この記事では介護保険サービスの1つである訪問看護における特別管理加算とは一体何なのか、また、医療保険の特別管理加算と何が違うのかということなどについて解説しています。
介護保険には様々な介護保険サービスがありますが、そのサービスの中には提供されるサービスの内容によって料金が加算(増額)されるというものもあります。
加算される金額や加算の名称は「お住まいの市町村」「事業所の種類」「提供しているサービスの内容」「緊急度」「サービスを提供する時間帯」等によって変わってきますが、その中に訪問看護において算定される特別管理加算という種類の加算があります。
また、この特別管理加算には「特別管理加算Ⅰ」「特別管理加算Ⅱ」という2つの種類があります。では、この特別管理加算とは一体どのようなものなのでしょうか?
また、ⅠとⅡにはどのような違いがあるのでしょうか?
ここでは介護保険サービスの1つである訪問看護における特別管理加算とは一体何なのか、また、医療保険の特別管理加算と何が違うのかということなどについても解説していきますので、訪問看護における特別管理加算について知りたいという方は是非この記事をご覧になってください。
訪問看護の特別管理加算とは?
介護保険には様々な介護保険サービスがありますが、その中には提供されるサービスの内容によってサービス料金が増額(加算)されるものがあります。
加算される金額はお住まいの市町村や事業所の種類、緊急度等によって異なってきますが、いずれにせよ提供されることになる介護サービスの質を向上させるために存在しているものです。
この加算の中には特別管理加算というものがあります。
訪問看護における特別管理加算は、利用者の状況によって特別な管理の必要があり、計画的な管理を行っている場合に月1回加算することが可能になっており、加算には利用者の他、利用者の家族、介護支援専門員等に十分な説明を行った上で了承を得る必要があります。
特別管理加算は介護保険だけではなく医療保険にもありますが、介護保険と医療保険の特別管理加算はほぼ同じ趣旨となっていますが、介護保険の訪問看護における特別管理加算の算定要件は以下のようになっています。
[算定要件]
- 特別管理加算は、当該月の初回の介護保険給付対象となる訪問看護を行った日に加算する。
- 訪問看護ステーションで特別管理加算を算定している場合には、同じ月に利用した「定期巡回・随時対応訪問介護看護」「複合型サービス」では算定することができない。また、同じ月に医療保険による訪問看護を利用した場合の当該訪問看護における特別管理加算は算定することができない。
- 特別管理加算は1人の利用者に対して1カ所の事業所に限って算定することができる。
特別管理加算の対象となる事業所
訪問看護ステーションが訪問看護によって特別管理加算を算定するためには「緊急時訪問看護加算・特別管理体制・ターミナルケア体制に関わる届出書」を提出する必要があります。
この届出書において記載することになる内容は以下の通りです。
① 24時間常時連絡することができる体制を整備している
② 当該加算に対応することができる職員体制・勤務態勢を整備している
③ 病状の変化や医療器具係る取扱等において医療機関等との密接な連携体制を整備している
介護保険の訪問看護の特別管理加算の種類
介護保険の訪問看護において加算される特別管理加算には「特別管理加算Ⅰ」「特別管理加算Ⅱ」という2つの種類があります。
先程の項目でも解説したように、特別管理加算は利用者の状態によって特別な管理の必要があり、計画的な管理を行っている場合に月1回加算することが可能になっていますが、この状態とは厚生労働大臣が定める状態のことをいい、「特別管理加算Ⅰ」「特別管理加算Ⅱ」で異なってきます。
特別管理加算Ⅰ
介護保険において特別管理加算Ⅰを算定することができるのは以下のような状態で、月1回500単位が加算されます。
・在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている状態
・在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
・気管カニューレを使用している状態
・留置カテーテルを使用している状態
ちなみに医療保険において特別管理加算Ⅰを算定することができるのは以下のような状態で、月1回5,000円が加算されます。
・在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態にあるもの
・在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にあるもの
・気管カニューレを使用している状態にあるもの
・留置カテーテルを使用している状態にあるもの
特別管理加算Ⅱ
介護保険において特別管理加算Ⅱを算定することができるのは以下のような状態で、月1回250単位が加算されます。
・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態や、人工肛門また人口膀胱を留置している 状態
・真皮を超える褥瘡の状態(MPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度、DESIGN分類D3、D4、D5)
・点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態
ちなみに医療保険において特別管理加算Ⅰを算定することができるのは以下のような状態で、月1回2,500円が加算されます。
・在宅自己腹膜還流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿管理
・在宅人口呼吸指導管理
・在宅持続要圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
・人工肛門また人工膀胱を留置している状態
・真皮を超える褥瘡の状態
・在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定しているもの
特別管理加算を算定するときの注意点
ここまでの項目では特別管理加算は介護保険と医療保険の両方にあるということなどについて解説してきましたが、特別管理加算を算定する際には以下の点について注意する必要があります。
① 月の途中で介護保険と医療保険が変更になったとしても、介護保険・医療保険で同時に特別管理加算を算定することはできません。
② 複数の事業所から訪問看護を受けている場合であっても、全ての事業所において特別管理加算を算定することはできません。
この場合はどちらの事業所で特別管理加算を算定するのか事業所間で事前に協議しておく必要があります。
③ 介護保険では複数の事業所で特別管理加算を算定することはできませんが、医療保険による訪問看護に複数の事業者が関わっている場合には、その全ての事業所において特別管理加算を算定することが可能になっています。
まとめ
ここまで介護保険サービスの1つである訪問看護における特別管理加算とは一体何なのか、また、医療保険の特別管理加算と何が違うのかということなどについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
解説してきたように訪問看護における加算には特別管理加算というものがあり、これは介護保険だけではなく医療保険においても加算することが可能になっています。
介護保険の場合には複数の事業所において同時に算定することができない等の決まりがありますが、要件を満たした上で適切な運営を行っていれば大きな加算となりますので、是非この記事を参考にしていただいて安定した事業所の経営を行っていただければと思います。