介護保険制度で利用できる介護サービスと言えば、何を思い浮かべますか?
デイサービス(正式名称 通所介護)が頭に浮かぶ人は多いのではないでしょうか。
実は、デイサービスは数ある介護保険の事業所の中でも、トップクラスの事業所数を誇るサービスなんです。
公開されている最新の「平成29年度介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、要支援1・2の方が利用する介護予防通所介護は40,870か所で1位、要介護1~5の方が利用する通所介護は23,597か所であり、居宅介護支援(ケアマネの事業所)、訪問介護に次ぐ第3位です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service17/index.html
これからも分かるように、通所介護は、たくさんの要介護者から利用されている人気の介護サービスです。
そこで、各要介護度別のデイサービスにかかる費用や利用回数のイメージについて説明していきたいと思います。
利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
要介護度等と限度額の関係について
まずは、各要介護度毎にギリギリまでサービスを使うとどのくらいの費用がかかるのか、確認しておきましょう。
介護保険制度では、非該当、要支援1・2、要介護1~5の全8段階で要介護度を定めています。
この要介護度毎にサービス利用時に介護保険適用となる区分支給限度額が定められています。
各介護保険サービスごとに、1回当たり〇〇単位という単価が決まっており、1単位=10円で計算されます。
この金額の1ヶ月分の積算が限度額に収まれば、所得に応じて積算額のうち1~3割の自己負担額を支払えばOKという仕組みになっています。
この限度額を超過すると、超えた分についてはその10割が自己負担額に加算されてしまいます。
限度額を超えると多額の費用が発生してしまうので、ケアマネジャーさんたちは何とか支給限度額内に収まるよう、日々頭を悩ませているのです。
介護保険サービスを利用できない「非該当」を除いた要介護度ごとの区分支給限度額は、下記の通りです。
この限度額は、介護保険の改定や消費税の増額のタイミングで変更されます。
2019年には消費税が10%になるため、この限度額も変更される予定になっていますので注意が必要です。
特別な事情がない限り、ほぼ全てのケアマネジャーが区分支給限度額を超過しないようプランニングしています。
よって、この区分支給限度額のうち1~3割が、要介護度毎の介護サービスにかかる費用の目安になるとも言えます。
(ただし、デイサービスの食費など介護保険対象外の費用を除く)。
表:要介護度別の区分支給限度額及び自己負担額(平成31年3月現在)
※但し、「高額介護サービス費」等の活用により、所得に応じて一部減免される制度あり
要支援の場合の利用回数の目安
まずは、要支援の場合のデイサービス利用イメージを見てみましょう。
要介護認定の結果、要支援1または2の判定を受けた場合は、最寄りの地域包括支援センターでケアプランを作成してもらうことになります。
地域包括支援センターは各中学校区ごとに設置されるのが基本となっていて、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員等が配置されています。
要支援の場合、ケアプランを作成してくれるのはこれらの方ですので、要介護の場合と違ってケアプランの専門家である介護支援専門員が作成するとは限らない点は頭に入れておきましょう。
なお、希望すれば通常のケアマネジャーがいる居宅介護支援事業所でプランニングしてもらうこともできます。
要支援1の場合
要支援1の方のイメージとしては
- 居室の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる
引用:http://www.city.shizuoka.jp/000055497.pdf
現在、要支援の方のデイサービスは、介護保険の居宅サービスから切り離され、市町村の管轄で実施される「介護予防・日常生活支援総合事業(通称 総合事業)」に分類されています。
要支援1の場合は、法律によって週1回程度の利用を目安とすると規定されています。
必ずしも週1回しか使えないわけではないですが、市町村によっては「1月あたり最大5回まで」などと利用回数の制限を設けている所もあります。
要支援2の場合
要支援2の方のイメージとしては
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる
引用:http://www.city.shizuoka.jp/000055497.pdf
要支援1の場合と同様、要支援2の方も総合事業によるデイサービスを利用することになります。
要支援2の場合は、週2回の利用を目安とするということになっています。
市町村によっては、「1月あたり最大10回まで」などと利用回数を制限しているところもあるようです。
要介護の場合の利用回数の目安
要介護の場合は、要支援と違って利用回数が制限されているということはありません。
但し、区分支給限度額が決まっていて、そこを超過すると10割負担と高額になることから、他のサービスと併用しながら、限度額を超えないように計算しながら利用することになります。
要介護1の場合
要介護1の方のイメージとしては
