介護保険の施設サービスやショートステイを利用する際に、費用負担を抑えられる、負担限度額認定制度をご存知でしょうか。
所得や預貯金に応じて段階があり、その段階ごとに費用軽減を行うことができます。
今回はその仕組みについて解説していきます。
介護保険の負担限度額認定証について
施設サービスを利用する際に非常に有利な負担限度額認定証について、内容や仕組み、利用するための要件は下記のようになっています。
内容や仕組み
負担限度認定証は、居住する市町村に申請することによって審査されたのち、発行されます。
初めて施設サービスやショートステイを利用する際に、担当職員から説明がありますので、市役所に問い合わせて書類を取り寄せ、申請しましょう。
すでに介護保険施設などに入居しているかたやショートステイを利用している方は、毎年申請書が送付されてきますので、忘れずに提出するようにしましょう。
この制度は全部で4段階あり、所得や預貯金等の基準によって決定されます。
この段階に応じて施設サービス等を利用する際に費用が減額されます。
負担限度額認定証の期間は1年間です。
一度認定を受けると、次回からは更新月が近づくと更新のための書類が送られてきます。
収入や資産の内容に変更があれば段階も変わる可能性があるので、忘れず正しく申請しましょう。
受けられる要件
大きく2つの基準があり、双方を満たす必要があります。
- 所得の基準
- 預貯金等の基準
世帯の全員が住民税非課税であること
※世帯が違っても、配偶者が住民税課税対象であれば基準外となります。
配偶者がいない場合→1000万以下
配偶者がいる場合→合計2000万以下
※ローンなどの負債は預貯金等から差し引いて計算します。
預貯金等とは、具体的に預貯金(普通預金・定期預金)、有価証券、金・銀など時価評価額が容易に把握できる貴金属、投資信託、現金を指します。
申請の際は、申請書以外に通帳や口座残高が分かるもの等の資料が必要となりますのでご注意ください。
なお、申請書類は市町村のホームページからダウンロードしたり、地域包括支援センターや市町村の窓口で受け取ることもできます。
負担限度額認定証は段階によって違う
負担限度額認定証は、上記の条件のもとで申請された所得や預貯金の額に応じて4段階に分類されます。
- 世帯の全員が住民非課税で老齢福祉年金受給者
- 生活保護等の受給者
- 世帯の全員が住民税非課税で合計所得金額と公的年金等の収入額の合計が年間80万円以下の方
- 世帯の全員が住民税非課税で上記以外の方
- 上記以外の方
- 2人以上の世帯の方
- 世帯年収から施設の利用者負担(介護サービス本体の個人負担分、居住費、部屋代の合計)の見込み額を引いた額が80万円以下になる場合
- 世帯の現金、預貯金等の合計が合計450万円以下の場合
- 世帯の年間収入から施設の利用者負担(介護サービスの利用者負担、食費・部屋代)の見込額を除いた額が 80 万円以下
- 世帯の現金、預貯金等の額が合計 450 万円以下 等
第一段階
第二段階
第三段階
第四段階
ただし、第四段階に該当する方でも下記の基準を満たしている場合は市町村に申請することによって、第三段階と同様の負担限度額が設定されます。詳しくは市町村に問い合わせてみるとよいでしょう。
2人以上の世帯の方
事例でご紹介!いくら安くなる?
では、具体的に段階ごとにどのくらい安くなるのでしょうか?一覧すると下記のようになります。
介護老人福祉施設・ショートステイの住居費・食費負担限度額日額(単位:円)
介護老人保健施設・介護療養型医療施設の住居費・食費負担限度額日額(単位:円)
特別養護老人ホーム(ユニット型個室)・第三段階の場合
特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設に該当します。
そのため、この場合は住居費の日額が1,310円、食費の日額が650円となります。
特別養護老人ホーム(多床室)・第二段階の場合
この場合は、住居費日額が370円、食費の日額が390円となります。
まとめ
このように、負担限度額認定証を取得することによって介護にかかる費用のうち、施設サービスに入居した際の住居費(部屋代)と食費の負担を軽減することができるのです。
これらの費用は、介護保険サービス利用料として国で決めている費用ではなく、施設ごとに設定されている金額です。
その費用が表のように減額されるというのは非常に心強い制度になります。
ぜひ、有効活用していきたいですね。