この記事では介護用椅子の適切な高さはどの程度なのか、また、椅子に座りながら姿勢を維持する方法について解説しています。
人は日常生活を送る上で「座る」という動作を必ず行います。ただ、歳を重ねれば重ねるほど「座る」という動作がしんどくなっていきます。
介護用椅子というのは、この「座る」又は「立ち上がり」という動作を助けてくれるものになっており、介護を行う際の負担を軽減してくれます。
では、この介護用椅子の適切な高さとはどの程度なのでしょうか?
ここでは介護用椅子の適切な高さはどの程度なのか、また、椅子に座りながら姿勢を維持する方法について解説していきますので、介護用椅子の導入を検討されている方は是非参考にしてみてください。
介護用椅子はどんな役割があるのか?
人は「座る」「立ち上がる」という行為を生活の中で必ず行いますが、高齢者になってくるとこれらの動作がしんどくなっていきます。
歳を重ねるごとに背中が曲がっていく方も多く、そのために椅子に座りながら安定した姿勢を保持することが難しくなり、前方に倒れてしまったり、掴まるものがないと椅子に座ることができなくなったりすることもあります。
介護用椅子とは、このような高齢者のサポートを行うことが主な役割となっています。
この介護用椅子ですが、現在では様々な種類が製造されており、長時間座り続けても疲れないような背もたれが付いているものや、高さを調節することができるもの、掴まりやすい入りに手すりが取り付けられているものなど、高齢者の多種多様なニーズに対応することが可能になっています。
介護用椅子を選ぶときのポイント【ケース別】
高齢者を始めとする身体機能が衰えてきている方にとっては座位姿勢を保持するというのはとても困難なことであり、座っている時間が長くなればなるほど身体にかかる負担は大きなものとなります。
このため、介護用椅子を選択する際には利用者の身体に合わせたものを選択しなければなりませんが、介護用椅子には用途に合わせた様々な種類がありますので、ここではそれらを選択する際のポイントについて解説していきます。
その① お風呂用
浴室は非常に滑りやすい場所であり、高齢者の方が転倒する危険性が高くなっています。
このため、お風呂用の介護椅子には滑り止めが着いているのはもちろんですが、高さの調節機能や掴まることができる手すりが付いているものも存在しています。
お風呂用の介護椅子を選択する際には、まず使用することになるお風呂場の構造をよく考えることです。
入浴に関する介助が必要な場合は介助者が一緒にはいることができるスペースを確保しなければなりません。
お風呂場の大きさはもちろんですが、引き戸、開き戸、中折れ戸というような出入り口の扉のタイプも考慮する必要があります。
出入り口の扉が中折れ度の場合、お風呂場に介護用椅子を置いておくと、それが邪魔になって扉が開かなくなる可能性があります。
また、お風呂用の介護椅子には利用者を座らせたまま風呂場まで運ぶことができるシャワーキャリーというものもありますが、これを利用する場合には出入り口の扉の大きさを考慮する必要があります。
その② 食卓用
食卓用の介護椅子を選択する際に重要になってくるのが、食卓用の介護椅子には利用者が誤嚥を起こすことがないような正しい座位姿勢を保つことができるものがベストであるということです。
誤嚥を起こさないようにするためには前傾姿勢をとる必要がありますが、そのためには利用者の足がしっかりと床に付いている必要があります。
このため、食卓用の介護椅子を選択する際には座面の高さを調節することができる機能が付いているものを選ぶのがおすすめです。
その③ 車椅子
介護用の椅子として多くの方が思い浮かべるのが車椅子だと思いますが、この車椅子を選択する際にも重要なポイントがあります。
まず、利用者の体型に合わせたものを選ぶということです。
床から座シートまでの高さや座シートの幅を利用者の体型に合わせたものにしないと、安定した座位姿勢を保つことが困難になります。
さらに使用する環境についても考慮する必要があります。
屋内で使用する場合は廊下の幅などに合わせて小回りがきくものを選択する必要があり、屋外で使用する際にはより安全性を重視して車椅子を選択する必要が出てきます。