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる
- 認知機能障害がみられることがある
引用及び一部表記訂正:http://www.city.shizuoka.jp/000055497.pdf
※あくまでイメージであり、生活全般の状態から総合的に要介護度が決まるため、実際とは異なる場合があります。
この場合は、週2回のデイサービス、週3回のホームヘルパー、月4日のショートステイ、杖のレンタル等が想定されます。
要介護2の場合
要介護2の方のイメージとしては
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする
- 排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある
- 認知機能障害がみられることがある
引用及び一部表記訂正:http://www.city.shizuoka.jp/000055497.pdf
※あくまでイメージであり、生活全般の状態から総合的に要介護度が決まるため、実際とは異なる場合があります。
要介護2になると、週3回のデイサービスとホームヘルパー、月4日のショートステイ、福祉用具のレンタルとしてベッドや歩行器などが想定されます。
これで区分支給限度額ギリギリです。
サービスごとにある各種加算を殆ど計算していないので、場合によっては超過してしまうこともあるかもしれません。
そうなると、家族や地域の社会資源によって代替出来るものはないか、検討することになるでしょう。
要介護3の場合
要介護3の方のイメージとしては
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある
- 排泄が自分ひとりでできな
- いくつかの認知機能障害がみられることがある
引用及び一部表記訂正:http://www.city.shizuoka.jp/000055497.pdf
※あくまでイメージであり、生活全般の状態から総合的に要介護度が決まるため、実際とは異なる場合があります。
要介護3の場合は、週3回のデイサービス、週3回のホームヘルパー、月8日のショートステイ、福祉用具レンタルとしてベッド・車いす等が考えられます。
デイサービスやショートステイは、要介護度が上がると1回あたりの単価も上がるため、思うように回数を増やせないことも出てくるでしょう。
要介護4の場合
要介護度4の方のイメージとしては
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりではできない
- 排泄がほとんどできない
- 多くの認知機能障害がみられることがある
引用及び一部表記訂正:http://www.city.shizuoka.jp/000055497.pdf
※あくまでイメージであり、生活全般の状態から総合的に要介護度が決まるため、実際とは異なる場合があります。
要介護4になると、家族の負担もかなり増大してきます。
介護者の休息のため、ショートステイの出番が増えてくるでしょう。
福祉用具で車椅子、電動ベッド、床ずれ防止用具や手すりをレンタルし、ショートステイに月10日間行くとすると、デイサービス月13~15日通ってギリギリ基準内に収まるかな…というレベルになります。
この要介護度になると、自宅介護の大変さが増してきます。
通常のデイサービスより単価が安い、認知症対応型通所介護や小規模多機能型居宅介護等、他のサービス利用を検討することもあるでしょう。
また、施設入所も視野に入ってくることかと思います。
要介護5の場合
要介護度5の方のイメージとしては
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作がほとんどできない
- 排泄や食事がほとんどできない
- 多くの認知機能障害がみられることがある
引用及び一部表記訂正:http://www.city.shizuoka.jp/000055497.pdf
※あくまでイメージであり、生活全般の状態から総合的に要介護度が決まるため、実際とは異なる場合があります。
要介護5になると、かなりの重介護が必要な状態となります。
車椅子及びクッション、電動ベッド、エアマット等をレンタルし、月の半分をショートステイ、残り半分をデイサービスという形であればギリギリ単位数に収まります。
まとめ
要介護度毎に利用できるデイサービスの回数を大まかに計算すると、
- 要支援1→月4回
- 要支援2→月8回
- 要介護1→月8回程度
- 要介護2→月12回程度
- 要介護3→月12回程度
- 要介護4→月14回程度
- 要介護5→月14回程度
このようになることが分かりました。
ただし、今回は月28日で計算しましたので、月30~31日で計算すると超過してしまう場合もあります。
一口にデイサービスと言っても、1回あたりの滞在時間や事業所規模の大きさ、デイサービスの種類によっても単価が変わります。
サービスオプションである各種加算も多種多様です。
また、全ての在宅介護者が同様にサービスを組んでいるわけではなく、中にはデイサービスを重視する方、リハビリを重視する方、外出よりも家でヘルパーを利用しながらゆっくり過ごしたいと考えている方など様々です。
全く同じサービス利用計画なんて皆無といった方が正しいでしょう。
あくまでザックリしたイメージとしてとらえていただき、実際に利用を検討する際は必ず綿密に担当のケアマネジャーさんと相談を重ねることを強くお勧めします。