この記事では遺族年金等の非課税年金を受給している方の介護保険料の支払いについて、また、介護保険の負担割合についても解説しています。
日本では40歳以上の国民は介護保険の被保険者であり、介護保険料を支払う義務があります。
また、介護保険の被保険者は必要に応じて介護保険サービスを利用することが可能になっており、その際に支払う自己負担は費用全額の1割となっています。
ただ、中には遺族年金等の非課税年金を受給しながら生活している方もおり、そのような方は介護保険料の支払いや負担割合についてとても気になってくると思います。
ここでは遺族年金等の非課税年金を受給している方の介護保険料の支払いについて、また、介護保険の負担割合についても解説していきますので、遺族年金を受給している方は是非この記事をご覧になって参考にしていただければと思います。
そもそも非課税年金とは何か?
公的年金には「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」3種類の年金があります。
このうち老齢を理由に支給される年金である国民年金や厚生年金といった老齢年金は雑所得として扱われるため課税の対象となるのですが、被保険者の遺族に支給される遺族年金や一定の障害を有している方に支給される障害年金については非課税となっており、税金が課せられることはありません。
このことから、遺族年金と障害年金のことを非課税年金といいます。
非課税年金(遺族年金等)の介護保険料について
先程の項目でも解説したように公的年金の中には老齢を理由として支給される「老齢年金」、被保険者の遺族に支給される「遺族年金」、一定の障害を有している方に支給される「障害年金」の3つがありますが、「遺族年金」と「障害年金」については非課税となります。
非課税年金は所得や収入として扱われることはありませんが、非課税年金のみで生活を送っていたとしても介護保険料は支払わなければなりません。
遺族年金等の非課税年金のみで暮らしているという場合、日々の生活費を捻出するだけで精一杯という状況であることが多いと思いますが、そのような場合でも介護保険料は支払わなければなりません。
ただ、この場合は所得や収入がないものとして介護保険料が算定されることになります。
日本では40歳になると自動的に介護保険に加入することになり、介護保険の被保険者となります。
介護保険の被保険者は介護保険料を支払う義務があり、遺族年金等を受給している間は減免措置はあるものの全額免除ということはありません。
また、介護保険の被保険者には介護保険料を支払う義務があるのだから、介護保険自体を脱退すればいいと考える方もいるかもしれませんが、介護保険制度は公的な制度ですので被保険者の意思で脱退することはできません。
非課税年金(遺族年金等)以外に収入がある場合の介護保険料について
遺族年金等の非課税年金は所得や収入として扱われることはありませんので、遺族年金のみの場合は所得や収入がないものとして介護保険料の算定が行われます。
しかし、非課税年金以外に仕事や課税年金等による所得や収入がある場合は、非課税年金の受給額については所得ではないものとして扱われますが、それ以外のものについては所得や収入として見なされますので、師原合わなければならない介護保険料にも反映されてくることになります。
ただ、公的年金にはある程度の控除もありますので、その範囲内であれば所得がないものとして扱われることになります。
非課税年金と負担割合の関係
介護保険では被保険者それぞれに介護保険サービスを利用した際の支払額を決めるための負担割合というものが定められています。この負担割合ですが、非課税年金とはどのような関係があるのでしょうか?
その① 負担割合とは何か?
そもそも負担割合とは何なのか皆さんはご存知でしょうか?
介護保険では介護保険の被保険者が介護が必要な状態になった時には介護保険サービスを利用することができるようになっています。
ただ、介護保険サービスを利用した際に支払うことになる費用は、サービスを利用した際にかかった費用の総額ではありません。
被保険者はサービスにかかった費用の総額の一部を支払うことになり、残りの費用に付いては保険者である各市町村が負担することになっています。
この支払いの際に被保険者が実際にかかった費用に対してどの程度の割合を負担すればいいのかということを定めたものを「負担割合」といいます。
この負担割合は毎年判定が行われることになっており、所得や収入がどの程度あるのかということを判定基準として判定が行われ、毎年7月末頃に結果が郵送されてきます。
この負担割合ですが、介護保険制度がスタートした当初は全ての被保険者が一律で1割負担だったのですが、2015年の介護保険の改正で一部の方の負担割合が2割に変更になり、2018年の改正で先の改正で2割負担となった方の中で現役並みの所得がある方については負担割合が3割に引き上げられることになりました。
なお、1~3割の負担割りですが、対象となるのは65歳以上の第一号被保険者であり、40歳~64歳までの第二号被保険者の方は所得がどれだけあろうとも一律で1割負担となります。
その② 負担割合の決定方法
この負担割合ですが以下のような所得基準によって決定されることになります。
負担割合を決定する所得基準には年金収入も反映されることになっていますが、遺族年金と障害年金については非課税年金であるため年金収入には含まれません。
① 自己負担が3割負担になる方
- 合計所得金額が220万円以上
- 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は344万円以上に相当)
② 自己負担が2割負担になる方
- 合計所得金額が160万円以上
- 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で280万円以上、夫婦世帯で346万円以上の場合(単身世帯で年金収入のみの場合は280万円以上に相当)
③ 自己負担が1割負担になる方
上記の3割負担と2割負担の要件に当てはまらない方
※「合計所得金額」とは給与所得や事業収入などの収入から給与所得控除や必要経費を控除した後の金額のことをいい、「その他の合計所得金額」とは合計所得金額から年金等の雑所得を差し引いた金額のことをいいます。
まとめ
ここまで遺族年金等の非課税年金を受給している方の介護保険料の支払いについて、また、介護保険の負担割合についても解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
日本国民は40歳になると介護保険の被保険者となり、介護保険の被保険者には介護保険料の支払いに関する義務が生じることになります。
解説してきたように、遺族年金等の非課税年金は所得としては扱われませんが、支払うことになる介護保険料は0円にはなりませんし、非課税年金以外の所得や収入がある場合にはその額が反映された介護保険料を支払わなければなりません。
また、介護保険では各被保険者に負担割合というものが設定あされており、介護保険サービスを利用した際にはその負担割合に基づいた金額を支払うことになります。
この負担割合の決定には所得基準が設けられていますが、非課税年金については所得と下は扱われませんので、それ以外の所得や収入を基準に当てはめて決定されます。