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介護保険制度改定2018のポイント!介護医療院の創設に迫る!

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まとめ

この記事では介護保険制度の改正について、また、介護医療院の創設に関しても解説しています。

介護保険は2000年にスタートした制度ですが、新しい制度ですので見直しを重ねながら世の中の実情に合わせた制度にしていくために3年ごとに見直されることになっています。

これまで5回の大きな改正が行われてきた介護保険制度ですが、これまでにも介護事業者の不正の防止、介護職員の確保などの改善が行われています。

また、2018年にも大きな改正を行っており「自己負担3割の導入」「福祉用具貸与の見直し」「介護医療院の創設」「共生型サービスの位置づけ」「総報酬割に変更」というような改正が行われました。

ここでは介護保険制度の改正について、また、介護医療員の創設に関しても解説していきますので、介護保険制度がどのように改正されたのかということについて知りたいという方は是非この記事をご覧ください。

自己負担3割の導入

    まず、大きい見直しとなったのが自己負担額の見直しによる3割負担の導入です。

    介護保険サービスの自己負担額は、介護保険制度が開始された当初は一律で1割負担でした。

    しかし前回の改正で一定以上の所得がある方については、介護保険サービスを利用した際の自己負担額が1割から2割に増加しました。

    今回の改正によって前回の改正で2割負担となった方の中で「特に所得が高い方」については自己負担割合が3割になることになりました。それぞれの負担割合になる所得の基準は以下の通りになっています。

    [所得における自己負担割合]

    ① 3割負担になる方

    • 合計所得金額が220万円以上
    • 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は344万円以上に相当)

    ② 2割負担になる方

    • 合計所得金額が160万円以上
    • 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で280万円以上、夫婦世帯で346万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は280万円以上に相当)

    ③ 1割負担になる方
    上記の3割負担と2割負担の要件に該当しない方

    ※「合計所得金額」とは給与所得や事業収入などの収入から給与所得控除や必要経費を控除した後の金額のことであり、「その他の合計所得金額」とは合計所得金額から年金等の雑所得を差し引いた金額のことをいいます。

    また、所得によって自己負担割合が変動するのは65歳以上の第一号被保険者のみとなっており、40歳から64歳までの第二号被保険者の方は所得に関係なく一律で1割負担となっています。

福祉用具貸与の見直し


福祉用具貸与に関する見直しも行われました。

改正前までの福祉用具貸与については、同じ商品であっても福祉用具貸与のサービスを提供している事業者によって仕入れ価格や点検費用が異なってくるため、レンタル価格に差が出ていました。

今回の改正ではレンタル価格の見直しを行い、利用者がどの事業者を利用したとしても適正な価格でサービスを受けることができるようになりました。

具体的にいうと、国が福祉用具貸与に該当する福祉用具についてレンタル価格を公表することになっています。

これにより、福祉用具貸与のサービスを提供している事業者はレンタルを行うときには国が設定している全国平均貸与価格と業者の設定価格の双方を利用者に提示し、価格に関する説明を行わなければなりません。

また、価格帯や機能が異なる物については、複数の提示を行わなければならないとされています。

介護医療院の創設

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現在日本は高齢化が進んでおり、今後も要介護者が増加することが確実になっています。

ただ、要介護者が増加してくると慢性的に介護や医療のニーズが増加することになり、現在の施設では対応しきれません。

このため、今回の改正ではこのようなニーズに対応するために、新たな介護保険施設として「介護医療院」が誕生しました。

この介護医療院は、日常生活を送る上で必要になってくる介護と長期にわたって療養するための医療を受けることができる施設となっています。

開設することができるのは、医療法人・地方公共団体・社会福祉法人というような非営利団体となります。

4. 共生型サービスの位置づけ

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今回の改正によって介護保険と障害福祉の両方の制度に新たに「共生型サービス」が位置づけられることになりました。

この共生型サービスは、高齢者と障害を持った方が同じ事業所でサービスを受けやすくすることを目的としています。

改正前では介護保険事業所が障害福祉サービスを提供するには、それぞれ指定の基準を満たしている必要がありましたが、今回の改正によって共生型サービス事業所では、改正前のような煩わしさを解消することが可能になっています。

これによって想定されている対象サービスは、「訪問介護」「通所介護」「ショートステイ(短期入所生活介護)」などで、障害福祉サービス事業所などであれば、介護保険事業所の指定を受けやすくなるような特例が設けられます。

この改正によって恩恵を受けるのは事業所側だけではありません。これまでの制度化では65歳になった障害者の方は障害者福祉制度から介護保険制度が適用されるようになるので、長年利用してきた障害者施設を利用することができなくなるというデメリットがありました。

ただ、今回の改正で利用している事業所が共生型サービスの指定を受けていれば、そのようなデメリットはなくなり、長年利用してきた障害福祉サービス事業所をそのまま引き続いて使用することができるようになりました。

総報酬割に変更

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改正前の介護保険制度では第二号被保険者の方が支払う介護保険料は、健康保険組合又は協会けんぽが第二号被保険者の数に応じて負担するという「加入者割」となっていました。

ただ、この加入者割りでは健康保険組合と協会けんぽの保険料負担額が同額となっているため、大企業に所属している健康保険組合の負担割合は小さく、所得の低い協会けんぽの負担割合は大きくなっていました。

しかし、今回の改正によって報酬額に反映させる「総報酬制」に変更となり、大企業などの高所得者の負担割合が増加することになります。

ただ、日本は少子高齢化社会ですので、今後も同じように国民皆保険制度を維持することができるのかは不透明な状況になっています。

今回の改正では、実質的に協会けんぽの負担分を健康保険組合に背負わせるような形になりましたが、健康保険の財政事情も良いというわけではありませんので、今後協会けんぽの保険料が引き上げられるのも時間の問題ではないかといわれています。

まとめ

まとめ
ここまで介護保険制度の改正について、また、介護医療院の創設に関しても解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

解説してきたように2018年の介護保険制度の改正によって「自己負担3割の導入」「福祉用具貸与の見直し」「介護医療院の創設」「共生型サービスの位置づけ」「総報酬割に変更」というような見直しが行われました。

介護保険は世の中の実情に合わせた制度にしていこうという意図で3年ごとに大きな見直しが行われることになっていますが、日本は現在「超」がつくようなスピードで少子高齢化が進行しているため、改正がそのスピードに全く追いついていないような状況になっています。

このため、今後介護保険制度がどのようになっていくのかは分かりづらくなっており、その動向をしっかりと見守っていく必要があります。

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