この記事では住宅改修を事業者に頼まずに自分で行った場合の費用はどのようになるのかということについて、また、介護保険を利用した住宅改修を行う際の流れについて解説しています。
訪問介護や通所介護といった介護保険サービスを提供するには保険者からの指定を受ける必要がありますが、実は住宅改修には事業者の指定というものはなく、どのような建築業者・リフォーム会社・工務店でも行うことが可能になっています。
では、住宅改修を事業者に頼まずに自分で行うことは可能なのでしょうか?
また、住宅改修を行う際の流れというのはそのような感じになっているのでしょうか?
ここでは住宅改修を事業者に頼まずに自分で行った場合の費用はどのようになるのかということについて、また、介護保険を利用した住宅改修を行う際の流れについて解説して解説していきますので、家族に日曜大工が得意な人間がいるのでその人にやってもらいたいと考えている方などは是非参考にしてみてください。
住宅改修費を支払うまでの流れ(償還払い)
住宅改修を行うためには要介護認定において「要支援1・2」または「要介護1~5」と認定される必要がありますが、要介護認定を受けている方が償還払いでの住宅改修を行うためにはどうすればいいのでしょうか?
ここでは償還払いにおける住宅改修の流れについて解説していきます。
その① ケアマネージャーへの相談
住宅改修に限らず介護保険サービスの利用を検討されている方は、まずまず担当のケアマネージャーに相談するようにしましょう。
ケアマネージャーは住宅改修に必要となってくる理由書を始めとする必要書類の作成や住宅改修を行う事業者とのパイプ役などもつとめてくれますので、基本的に住宅改修は担当のケアマネージャーと連携しながら進めていくことになります。
また、担当のケアマネージャーがいないという方は保険者であるお住まいの市町村に直接問い合わせてください。
その② 見積もり依頼
まずは担当のケアマネージャーと相談を行い事業者を決定します。
住宅改修の工事を依頼する事業者が決定したら、下見を行ってもらい、その後ケアマネージャー同席のもと打ち合わせを行って見積書や工事図面といった事前申請を行う際に必要になってくる書類を作成します。
また、作成した見積書の内容に疑問がある場合などは、この時点で解決しておきましょう。
その③ 事前の申請
介護保険を利用した住宅改修を行うためには、お住まいの市町村の担当窓口にて事前申請を行う必要があります。
事業者との契約を行い、申請に必要な書類の作成が終わったら事前申請を行いましょう。
事前申請には以下のようなものが必要になってきます。
- 介護保険住宅改修申請書
- 住宅改修費の見積書(見積書の宛名は被保険者本人の氏名で作成する)
- 住宅改修の図面
- 改修箇所が分かる写真(日付を入れる)
- 住宅改修が必要な理由書(担当のケアマネージャーに作成してもらう)
- 償還払い用の口座記入用紙(申請書に記載する欄がある場合もある)
- 印鑑
その④ 工事
事前申請を行うと市町村による審査さ行われることになり、その審査を通過したら工事を開始します。
改修工事は見積もりや図面通りに行う必要があり、勝手に内容を変更したりした場合には介護保険による償還払いを受けられなくなる可能性が出てきますので注意が必要です。
見積もりや図面通りに改修工事が終了したら、工事代金を事業者に対して支払います。
償還払いの場合は、ここで一旦費用の全額(10割)を支払い、後の申請によって自己負担分を除いた金額の払い戻しを受けます。
また、支払いを行った際には必ず領収書を受け取るようにしてください。
その⑤ 支給の申請
工事が完了して事業者への支払いを済ませたら、保険者への支給申請を行います。
保険者への支給申請には以下のような書類が必要になってきます。
- 住宅改修完了届(市町村において指定の用紙がある場合)
- 工事完了後の改修箇所が分かる写真(日付を入れる)
- 住宅改修にかかった費用にかかる領収書(宛名は必ず被保険者本人の氏名)
- 返金先の口座番号(住宅改修完了届に記載する場合が多い)
- 印鑑
その⑥ 支払いの受け取り
支給申請を行うと市町村によって審査が行われます。
審査に通ると住宅改修費として申請した内容の9割(所得に応じて7~8割)が償還払いされます。
償還払いされる最大金額は自己負担1割で18万円、2割負担で16万円、3割負担で14万円となります。
この償還払いですが、多くの場合は申請書や完了届に記載した口座に振り込まれることになります。
自分(家族)で工事しても大丈夫?
基本的に介護保険では訪問介護・通所介護などの介護保険サービスを提供する場合には保険者からの指定を受ける必要がありますが、住宅改修は事業者の指定というものはなく、どのような建築会社・工務店・リフォーム会社などでも行うことが可能になっています。
では、要介護者の家族などが自分で工事を行っても大丈夫なのでしょうか?
その① 家族が会社を営んでいるケース
まずは家族が会社を営んでいるケースです。
このケースでは、被保険者本人もしくは家族が経営する法人が建設業を営んでおり、法人所在地の住所が被保険者の住所と異なる場合であれば通常通りの申請を行うことができます。
ただ、法人所在地の住所が被保険者の住所と同じである場合は、住宅改修に使用した材料費のみが支給対象として認められ、工賃は対象外となります。
その② 日曜大工で工事をするケース
また、家族の中に日曜大工が趣味という方がいるという被保険者の方も多いかと思いますが、このような方が日曜大工として住宅改修を行うことについても介護保険は適用されます。
ただ、日曜大工によって住宅改修を行う場合は住宅改修にかかった材料に関する費用のみが介護保険の適用対象となり、工賃や人件費などの諸経費は介護保険の対象にはなりません。
日曜大工にて住宅改修を行う場合には材料費のみが適用の対象となりますので、購入した材料費のレシートを必ず保管しておくようにしてください。
住宅改修を行うためには事前申請が必要になっていますが、事前申請の際には図面なども必要になりますので、簡単な図面を作成してお住まいの市町村の担当窓口にて住宅改修についての相談を行ってください。
また、工事完了後も完了報告を忘れないように行う必要があります。
まとめ
ここまで住宅改修を事業者に頼まずに自分で行った場合の費用はどのようになるのかということについて、また、介護保険を利用した住宅改修を行う際の流れについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように、介護保険を利用した住宅改修は家族でも行うことが可能になっています。
ただ、日曜大工にて住宅改修を行う場合などでは人件費などは介護保険の支給対象外となり、材料費しか介護保険が適用されませんので注意する必要があります。
自分で住宅改修を行うと事業者に頼む場合と比べていろいろと面倒であったり、時間がかかったりするというデメリットがあります。
ただ、自分で行うことによって支出を抑えることが可能になりますし、家族で協力して要介護者を支えることができるという大きな意味もありますので、日曜大工が趣味という方が家族にいるという要介護者は、必要な工事が簡単なものの場合には住宅改修をお願いしてみてはいかがでしょうか?