介護保険サービスの自己負担分を含めた料金の目安!要介護3や5の場合は?
介護が必要になり、実際に介護サービスを利用しなければならなくなったとき、どのくらいの料金がかかるか不安はありませんか?計算が複雑な点もあり、難しいですよね。
今回は、要介護度3の場合と5の場合にどのくらいの料金が実際にかかるのか、具体的に見ていきます。
介護保険サービスの自己負担分以外に食費や室料などの請求についても、合わせて計算し説明していきますが、こちらの方は施設ごとに設定が異なります。
実際にはデイサービスやショートステイ、訪問介護を組み合わせて利用することが多く、その際は更に計算が複雑になります。
また、今回例示する要介護3ないし5の場合は福祉用具のレンタルを利用しているケースが殆どですが、説明を分かりやすくするために計算に含んでおりません。
更に2019年秋からは新たな処遇改善加算が追加される予定になっています。
なお、介護職員処遇改善加算については、各サービスごとに加算率が違い、利用したサービスごとにその加算率をかけたものが単位数となります。
特に計算が複雑な加算です。
単純計算でお示ししております。
あくまで目安としてご覧ください。
料金の目安ケース① 【要介護3・男性・負担限度額認定証なし】
まずは、要介護度3で男性、負担限度額認定証がないケースです。
デイサービス利用の場合
デイサービスでは、通常規模のデイサービスを想定します。
地区区分は、1~7級地とその他があり必要単位数に倍率がかかりますが、今回は分かりやすいよう倍率がない「その他」を設定します。
要介護3は要介護度全体で言うと真ん中くらいの重度さですので、サービス利用についてはそれに合わせて下記のように想定します。
利用頻度→週4回×4週
1回あたりの利用時間6時間以上7時間未満
算定する加算→入浴介助、個別機能訓練、認知症加算、栄養改善加算、口腔機能向上加算、サービス提供体制加算Ⅰ1、処遇改善加算(Ⅰ)(ごく一般的な加算です)
食費 540円/回
ショートステイ利用の場合
ショートステイ利用の場合です。比較的数の多い、特別養護老人ホームに併設されているタイプのショートステイ事業所を想定とします。
地区区分は、デイサービスと同様に「その他」とします。
利用に関する想定は、下記の通りです。
ショートステイの種類→併設型 多床室
利用頻度→3泊4日×4週
加算→夜勤職員配置加算、個別機能訓練加算、サービス提供体制強化加算、処遇改善加算
居住費1日→320円
食費1日→1,380円
介護保険対象のサービスと対比して、居住費や食費が費用全体の半分程度となっています。
訪問介護利用の場合
息子夫婦と同居する高齢者として想定します。
家族が仕事で不在となる平日に、朝昼晩の食事介助を兼ねた身体介護で1日3回訪問することを想定して計算します。
朝食の時間帯に入る場合は早朝加算がかかりますので、その分は基本単価から割増しになりますので合わせて確認してください。
料金の目安ケース② 【要介護3・女性・負担限度額認定証第2段階】
デイサービス利用の場合
目安ケース①と同じサービス利用内容で計算します。
負担限度額認定証は持っていますが、デイサービスは対象外のサービスです。また、介護保険サービスの利用料には男女差による差額はありません。
そのため、利用するサービス内容に差がなければ①のケースと変わらないことになります。
ショートステイ利用の場合
同様に、①と同じ条件で計算してみます。
ショートステイを利用する場合、負担限度額認定証の恩恵を受けることができます。
それにより、段階に応じて利用時の居住費と食費に対して上限が設定され、費用負担の軽減となります。
そのため、費用が抑えられ、このケースの場合総額では16,320円の差額が出てきます。
やはり、介護保険対象外の費用が減額されるのは大きいですね。
ショートステイや施設サービスの対象施設利用を検討している方は、積極的に申請することをお勧めします。
訪問介護利用の場合
訪問介護も負担限度額認定証の対象サービスではありません。
同条件であれば①のケースと同額になりますので、
- 独居である
- 平日の1日2回の身体介護を利用する
- 掃除や洗濯、調理ができないので生活援助も合わせて利用する
このように想定を変更し計算します。
訪問介護は、1対1でサービス提供するという性質上、1時間当たりの単価が高くなりがちです。
便利なサービスですが、可能なのであればデイサービスと組み合わせて使う方が費用を抑えられたり、他のサービスをもっと使えるようになるのでいいかもしれませんね。
料金の目安ケース③ 【要介護5・男性・負担限度額認定証なし】
次は、要介護5の方のケースについて紹介していきます。
この場合も、他のサービスを利用せず、単純にそれぞれのサービスのみ利用した場合を想定し計算していきます。
デイサービス利用の場合
要介護5は、最重度の状態です。
そのため、毎日利用することを想定します。
なお、同じ提供時間でも介護度によって利用時の単価が違う点にご注意ください。
入浴と機能訓練は隔日で行うこととします。
このように、要介護3のときと比べて倍くらいの金額がかかっているのが分かります。
ショートステイ利用の場合
デイサービスと同様、要介護5のため、月~土にショートステイを毎週利用することとして計算してみます。
ショートステイの利用条件は上記と同様とします。
やはり、要介護3のときと比べると費用がかなり上がりました。
単価が上がったのはもちろんですが、介護負担度が高いためサービス利用回数を増やさざるをえず、利用回数増が増額の主原因となりました。
訪問介護利用の場合
訪問介護は、他のサービスと違って要介護度によってサービス単価が変わらないのが特徴です。
そのため、要介護度が上がるたびに限度額も上がりますので、利用回数を増やすことが可能となります。
このように、日中の身体介護を1日1回ずつ基準限度額内で増やすことができました。
料金の目安ケース④ 【要介護5・女性・負担限度額認定証第2段階】
最期に、要介護5で負担限度額認定証第2段階のケースについてみていきます。
デイサービス利用の場合
デイサービスの場合ですが、目安ケース②と同様に男女差はなく、デイサービスは負担限度額認定証の対象外ですのでサービス内容が変わらない限りはケース③と同額になります。
ショートステイ利用の場合
ケース③と同条件で計算し、負担限度額認定証による違いのみ確認してみます。
やはりケース③と比べると、費用が抑えられるのが分かります。
訪問介護利用の場合
要介護3に比べて基準限度額が増えていますので、その分利用回数を増やすことができます。
ケース③と同様になりますので、計算表は省略します。
訪問介護はサービスの単価が高いことは説明しましたが、実は処遇改善加算も他のサービスと比べて高くなっています。
処遇改善加算は、利用した単位数にサービス種別ごとに規定された率をかけたものが単価となります。
訪問介護は最も高いもので13.7%であり、他サービスの2倍程度となっています。
まとめ
このように、介護保険制度では、要介護度ごとに利用上限額が決まっており、男女差はありません。
その上限額を超えた分は10割自己負担となり、非常に高額になってしまうため、基本的には利用上限額内で納めるように調整することが多いです。
各要介護度毎の上限額は下記の通りです。
この額に、食費や居住費その他実費を計算すれば、概ねの料金目安が出ると考えて差し支えありません。
今回説明したのはあくまで目安ですが、大きな指標にはなります。
ぜひ、参考にしてみてください。