきっかっけを見極めた上で、家族間での連携はもちろんですが、介護保険に関して分からないことがあれば地域包括支援センターといった専門家が在籍している施設をうまく活用しながらスムーズな申請を行えるようにしていきたいですね。