この記事では介護保険サービスの1つである訪問看護ではどのようなサービスを受けることができるのか、また、サービスを受けるためにはどうすればいいのかということについて解説しています。
介護保険には数多くの介護保険サービスがありますが、その中の1つに訪問看護というものがあります。
介護保険サービスには他に「訪問介護」というサービスもあるため、介護保険について詳しくない方の中には「介護保険なのに看護?」と不思議に思われる方もいるでしょう。
また、「一体どのようなサービスを受けることができるのか」「サービスを受けるためにはどうすればいいのか」というような疑問を持っている方もいるかと思います。
ここでは訪問看護ではどのようなサービスを受けることができるのか、また、サービスを受けるためにはどうすればいいのかということについて解説していきますので、訪問看護について詳しく知りたいという方は是非この記事をご覧になってください。
訪問看護とはどんなサービス
訪問看護とは看護師や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリ専門職が利用者の自宅を訪問して看護ケアを提供することによって、病気や障害を持った高齢者が住み慣れた自宅や地域で、その人らしい生き生きとした療養生活を送ることができるように支援するという介護保険サービスです。
この訪問看護ですが、提供している機関は「訪問看護ステーション」「医療機関(病院・診療所)」「民間企業」の3つとなっています。
「訪問看護ステーション」とは、看護師又は保健師が管理者となって運営している事業所のことをいい、看護師・保健師の他に准看護師・助産師などが在籍しています。
また、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問看護師に変わってリハビリテーションを提供している訪問看護ステーションもあります。
また、保健医療機関ではありませんが、介護保険と医療保険を利用することができます。
「医療機関(病院・診療所)」による訪問看護ですが、病院や診療所では「訪問看護部門」を設けたり、外来部門が兼任するなどして訪問看護サービスを提供しているところがあります。
このような医療機関は原則として介護保険法のみなし指定訪問看護事業所として扱われることになり、訪問看護ステーションと同じように介護保険と医療保険を利用することができます。
「民間企業」による訪問看護ですが、介護保険制度外・医療保険制度外の訪問看護サービスとなっているため各種保険を適用することはできませんが、訪問看護ステーションや医療機関からの訪問看護と同じように看護師等による訪問看護のサービスを利用することが可能になっています。
また、豊富なメニューが用意されており、公的保険ではカバーすることが難しい事案への対応も可能になっています。
訪問看護のサービス内容
訪問看護は主治医との連携を密に取り、利用者の心身状態に応じて適切な看護を行ってくれます。
身体的・精神的な看護だけではなく、関連機関との連携や必要に応じたサービスの紹介などによって利用者の希望に合わせた療養生活をかなえるための様々な調整や支援を行ってくれます。
先程の項目では訪問看護とはどのようなサービスなのかということについて解説してきましたが、ここでは訪問看護のサービス内容について詳しく解説していきます。
健康状態の管理
- 利用者の全身の健康状態(体温、脈拍、呼吸、血圧、体重、視力、筋力、聴力、皮膚の状態、意思疎通、意欲、精神状態、認知状態、睡眠、栄養状態、排泄状況など)に関するチェック
- 利用者がかける病気や障害についてのチェック
日常生活の介助
- 栄養管理(食事摂取に関する支援、脱水予防など)
- 清潔ケア(全身清拭、洗髪、入浴介助など)
- 排泄管理(排泄の自立支援、適切なオムツ使用、ストーマ管理)
- コミュニケーションに関する支援
- 適切な福祉用具の仕様といった療養環境の整備
医者の指示基づいた医療措置
- 医師の指示に基づけ医療行為(点滴注射、褥瘡・創傷の処置など)
- 血糖コントロール、疼痛、脱水などの症状マネジメントと医師等への情報提供
- 医療機器や医療器具使用者のケア(留置カテーテルの管理、在宅酸素療法管理、在管栄養法管理、吸引、人工呼吸器の使用上の管理など)
- 服薬管理
- 急性増悪、急変等による緊急時の対応(24時間体制)
- その他、主治医の指示に基づいた処置や検査など
家族への助言や相談
- 介護方法に関するアドバイス
- 介護用品に関する相談
- 介護負担、看護負担についての相談
- 日常生活や健康管理についての相談
- 精神的支援
- 家族会、患者会、相談窓口の紹介
- 家族や関係職種間の人間関係の調整
- 他機関との連携
- 地域の社会資源についての相談
訪問看護を利用するには?
介護保険において訪問看護を利用するためには、要介護認定を受けていることが前提条件となります。
要介護認定はお住まいの市町村の担当窓口において申請することができ、介護認定調査・審査判定等を経て最終的な要介護度が決定されます。
要介護認定によって下される要介護度は「要支援1・2」「要介護1~5」または「非該当(自立)」となり、ここで非該当と判定されてしまうと介護保険を利用することはできませんので、訪問看護を受けたいという場合には医療保険にて訪問看護を利用することになります。
また、介護保険には65歳以上の第一号被保険者と40歳~64歳までの第二号被保険者がありますが、第一号被保険者は介護が必要になった原因がどのようなものであっても要介護認定を受けることができるのに対して、第二号被保険者は介護が必要になった原因が16種類の特定疾病によるものと認められなければ要介護認定を受けることができませんので注意してください。
ケアマネージャーまたは地域包括支援センターへ相談
要介護認定において「要支援」または「要介護」と判定された方は、まず担当のケアマネージャーや地域包括支援センターへ相談を行い、訪問看護の利用が必要であれことを伝えましょう。
訪問看護を利用することが決まったらサービス提供事業者を決定し、主治医に訪問看護指示書を発行してもらいます。
その後、担当のケアマネージャーと相談しながら、利用者の身体状況や区分支給限度額などを考慮しながらケアプランを作成します。
ケアプランが完成したら訪問看護を提供している事業者との契約を行い、サービスの開始となります。
まとめ
ここまで介護保険サービスの1つである訪問看護ではどのようなサービスを受けることができるのか、また、サービスを受けるためにはどうすればいいのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
訪問看護とは、病気や障害を持った高齢者が住み慣れた自宅や地域で、その人らしい生き生きとした療養生活を送ることができるように支援するという介護保険サービスで、主治医との連携を密に取りながら様々なサービスの提供を行ってくれます。
解説してきたように介護保険で訪問看護を利用するためには要介護認定を受けている必要がありますので、利用者がどのような療養生活を望んでいるのかを事前に把握し、必要であれば要介護認定を受けておくようにしましょう。
要介護認定は原則として申請から30日以内に結果が通知されますが、遅れることも多々ありますので早め早めの行動を心がけてください。