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介護保険の財源について!今後の日本はどうなる?

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まとめ
この記事では介護保険の財源は一体どうなっているのか、また、介護保険は今後どうなっていくのかということについても解説しています。

介護保険では、介護保険サービスを利用した際に支払う費用はかかった費用の全額ではなく、費用全体の1割(所得に応じて2~3割)の自己負担で済むようになっており、残りは保険者から介護保険サービスを提供している事業者へ支給されることになっています。

ただ、現在日本は少子高齢化が急激なスピードで進行しているため、介護を必要とする高齢者が年々増加しており、介護にかかる費用もどんどん増加しています。

ここで皆さんが気になってくるのが、介護保険の財源は一体どうなっているのかということだと思います。

ここでは介護保険の財源は一体どうなっているのか、また、介護保険は今後どうなっていくのかということについても解説していきますので、介護保険の財源について知りたいという方や介護保険が今後どうなるのかということに興味があるという方などは是非この記事をご覧ください。

介護保険の財源について

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介護保険制度は、介護を必要としている高齢者とその介護を行っている家族を社会全体で支えていこうという制度で2000年にスタートしました。この介護保険ですが、財源は一体どうなっているのでしょうか?

その① 介護保険の費用負担割合について

介護保険では介護保険サービスを利用した場合、かかった費用の全額を負担するわけではなく、かかった費用の1割(所得に応じて2~3割)を負担することになっており、残りの9割(所得に応じて7~8割)は介護保険制度の運営を行っている保険者(市町村及び特別区)が負担することになっています。

保険者が負担する分の財源となっているのが、公費と介護保険の被保険者が支払っている介護保険料で、公費(市町村12.5%、都道府県12.5%、国25%)と介護保険料(第一号被保険者23%、第二号被保険者27%)という内訳となっています。

ちなみに介護保険サービスを利用した際の自己負担の基準は以下のようになっていますが、これに該当するのは65歳以上の第一号被保険者となっており40歳~64歳までの第二号被保険者は一律で1割負担となります。
①自己負担が3割負担になる方

  • 合計所得金額が220万円以上
  • 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は344万円以上に相当)
    ②自己負担が2割負担になる方

  • 合計所得金額が160万円以上
  • 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で280万円以上、夫婦世帯で346万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は280万円以上に相当)

③自己負担が1割負担になる方
上記の3割負担と2割負担の要件に当てはまらない方

※「合計所得金額」とは給与所得や事業収入などの収入から給与所得控除や必要経費を控除した後の金額のことをいい、その他の合計所得金額」とは合計所得金額から年金等の雑所得を差し引いた金額のことをいいます。

その② 調整交付金について

公費の内国が負担している25%の内、5%を調整交付金といいます。

介護保険は市区町村が保険者となって運営されますが、後期高齢者が多い自治体や所得が少ない第一号被保険者が多い自治体というのは、そうでない自治体と比べて介護保険料がどうしても高くなってしまいます。

調整交付金とは「75歳以上の高齢者人口が多い」「所得の低い高齢者が多い」「災害等によって介護保険料を免除した」というような自治体に対して、その自治体に居住する65歳以上の方の介護保険料が高くなりすぎないように支援するためのものとなっています。

あくまで介護保険料のばらつきを補正するためのものなので、後期高齢者が少ない自治体や所得の低い高齢者が少ない自治体には必要ありませんので、そのような自治体には交付されません。

一方で、放っておくと介護保険料が全国平均を大幅に上回ってしまうというような自治体に対しては5%どころか介護等給付費総額の15%も支給される場合もあります。

その③ 財政安定化基金について

財政安定化基金とは、介護保険料の徴収率が予想以上に低下してしまったり、見込みを上回るレベルで介護給費が増加してしまった市区町村に対して貸付・交付されるもので、これらが原因で市区町村の介護保険財政が悪化することがないようにすることを目的としています。

貸付と交付の基準ですが、見込みを上回るレベルで介護給費が増加してしまった場合の赤字分は基金から貸し付けられます。

保険料の未納によって赤字が発生した場合は、発生した赤字の半分を基金から交付し、残りの赤字分は基金からの貸付となります。

介護保険は今後どうなる?

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ここまで介護保険制度の財源について解説してきましたが、日本は少子高齢化がものすごいスピードで進行しているため介護が必要な高齢者が増加しており、年々介護保険の財政が厳しくなってきています。

では、これからの介護保険制度はどのようになっていくのでしょうか?

その① 保険料のアップ

少子高齢化社会である日本では介護が必要な高齢者が年々増加しているため、高齢者1人にかかる介護費も年々増加していっています。

介護保険の財源は公費50%、介護保険料50%となっていますが、介護を必要とする高齢者が増えれば増えるほど財源が厳しくなっていきますので、これまでも年々介護保険料は上昇していましたが、今後も介護保険料の上昇は止まらないことが予想されています。

また、介護保険料を支払うことになるのは40歳以上の介護保険に加入している方となっていますが、これを40歳未満にも広げようという議論も始まっています。

その② 負担額のアップ

介護保険制度が開始された当初は全ての被保険者が一律で1割負担でしたが、介護保険のニーズが高まると共に一定以上の所得のある方の自己負担割合が2割に引き上げられました。

そして2018年の改正で先の改正で2割負担となっていた方の中で一定以上の所得がある方は自己負担割合が3割に引き上げられることになりました。

3割負担となる方の割合は被保険者全体で見ても低いものであり、基本的に1割負担で介護保険サービスを利用することが可能になっていますが、楽観視はできません。

介護保険を必要とする高齢者は年々増加していますので、現在はごく一部の方のみである3割負担も将来的には多くの人が対象になるのではないかとみられています。

その③ 介護難民も・・・

また、介護難民の増加も今後の介護保険における課題といわれています。

介護難民とは介護が必要である「要介護」に認定されているにもかかわらず、適切な介護保険サービスを受けることができなかったり、介護施設に入所することができなかったりする65歳以上の高齢者のことをいいます。

何度もいいますが日本は少子高齢化社会です。

総人口は減少しているにもかかわらず、高齢者の数は増加しており、2025年には人口の3割程度、2060年には人口の4割程度を高齢者が占めるともいわれています。

また、介護に携わっている人材の不足も問題となっており、介護保険サービスを提供している事業所でも人材の確保が困難を極めています。

このような背景にから適切な介護を受けることができない介護難民が増加しており、今後誰しもが介護難民となる可能性もあります。

まとめ

負担限度額認定制度の概要とは?
ここまで介護保険の財源は一体どうなっているのか、また、介護保険は今後どうなっていくのかということについても解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

解説してきたように、高齢化社会である日本では介護を必要とする高齢者が年々増加しているため、介護保険の財政が厳しい状態が続いています。

このため介護保険の被保険者が支払うことになる介護保険料は年々上昇しており、負担割合も2018年の改正で最大3割まで引き上げられました。

今後介護保険制度を維持していくためには更なる財源確保が必要になってくるため、介護保険料の支払い開始年齢が引き下げられるのも時間の問題ではないかとみられています。

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