介護用椅子を選ぶときのポイント【身体状況別】
先程の項目では利用するケース別に介護用椅子の選択に関するポイントを解説してきましたが、ここでは利用者の身体状況別に介護用椅子の選択に関するポイントを解説していきます。
その① あまり介護が必要ない人
介護用椅子の利用者が日常的にあまり介護の必要がない人の場合ですが、このような場合は利用者がより快適な日常生活を送ることができるように手すりが付いているものや高さを調節することができるようなものなどを選択するのがいいでしょう。
また、リビングなどでリラックスする際に使用する椅子などは、リクライニング機能が付いているものなどがおすすめできます。
その② 一部介助が必要な人
部分的に介助が必要な人については、その人が必要としている介助に併せて介護用椅子を選択する必要があります。
自分の足での歩行が困難であるなら車椅子を選択し、座位姿勢を保つことが難しいなら背もたれや肘掛けなどが付いているものを選択しましょう。
その③ 全てに介助が必要な人
日常生活を送る上での全てに介助が必要な人な場合ですが、この場合に最も大切になってくるのが寝たきり状態になることを防ぐということです。
全てに介助が必要になるとなかなかベッドから動くことがなくなりますが、そうしていると寝たきり状態となってしまう危険性があるため、なるべくベッドから離れるように努力する必要があります。
ただ、このような方がベッドを離れると、それだけ身体にかかる負担も大きくなりますので、できるだけ身体への負担がかからない介護用椅子を選択する必要があります。
介護用椅子の中には寝たままで移動することができる椅子などもありますので、利用者の状態を見て選択するといいでしょう。
椅子で姿勢を維持する方法
人は長時間座り続けることに適した身体のつくりではないため、長時間座り続けていると座位姿勢を保つことが難しくなってきます。
高齢者などは健康な方に比べて座位姿勢を保つことが難しくなっており、姿勢が悪いままで座り続けていると身体にも良くありません。
ここでは椅子で姿勢を維持する方法について解説していきます。
①利用者に合わせた高さの椅子を使用する
高齢者の方にとって椅子で座位姿勢を保つことは困難なことになっており、そのために利用者にとって負担のかからない椅子を選択する必要が出てきます。
この際に重要になってくるのが「椅子の高さ」です。座位姿勢を安定させるためには、しっかりと足の裏が床につくような高さの椅子を使用する必要があり、介護用椅子の適切な高さとは「利用者の足の裏がしっかりと床につくような高さ」のことをいいます。
介護用椅子には座面の高さを調節することができる機能が付いているものもありますので、使用する際にはそのような機能が付いているものを選択するといいでしょう。
②クッションを利用する
椅子で適切な座位姿勢を維持する方法として一般的なのが、クッションを利用するという方法です。
椅子に長時間座っているとおしりが痛くなるため、どうしても体制が崩れてきてしまいますし、ひどい場合には褥瘡が生じてしまう場合もあります。
ただ、椅子に座る際にクッションを使用することによって身体に負担を掛けることなく安定した座位姿勢を保持することが可能になり、椅子からのずり落ちや褥瘡の予防を行うことが可能になります。
まとめ
ここまで介護用椅子の適切な高さはどの程度なのか、また、椅子に座りながら姿勢を維持する方法について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
人は日常生活を送る上で「座る」という行為を必ず行いますが、高齢者の方などは身体機能の衰えなどによってその行為がつらくなってきます。
このような高齢者のために存在するのが介護用椅子であり、介護用椅子は使用することでこのような高齢者のサポートをすることが可能になっており、生活の質をも向上させてくれます。
ただ、解説してきたように介護用椅子といっても使用する場所や使用する方の身体状況によって選択する際のポイントが異なってきますので、介護用椅子を選択する際にはこれらのポイントを十分に考慮する必要があります。