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介護保険は利用できる?介護保険の特定疾病と筋ジストロフィーについて

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介護保険は利用できる?介護保険の特定疾病と筋ジストロフィーについて

原則65歳以上で利用できる「介護保険」ですが、40歳以上65歳未満の方でも利用できる場合があります。

40歳以上65歳未満の方が「介護保険」を利用するには条件があり、「介護保険の特定疾病」に該当しなければなりません。

今回は「介護保険の特定疾病」と「筋ジストロフィー」について解説をしていきます。

介護保険の特定疾病とは一体なに?

介護保険の特定疾病とは一体なに?
「介護保険」を利用するには、原則65歳以上にならなければなりません。

しかし例外的に「介護保険の特定疾病」に該当すれば、40歳以上65歳未満の方でも「介護保険」を利用できるようになります。

「介護保険の特定疾病」は以下の通りです。

gg0194表

上の表にもありますが、疾病名の他に本人の状態が特定の条件を満たさなければ、「介護保険の特定疾病」に該当しない場合もあります。

「介護保険の特定疾病」に該当するかどうかは、医師によって判断されます。

もし「介護保険の特定疾病」について、不明な点や確認したいことがあったら、主治医や病院の相談窓口に相談するとよいでしょう。

今回スポットを当てて解説していく「筋ジストロフィー」は、「介護保険の特定疾病」に該当しませんので、「介護保険」の利用は65歳以上からとなります。

だだし「筋ジストロフィー」以外に、「介護保険の特定疾病」に該当する疾病を患っているのであれば、40歳以上65歳未満の方でも「介護保険」を利用することができます。

筋ジストロフィーとはどんな病気か

筋ジストロフィーとはどんな病気か
「筋ジストロフィー」は骨格に付着して、体の姿勢や運動を支える筋肉が壊死、変性を起こす遺伝性筋疾患の総称です。

「筋ジストロフィー」が発症するのは、筋肉の機能に不可欠なたんぱく質の遺伝子が、変異したためと考えられています。

「筋ジストロフィー」の症状ですが筋肉の萎縮や筋肉の硬化が生じ、筋力が低下していき、結果的に運動機能などの各機能障害をもたらします。

同じような症状がみられる「筋委縮性側索硬化症(ALS)」は、「筋ジストロフィー」が筋肉が壊死、変性を起こす疾患なのに対し、筋肉は正常ですが筋肉を動かす神経細胞に障害が発生する疾病です。

