介護保険料の支払い開始の年齢は?徴収方法についても教えます!
皆さんは、介護保険料の支払いはいつから始まるのか?
この保険料はいったいどんな仕組みで何に使われているのか?という疑問をもったことはないでしょうか。
超高齢化社会を超え、人口減少社会とさえ言われている昨今、現役世代の減少によって介護保険料の値上がりが続いています。
今回は、この介護保険料の仕組みについて一緒に考えていきましょう。
介護保険料の使い道について
そもそも保険という仕組みは、一般的に保険料を徴収・運用することで各種保険サービスを提供する「保険者」と、保険料やサービス利用料を支払うことでサービス提供を受ける「被保険者」の2者によって成り立っています。
介護保険についても同様です。
介護保険制度は、市区町村や広域連合(市区町村の複合体)が「保険者」であり、40歳以上の医療保険加入者及び65歳以上の人が「被保険者」となっています。
介護保険料って、どうやって決まってるの?
介護保険料は、3年に1度見直しが行われています。
最新の更新は2018年に行われていますが、県内での平均値が最も高いのは沖縄県で6,854円。最も安いのは埼玉県で5,058円と言われています。
なぜ、保険料に差が出るのでしょうか。
それは地域ごとに65歳以上の人口と必要なサービスにかかる整備の費用の割合で決定されるからです。
大まかにいえば、人口が少ない地域ほど保険料が高くなる傾向があります。
徴収された介護保険料は何に使われているの?
そもそもの介護保険制度の財源について見ていきましょう。
公費50%、介護保険料50%の割合で被保険者と保険者がお互い負担する形で財源を賄っています。
さらに細かく言えば、公費の内訳として国が25%、都道府県と市町村がそれぞれ12.5%ずつです。
それに対して介護保険料の内訳は、第1号被保険者(65歳以上)が23%、第2号被保険者が27%となっています。
なお、介護保険料の割合は総人口に対するそれぞれの割合で多少変動しています。
つまり、私たち一般国民が納めている介護保険料が、介護保険制度全体の半分を支えているといえるのです。
最初に介護保険料を納める年齢は?
では次に、皆さんは介護保険料の支払いが何歳から始まるかご存知でしょうか。
手取りの給料が減って、気付いたらいつのまにか介護保険料が引かれてる・・・と焦ることのないように、しっかり頭に入れておいてくださいね。
40歳から徴収が始まる
介護保険料の徴収は、満40歳になったときから始まります。
40歳以上で公的医療保険に加入していれば、第2号被保険者として介護保険に加入することが介護保険法で決まっているからです。
第2号被保険者が納める保険料は、公的医療保険と一緒に徴収されることになっているので、給料から天引きされることになります。
40歳になって最初の給与明細は特に要チェックですね!
なお、介護保険料は厚生年金や健康保険と同様に労使折半ですので、同額を会社も支払っていることになります。
つまり、介護保険料は私たちの税金はもちろん、企業としても仕組みを支えていることになりますね。
誕生日によって損する場合があるって本当?
満40歳になった日が属する月から介護保険料の徴収は始まりますが、実は誕生日によって損をしてしまう場合があるのです。それは、1日生まれの方です。
なぜ誕生日によって損する場合があるのでしょうか?
それは「年齢計算に関する法律」のなかで「年齢は出生の日から起算するもの」と規定していて、つまり年齢が加算されるのは法律上は誕生日前日ということになっているからです。
例えば1月1日生まれの方の場合、法律上満40歳になるのは12月31日ということになっており、つまり12月分から徴収が始まってしまうのです。
1月2日生まれの方は法律上1月1日に満40歳になるわけですから、介護保険料の支払いが始まるのは1月分からです。
たった1日の違いだけなのに、少し損した気分になりませんか?
