介護保険は介護が必要な方が自己負担1〜3割で受けることができるサービスですが、このサービスの自己負担額は、地域によって異なることはご存知ですか?
この記事では2018年に改定された地域区分別の介護保欧州単価について表にまとめ説明します。
抑えておきたい基礎知識『地域区分』とは?
介護保険法第41条第4項等によると「介護報酬は法律上、事業所が所在する地域も考慮したサービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定すること」とされています。
このことについて平成28年11月の社会保険審議会では「利用者に直接介護サービスを提供する事業者の賃金は、地域によって差がありこの地域差を介護報酬に反映する為に、単位制を採用し、地域ごと、サービスごとに1単位の単価を設定している」と改めて資料説明しています。
「地域区分」とは地域の人件費に応じた報酬単価の調整を行うための区分のことです。
介護報酬は1単位=10円ではなく、地域ごとに厚生労働大臣が定める1単位の単価に基づいて介護報酬が決まります。
地域間における物価や人件費の差を勘案して、それを介護保険に反映させる為に地域区分が設けられています。
地域区分は現行では「1級地、2級地、3級地、4級地、5級地、6級地、7級地、その他」の8区分となっています。
金額は1級地が最も高く、その他区分が最も低くなります。
その① 人件費割合について
「人件費割合」とは、介護保険のサービスごとに人件費が違うため、その人件費の差を介護保険に反映させるために定められた割合のことです。
例えば訪問介護とデイサービス、介護施設サービスなどでは人件費は異なります。
その異なる人件費をサービスごとに人件費割合として設定し、介護報酬に反映させます。
人件費割合は45%、55%、70%の3つに分類されています。以下の表にそれぞれの人件費割合の介護サービス事業をまとめました。
その② 地域ごとの上乗せ割合について
「地域ごとの上乗せ割合」とは、人件費の高い地域に対して介護報酬の単価を上乗せすることです。
例えば東京23区などの大都市では人件費が高いため、ほかの自治体と同じ介護報酬のままでは、介護サービス事業所などの経営が苦しくなってしまいます。
このため厚生労働省は人件費水準に応じて全国の自治体を8つに区分し、介護報酬の単価(1単位=10円)に上乗せを行います。
地域ごとの上乗せ割合は「1級地、2級地、3級地、4級地、5級地、6級地、7級地、その他」の8区分に分類されており、それぞれに「上乗せ割合」が定められています。
地域区分と上乗せ割合を大公開
地域区分は「1級地、2級地、3級地、4級地、5級地、6級地、7級地、その他」の8区分に分かれています。
それぞれの地域区分における上乗せ割合を表にまとめました。
その① 1級地域
1級地の上乗せ割合と対象の地域は以下の表の通りです。
また、1級地の介護報酬単価について、介護サービス事業別に表にまとめました。
その② 2級地域
2級地の上乗せ割合と対象の地域は以下の表の通りです。
また、2級地の介護報酬単価について、介護サービス事業別に表にまとめました。
その③ 3級地域
3級地の上乗せ割合と対象の地域は以下の表の通りです。
また、3級地の介護報酬単価について、介護サービス事業別に表にまとめました。
その④ 4級地域
4級地の上乗せ割合と対象の地域は以下の表の通りです。
また、4級地の介護報酬単価について、介護サービス事業別に表にまとめました。
その⑤ 5級地域
5級地の上乗せ割合と対象の地域は以下の表の通りです。
また、5級地の介護報酬単価について、介護サービス事業別に表にまとめました。
その⑥ 6級地域
6級地の上乗せ割合と対象の地域は以下の表の通りです。
また、6級地の介護報酬単価について、介護サービス事業別に表にまとめました。
その⑦ 7級地域
7級地の上乗せ割合と対象の地域は以下の表の通りです。
これらの1級地〜7級地以外の地域は「その他」の区分となり、上乗せ割合は0%です。
また、7級地の介護報酬単価について、介護サービス事業別に表にまとめました。
地域区分の今後について
介護保険の上乗せ割合に関して、平成12年の報酬設定以後、経済の動向や自治体の要望に応じて議論や分析が細やかにされ、地域区分はその都度再編されています。
できるだけ最新の地域区分に地域差が少なくなるような仕組みなっています。
一方で、介護サービスごとの人件費割合に関して、3つの分類は現状に即しているのかが課題となっています。
現行の介護報酬では各種サービス事業において加算算定各種の有無によって、同じサービス事業でも収入に大きな差が生じています。
加算算定の可否は多くの場合は人手にかかっていることも多く、地域区分の考え方のみで一定の基準に当てはめ、単にサービス事業種類で分類することは難しいと思われます。
少子高齢化の日本では、介護の働き手が確保できるかによって、地域差の幅が大きくなっていことも勘案して、地域区分を考えていく必要があります。
まとめ
この記事では介護保険の地域区分別の介護報酬単価について解説しました。以下にこの記事の内容についてまとめます。
- 「地域区分」とは地域の人件費に応じた報酬単価の調整を行うための区分であり、1級地〜7級地、その他の8区分あります。
- 「人件費割合」とは、介護保険のサービスごとに人件費が違うため、その人件費の差を介護保険に反映させるために定められた割合のことです。人件費割合は介護サービス事業別に45%、55%、70%の3つに分類されています。
- 「上乗せ割合」とは、人件費の高い地域に対して介護報酬の単価を上乗せすることで、地域区分ごとに定められています。東京23区は一番の上乗せ割合の大きい1級地に区分されており、上乗せ割合は20%です。
- 介護報酬単価は1級地の地域が最も高く、その他の地域が最も低くなります。その他の地域は上乗せ割合はなく、基本の介護報酬単価である1単位=10円です。
介護報酬単価は全国一律ではなく、地域区分によりその単価には差があります。
これは人件費による介護報酬単価の地域差を少なくするために、その都度再編されているものです。
ご自分のお住まいの地域がどの区分にあたり、介護報酬単価がいくらなのか調べて知っておきましょう。
参考サイト
https://www.minnanokaigo.com/guide/care-insurance/area-adjustment/
参考サイト
https://n-carer.net/1805