この記事では要介護認定に不満がある場合にはどのように対処すればいいのかということについて解説しています。
介護保険サービスを利用するためには要介護認定によって要介護度の判定を受ける必要があります。
ただ、介護保険では要介護認定によって判定される要介護度によって利用することができるサービスの種類や上限額などが異なってくるため、認定された要介護度が自身の想像していなかったものであった場合、判定結果に不満を持つことになります。
では、要介護認定の判定結果に不満がある場合どうすればいいのでしょうか?
ここでは要介護認定に不満がある場合にはどのように対処すればいいのかということについて解説していきますので、判定結果に不満があったという方は是非この記事を参考にしてみてください。
介護認定が判定されるまで
介護保険サービスを利用するためには要介護認定において自身の要介護度を判定して貰う必要があります。
ここでは要介護認定において要介護度が判定されるまでの流れについて解説していきます。
①申請
溶解度の判定を受けるためには要介護認定の申請を行う必要がありますが、この申請はお住まいの市町村の担当窓口にて行うことになっています。
この担当窓口ですが、市町村によって「福祉課」「介護保険課」というように名称が異なってきますので、どこが窓口か分からない場合は総合窓口にておたずねください。
申請の際には申請書、介護保険被保険者証(第二号被保険者の方は医療保険の被保険者証)、マイナンバーが確認できるもの等が必要になってきます。
②認定調査・主治医意見書
要介護認定の申請を行うと介護認定調査が始まります。
これは申請を行った被保険者が「どの程度の介護を必要とするのか」ということなどをタスク編めるために行われる者で、介護認定調査員がお住まいの自宅や入所先の病院等を訪問し、聞き取り調査を行います。
また、主治医意見書ですが、これは被保険者の要介護度を判定する際に必要になってくるもので、基本的には被保険者のかかりつけ医が市町村からの依頼を受けて作成します。
かかりつけ医がいないという場合には、市町村が指定する医師の診察を受けることになります。
③審査判定
介護認定調査が終わると、その結果を基にして審査判定が行われます。審査判定は一次判定と二次判定の2回に分けて行われます。
[一次判定]
一次判定では、介護認定調査の結果と主治医意見書の一部を基にして要介護度の判定を行いますが、客観的かつ公平な判定を行うためにコンピュータを用いての判定となっています。
[二次判定]
二次判定は一次判定の結果と主治医意見書に基づいて介護認定審査会によって行われることになっています。
介護認定審査会とは保険・医療・福祉などの専門家によって構成されており、ここで最終的な要介護度の判定が行われます。
④結果通知
市町村は介護認定審査会によって下された最終的な要介護度の判定結果に基づいて要介護認定を行い、その結果を申請者に通知します。
結果は原則として申請を行ってから30日以内に申請者に対して通知されることになっています。
判定結果は「要支援1・2」「要介護1~5」又は「非該当」となっており、非該当と判定された場合には介護保険サービスを利用することはできません。
介護認定の判定に不満な場合
要介護認定では必ず希望通りの要介護度に認定されるとは限りません。要介護認定によって判定された要介護度に不満がある場合には以下のような方法をとることができます。
その① 不服申し立て
不服申し立てとは、要介護認定の結果に納得できないときに行うことができる対処法で、介護認定の判定結果の通知を受け取った日の翌日から60日以内であれば、各都道府県に設置されている介護保険審査会というところに不服申し立ての申請を行うことが可能になっています。
ただ、この不服申し立てですが再審査を行いますので、結果が出るまでに最低でも数ヶ月程度の時間がかかってくるためあまり使われていないというのが実情です。
その② 区分変更申請
区分変更申請とは、要介護認定の更新までの間に被保険者の介護度が変化した際に行うもので、要介護認定の新規申請と同じく原則として判定結果が30日以内に通知されることになっています。
不服申し立ては再判定に数ヶ月の時間がかかってきますので、本来の使い方とは異なりますが、大半の方が要介護度に不満のある際には要介護認定の区分変更申請を利用しています。
適切な介護度を出すための方法
では、そもそも自分自身に合った適切な要介護度に認定されるにはどうすればいいのでしょうか?
その① 主治医の見極め
適切な要介護度に認定されるには、まず自分自身の状態を熟知してくれている主治医を選ぶということです。
要介護認定では主治医意見書というものがとても重要になってきますが、この主治医意見書はどの科の医師でも作成することが可能になっています。
ただ、主治医意見書には身体介護や認知症介護などについて正しく記載する必要があるため、介護制度に精通している医師を主治医とするようにしましょう。
その② 調査には家族が立ち会う
要介護認定の際には訪問調査が行われることになりますが、その際には被保険者本人だけではなく、必ず家族が立ち会うようにしましょう。
本人だけで訪問調査を受けると思い込みやプライドなどによって普段できないことをできると答えてしまう場合があり、そのようなことをしてしまうと適切な要介護度に認定されることができなくなる可能性が高くなります。
このため、調査日には家族も立ち会うようにして、被保険者の実情を詳しく伝えるようにしましょう。
その③ 調査員にはありのままを
また、その②と多少かぶるところもありますが、訪問調査の調査員にはありのままの状況を正確に伝えるようにしましょう。
家族が立ち会わず本人に任せてしまうと、自身の状況を控えめに伝えてしまった場合には適切な要介護度に認定されことになり、大げさに伝えてしまうと主治医意見書と合わないために三調査を受けることになります。
このため、調査員からの質問にはできるだけ正確に、正直に、ありのままを伝えるようにしましょう。
適切な介護度が出ないケース
要介護認定では、日常生活に置いて「身体的な介護」と「認知症による介護」の2つがどの程度必要なのかということを評価することによって要介護度の判定を行います。
ただ、以下のようなケースでは正しい要介護度の判定を受けにくくなります。
[認知症の介護が中心となる場合]
被保険者本人がアルツハイマー型認知症である場合、基本的に運動機能は正常であるため身体的な介護は必要な場合がほとんどとなっています。
このため、要介護度の判定に置いては認知症による介護の程度がどれくらいのものなのかが重要になってきますが、主治医意見書の記載を行う医師が認知症の症状を十分に伝えることができなかった場合、適切な要介護度の判定を受けにくくなります。
[申請者がパーキンソン病の場合]
パーキンソン病というのは状態のいいときと悪いときの差が大きいということが特徴となっており、状態のいいときでは日常生活がほとんど自立しているのですが、状態が悪いときだと日常生活全てに介護が必要というような状態になります。
このため、訪問調査が行われるタイミングによって認定されることになる要介護度に差が出てくることになります。
[一人暮らしの場合]
申請者本人が一人暮らしの場合、訪問調査員は自宅に聞き取り調査を行いに来ますが、一人で生活しているために介護が必要なことを理解してもらえないことがあり、場合によっては「要介護」と判定されず、より軽い「要支援」と判定されてしまうようなことが起こる可能性があります。
まとめ
ここまで要介護認定に不満がある場合にはどのように対処すればいいのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように要介護認定では自身の身体状態に合わせた適切な要介護度に認定されないことがあります。
ただ、介護保険には認定された要介護度に不満がある場合の対象法も設けられており、それらを利用することによって正しい要介護度に再判定されることができる場合あります。
ただ、認定された結果に不満がある場合は不服申し立てよりも再判定までの時間が短い区分変更申請を利用するようにしましょう。
また、正しい要介護度に認定されるためには主治医の見極めや訪問調査員にありのままの状況を伝えることがとても重要になってきます。
自分に合わせた適切な要介護度に認定されるためにも、この記事を少しでも参考にしていただければと思います。