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介護保険住宅改修のレアケース!折角工事したのに引越ししたらどうなる?

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この記事では介護保険を利用した住宅改修を行った後、その住居から別の住居へ転居した場合どうなるのかということについて解説しています。

介護保険には、自宅を高齢者が安全に暮らすことができる環境に整備するための費用の一部を介護保険が負担する住宅改修という介護保険サービスがあります。

ただ、上限なく負担してくれるわけではなく、原則として介護保険から支給上限額20万円が一生涯に一度だけ支給されます。

しかし、ここで疑問となるのが、住宅改修を行った住居から別の住居へ転居した場合にこの20万円の支給上限額がリセットされるのか、されないのかということです。

前の住居で20万円の支給上限額の一部を利用しており、その大部分を使用している場合には新たな住宅改修にかかる費用が自己負担となる可能性も出てきますので、転居する予定のある方などは心配の1つとなります。

ここでは介護保険を利用した住宅改修を行った後、その住居から別の住居へ転居した場合どうなるのかということについて解説していきますので、住宅改修を行った住居から転居する予定がある方などは是非この記事を参考にしてみてください。

住宅改修が適用される回数について

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初めて介護保険を利用した住宅改修を行うという方が気になることの1つに「住宅改修が適用される回数」というのがあると思います。

結論から申しあげますと住宅改修が適用される回数には制限はありません。

介護保険において住宅改修費の支給上限は20万円となっており、この20万円の範囲内であれば回数に制限なく何度でも住宅改修を行うことが可能になっています。

ただ、人は歳を重ねるごとに身体機能が低下していくものであり、住宅改修の回数も増加していくことになりますので、いずれ支給上限額の20万円を超えてしまう日が訪れることになります。

支給限度額20万円の範囲内であれば回数に制限なく何度でも住宅改修を行うことが可能になっていますが、この20万円の支給回数には制限が設けられており、要介護者1人につき一生涯に一度きりの支給となっています。

このため、住宅改修を繰り返して20万円を使い切ってしまうと、それ以降に行う住宅改修は全て自己負担にて行わなければいけなくなります。

なぜ、支給が一生涯に一度きりとなっているのかというと、この20万円が国の財源から支出されているからです。

際限なく住宅改修を行うことができるようにすると、すぐに財源が枯渇してしまい、全ての被保険者が平等に介護保険の恩恵を受けることができなくなるからです。

住宅改修の枠がリセットできるケース

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先程の項目では住宅改修の支給上限額は20万円であり、その20万円の支給は一生涯に一度きりなので使い切ってしまったら、それ以降は自己負担で住宅改修を行わなくてはならないと解説してきました。

基本的にこの20万円の上限額は最初に住宅改修を行ってから何年経とうがリセットされることはありませんが、先程も申しあげたように人は歳を重ねるごとに身体機能が低下していくものであり、最初に住宅改修を行った時の身体状況から大分悪化してしまっているという場合もあり、そのような場合には以前行った住宅改修が現在の状態に適さないということも大いに考えられます。

そのようなケースに対応するために、「要介護度が3以上上がった場合」と「引越しをした場合」のいずれかに該当した方は支給上限額をリセットすることが可能になっています。

その① 要介護度が3以上上がった場合

1つ目の条件である「要介護度が3以上上がった場合」ですが、3段階リセットと呼ばれており、少し複雑になっています。

介護保険サービスを利用するためには要介護認定を受けなければならなくなっていますが、この要介護認定において判定される要介護度は「要支援1・2、要介護1~5」の7段階となっています。

しかし、住宅改修費のリセットにおいては「要支援1・2」はどちらも同じと見なされることになっており、「要支援1から要介護2に上がった」という場合には住宅改修のリセットは認められないことになっています。

つまり、初めて住宅改修を行ったのが要支援である場合に3段階リセットを使うことができるのは「要支援2から要介護3に上がった」もしくは「要支援1から要介護3に上がった」という2つの場合のみとなります。

要支援の3段階リセットは少し分かりづらくなっていますが、初めて住宅改修を行ったのが要介護である場合にはこのような決まりはありませんので、「要介護1から要介護4に上がった」もしくは「要介護2から要介護5に上がった」という場合には条件通り上限額の3段階リセットを行うことが可能になっています。

その② 引越しをした場合

住宅改修を行った住居から別の住居へ引っ越しを行い、住居が変更された場合には支給限度額がリセットされ、再度20万円の給付を受けることが可能になります。

しかし、ただ単に引っ越しを行っただけではリセットは行われません。

リセットが行われるのは住所地として指定している住居が変更されたときのみとなっているため、引っ越し後に住所変更の手続きを行っていない場合や住所変更の手続きが必要のない別荘などではリセットを行うことができません。

リセットができる回数

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住宅改修費のリセットですが、「要介護度が3以上上がった場合」と「引越しをした場合」でリセットすることができる回数が異なってきます。

要介護度が3以上上がった場合に行われる3段階リセットですが、こちらは1回までのリセットとなっています。

このため、要介護1の時に最初の住宅改修を行い、その後要介護度が3段階上昇して要介護4になったのでリセットを行ったという場合、リセットを行った後に要介護度が要介護4から要介護2まで低下し、その後さらに要介護5まで上昇したという場合には3段階リセットを行うことはできませんので注意が必要です。

一方、引越しをした場合に行われるリセットですが、制度上は引っ越しを行いさえすればリセット回数に制限はありませんので、引っ越しをして住所地の変更を行えば何度でもリセットを行うことが可能になっています。

ただ、住居Aで住宅改修を行った上で住居Bに転居した後に、再び同じ住居Aに戻ってきた際には、一度その家に対して介護保険による助成を行っているという理由から限度額のリセットは行われませんので、この点に関しては覚えておく必要があります。

まとめ

介護保険料の概要について
ここまで介護保険を利用した住宅改修を行った後、その住居から別の住居へ転居した場合どうなるのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

解説してきたように、住宅改修の支給上限額20万円は基本的に一生涯に一度きりの支給となっていますが、要介護度が3以上上がった場合」と「引越しをした場合」のいずれかに該当する場合にはリセットが行われ、再度20万円の支給上限額が設定されます。

ただ、住宅改修費のリセットで勘違いしやすくなっているのが、リセットを行う前の住宅改修費の残りが10万円合った場合、リセットを行ったからといって10万円に20万円が加算されて30万円にはならないということです。

あくまで20万円の支給上限額が再設定されるだけですので、この場合に30万円を要する住宅改修を行うと、自己負担1割の方なら18万円までは介護保険による給付を受けることができますが、自己負担分の2万円と超過分10万円の合わせて12万円が自己負担となりますので注意してください。

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