この「年齢計算に関する法律」は明治35年に制定された法律です。
かなり古くなっているので、今後変わっていくことがあればこの不公平感もなくなっていくかもしれませんね。
第2号被保険者の人がサービスを使える条件
40歳になり第2号被保険者となった際、介護が必要になったときはどうすれば介護サービスを利用することができるのでしょうか。
65歳以上の高齢者が該当する通常の第1号被保険者である場合、介護が必要になった理由は問われません。
どの部分に介護が必要なのかという現状のみで要介護度が判定され、サービスを利用することができます。
ところが、40歳以上である第2号被保険者の場合はそうではありません。
何故なら、介護保険制度というのはそもそもが「加齢に伴い生じる要介護状態」をサポートする制度だからです。
利用するには条件が必要になってきます。
特定疾病とは?
第2号被保険者が介護保険制度を利用するための条件として、「特定疾病によって要介護状態になってしまったこと」があります。
特定疾病とは、「心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって…中略…総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である」と定められています。
具体的には、全部で16種類の病気に限定されています。
特定疾病にはどんな病気がある?
[16種類の特定疾病]
1.がん(がん末期)
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症
4.後縦靭帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
この病気のいずれかの診断を受け、これを原因として要介護状態であると医師が認めた場合に利用することができるのです。
逆に言えば、仮に要介護状態であったとしてもこの16の病気以外を原因としている場合は介護保険を使うことができません。
第2号被保険者の人がサービスを利用したいとき
最後に、実際に介護が必要になって介護サービスを使わなければならなくなった際の手順について説明していきます。
特定疾病の診断を受ける
まずは、要介護状態になっている原因が上記の介護保険法上の特定疾病であるということを確認しなければなりません。
確認方法については、後述します。
要介護認定を受ける
介護保険サービスを利用するためには、要介護状態のレベルを判定してもらわなければなりません。
それが要介護認定です。
まずは最寄りの地域包括支援センターに相談するのが早いでしょう。
地域包括支援センターは、基本的に各中学校の学区毎に設置されています。
もしお知り合いにケアマネジャーさんがいれば、その方に相談でもよいです。
すると要介護認定の申請を代行してくれます。
その後、市役所から連絡が来て「認定調査」を受けることになります。
これは調査員の方が実際に本人と面談し心身の状態を確認するものになります。
その間、市役所は要介護者の主治医に対し「主治医意見書」の提出を求めます。
この主治医意見書において特手疾病を原因とする要介護状態かどうかを証明することになります。
必要に応じて主治医から受診を求める連絡がくる場合もあるので、しっかり応じてくださいね。
認定調査と主治医意見書の作成が終わると、「認定審査会」という機関で要介護度が決まり、それが記載された介護保険証が送付されてきます。
ケアプランを作成する
上記の間、担当してもらうケアマネジャーさんの事業所を決めておきましょう。
介護保険証が届いて要介護状態が判明したところで正式に契約することとなります。
その後、ケアマネジャーさんと相談しながら一緒にケアプランを作成します。
これによって利用するサービスを決定します。
介護サービス事業所と契約する
利用するサービスが決まったら、実際に利用する介護サービス事業所を選定します。
すべて決まったら、ケアマネジャーさんが主導し「サービス担当者会議」を開催し、ケアプランやサービス内容について相談・確認し最終決定となります。
最後に、その介護サービス事業所と契約すれば完了。実際にサービス利用開始となります。
まとめ
介護保険は、40歳から第2号被保険者となり、誕生日が属する月から保険料の支払いが始まります。
その保険料は3年ごとに改訂され、住んでいる地域により金額が違います。
高齢化に伴い上昇傾向にあることを頭に入れておいてください。
保険料は基本的に健康保険料と一緒に給料から、自動的に天引きされます。
そのお金は介護保険制度運営のための貴重な財源となっています。
法律上、1日生まれの方は誕生月の前月から支払いが始まってしまう点には注意が必要ですね。
第2号被保険者は、厚生労働省が定める16の特定疾病によって要介護状態となったときに、介護サービスを利用することができます。
超高齢社会どころか人口減少社会と言われている今、40歳以上の方ひとりひとりが負担する介護保険料が日本の介護全体を支えていると言っても過言ではありません。
誰もが病気になりますし、いつ要介護状態になるかも分かりません。
我々一人一人が介護という課題について、考えていかなければならない時代に来ているとも言えますね。