筋ジストロフィーは介護保険の利用ができない

筋ジストロフィーは介護保険の利用ができない
「訪問看護」などの介護サービスを利用するとき、本人の状態によって「介護保険」の利用ができない場合があります。

「筋ジストロフィー」の方が「介護保険」を利用できるかどうかは、「厚生労働大臣が定める疾患」について確認する必要があります。

筋ジストロフィーは厚生労働大臣が定める疾患

「厚生労働大臣が定める疾患」に該当すると、「訪問看護」の利用は「医療保険」の適応が優先されるということが定められています。

なお先ほど紹介した「介護保険の特定疾病」と「厚生労働大臣が定める疾患」は、重複する疾病がいくつかあるものの、片方だけに該当する疾病があることに注意が必要です。

具体的な「厚生労働大臣が定める疾患」は次の通りです。

赤字で記載した疾病は「介護保険の特定疾病」と重複する疾病になります。

gg0194表2

gg0194 表3

※赤文字は「介護保険の特定疾病」と重複する疾病

上表にもある通り、「進行性筋ジストロフィー」の診断が下れば「厚生労働大臣が定める疾患」に該当します。

筋ジストロフィーは医療保険で利用が可能

筋ジストロフィーは医療保険で利用が可能
前の項目で「進行性筋ジストロフィー」が、「厚生労働大臣が定める疾患」に該当することが確認できました。

それでは次に「筋ジストロフィー」の方が、「訪問看護」するときに関して解説していきます。

訪問看護が必要な場合は利用可能

介護サービスの中には、「介護保険」と「医療保険」の両方利用できるサービスがあります。

「訪問看護」などがそれに当たり、両保険を利用できる方は「介護保険」の優先すると定められています。

この「訪問看護」の利用に際して適応となる保険ですが、いくつか例外が存在します。

そしてその例外の中に「厚生労働大臣が定める疾患」に該当する方は、「医療保険」を優先するというものがあるのです。

先ほど紹介したように「進行性筋ジストロフィー」は、「厚生労働大臣が定める疾患」ですので「医療保険」を利用するのであれば、40歳以上65歳未満の方でも「訪問看護」を受けることができます。

65歳以上の方でも「厚生労働大臣が定める疾患」に該当する方は、「医療保険」が優先的に利用されますので、結果的に「進行性筋ジストロフィー」の方が「訪問看護」を受けるには、年齢にかかわらず「医療保険」の適応になります。

訪問看護の回数制限に注意

「訪問看護」の利用回数ですが原則、週3回までという制限があります。

しかし癌末期などの方に対し、頻回な「訪問看護」が必要だと主治医が判断した場合には、週4回以上の利用が可能になります。

週4回以上の「訪問看護」には、「特別訪問看護指示書」と呼ばれる書類が必要になります。

「特別訪問看護指示書」は医師によって作成され、14日間有効になります。

15日目以降も週4回以上の「訪問看護」を利用するには「特別訪問看護指示書」を再発行しなければなりませんが、「特別訪問看護指示書」の発行は原則1月に1回のみという制限があります。

例外として以下の状態に当てはまれば、1月に2回の「特別訪問看護指示書」を発行することができます。

  • 気管カニューレの使用
  • 真皮を超える褥そう(床ずれ)がある

「筋ジストロフィー」の方は「特別訪問看護指示書」の発行に対象ではないので、「訪問看護」の利用に際し、1か月間内に利用制限があることに注意が必要です。

先ほど紹介したように「特別訪問看護指示書」の発行は医師によって行われるため、「訪問看護」の回数について疑問に思うことがあれば、担当医に確認しましょう。

まとめ

まとめ
「介護保険の特定疾病」と「筋ジストロフィー」の関係、「筋ジストロフィー」の方が「訪問看護」を受けるときの保険について解説していきました。

「筋ジストロフィー」の方は、「訪問看護」を受けるときには「医療保険」の利用になることや、「訪問看護」の利用には、回数制限があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

「介護保険の特定疾病」と「筋ジストロフィー」についてまとめると

  • 「筋ジストロフィー」の方は「介護保険の特定疾病」ではないため、65歳以上でなければ「介護保険」を利用できない
  • 一方で「筋ジストロフィー」は「厚生労働大臣が定める疾患」に該当するため、「訪問看護」は年齢に関係なく「医療保険」を利用することになる
  • 「訪問看護」には原則1週間に3回までの制限があり、4回以上の利用には医師が発行した「特別訪問看護指示書」が必要になる

ということがあります。

「筋ジストロフィー」の方に限らず、「介護保険の特定疾病」や「厚生労働大臣が定める疾患」、「訪問看護」の回数制限など、「訪問看護」の利用に際して専門知識が必要になる場面があります。

耳慣れない専門用語であったり、理解が難しい制度であったり、「訪問看護」の利用までにわからないことや疑問に思ったことがあったら、病院の相談窓口や市区町村の担当窓口に相談へおもむくとよいでしょう。

また「介護保険」の利用がはじまっているのであれば、担当ケアマネジャーに相談するのも選択肢の1つです。

相談窓口への問い合わせは、場合によっては手間がかかりますが、「訪問看護」を利用される本人と家族、そして周りの方が満足のいく「訪問看護」の利用につながるように、関係機関への相談は積極的に行いましょう。

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