この記事ではデイサービスを利用することができるのはどのような方なのか、また、要介護度別にどの程度の利用が可能なのかということについて解説しています。
介護保険には数多くの介護保険サービスがありますがその中でも高齢者の方に人気となっているのがデイサービス(通所介護)です。
デイサービスとは日中日帰りで介護施設に通うことによって食事・入浴・排泄の介助、機能訓練、レクリエーション等のサービスを受けることが可能になっています。
デイサービスは介護保険サービスですので、利用するためには要介護認定を受けなければなりませんが、要介護認定において判定された要介護度によってデイサービスが利用できたり、利用できなかったりということはあるのでしょうか?また、要介護度別にどの程度の利用が可能になっているのでしょうか?
ここではデイサービスを利用することができるのはどのような方なのか、また、要介護度別にどの程度の利用が可能なのかということについて解説して行きますので、興味のある方は是非ご覧ください。
デイサービスを利用できる対象
デイサービスは「通所介護」とも呼ばれ、日帰りで施設に通うことによって食事・入浴・排泄の介助、機能訓練、レクリエーションというようなサービスを受けることができる介護保険サービスです。
身体機能が低下した高齢者は外出することがおっくうになって自宅に閉じこもりがちになりますが、そのことによる孤独感やストレスを解消することや普段介護を行っている家族の介護による負担を軽減することを目的として提供されます。
このデイサービスですが、介護保険の被保険者であれば誰もが無条件で利用することができるというものではありません。
介護保険サービスを利用するためには大前提として要介護認定において「要介護1~5」又は「要支援1・2」と認定されている必要があります。
ただ、デイサービス(通所介護)を利用することができるのは「要介護1~5」と認定されている方のみであり、「要支援1・2」と判定されている方については地域支援事業に含まれている「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象者として指定を受けているデイサービスを週に1~2回利用することが可能になります。
これまで、「要支援1・2」の方は介護予防通所介護という介護予防サービスを利用することができたのですが、平成27年から介護予防通所介護は「介護予防・日常生活支援総合事業」に順次移行されることになっています。
また、デイサービスを利用するための大前提である要介護認定ですが、介護保険の被保険者の年齢によって受けることができる条件が異なってきます。
65歳以上の第一号被保険者の方は介護が必要になった原因がどのようなものであっても受けることができますが、40歳~64歳までの第二号被保険者の方は介護が必要になった原因が以下に記載する特定疾病によるものであると認められた場合のみとなっています。
このため、第二号被保険者の方は特定疾病以外の病気や交通事故等で介護が必要になった場合には要介護認定をうけることはできません。
[特定疾病一覧]
1.がん(がん末期)
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症
4.後縦靭帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護度別で利用回数をご紹介
先程の項目ではデイサービスを利用することができる対象者について解説してきましたが、要介護認定において決定された要介護度にはそれぞれ支給限度額というものが設けられており、その限度額の範囲内であれば所得に応じて1~3割の自己負担でデイサービスを利用することが可能になっています。
その① 要支援1
要支援1とは、食事・排泄といった日常生活の基本的な動作についてはほぼ全てを自分で行うことができますが、一部については介助が必要とされる状態のことをいい、適切な介護を受けることによって要介護の状態になることを防ぐことができます。
要支援1の支給限度額は月に50,030円となっており、「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所サービスを週1回程度利用することができます。
その② 要支援2
要支援2とは、食事・排泄といった日常生活の基本的な動作についてはほぼ全てを自分で行うことができますが、要支援1の方と比べると歩行や立位保持等の運動機能に低下が見受けられ、介助が必要な状態です。
要支援1と同じように適切な介護を受けることによって要介護の状態になることを防ぐことができます。
要支援2の支給限度額は月に104,730円となっており、「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所サービスを週2回程度利用することができます。
その③ 要介護1
要介護1とは、食事・排泄といった日常生活の基本的な動作についてはほぼ全てを自分で行うことができますが、身の回りの世話、歩行・立位保持などになんらかの介助が必要になり、問題行動や理解力の低下が見られることもある状態です。
要介護1の支給限度額は月に166,920円となっており、この範囲内であれば一例として以下のようなサービスが利用できます。
- デイサービス(週2回)
- 訪問介護(週4回)
- 福祉用具貸与(歩行補助つえ)
その④ 要介護2
要介護2とは、身の回りの世話や歩行・立位保持等だけではなく食事・排泄といった日常生活の基本的な動作についても何らかの介助が必要になることがあり、要介護1よりも理解力が見られる状態です。
要介護2の支給限度額は月に196,160円となっており、この範囲内であれば一例として以下のようなサービスが利用できます。
- デイサービス(週3回)
- 訪問介護(週3回)
- 訪問看護(週1回)
- 福祉用具貸与(歩行器)
その⑤ 要介護3
要介護3とは、身の回りの世話や歩行・立位保持等だけではなく食事・排泄といった日常生活の基本的な動作についても自分自身で行うことが難しくなり、ほぼ全面的な介助が必要になってくるような状態で、全般的な理解力の低下や問題行動がみられることがあります。
要介護3の支給限度額は月に269,310円となっており、この範囲内であれば一例として以下のようなサービスが利用できます。
- デイサービス(週2回)
- 訪問介護(1回2時間を週4回、1回30分を週5回)
- 福祉用具貸与(介護用ベッド、車椅子、マットレス等)
その⑥ 要介護4
要介護4とは、日常生活全般に介助が必要になってくるような状態で、多くの不安行動や更なる理解力の低下が見られます。
また、要介護3と比べると運動機能がさらに低下しているため歩行や立位保持等を自分で行うことができなくなります。
要介護4の支給限度額は月に308,060円となっており、この範囲内であれば一例として以下のようなサービスが利用できます。
- デイサービス(週3回)
- 訪問介護(1回30分の身体介護を週1回)
- 訪問看護(1回1時間半を週2回)
- 福祉用具貸与(介護用ベッド、車椅子、マットレス等)
その⑦ 要介護5
要介護5とは、日常生活のあらゆる場面での介助が必要となり、自分一人では日常死活を送ることができない状態のことをいいます。
要介護状態において最も重い状態であり、全般的な理解力の低下が見られるため意思の疎通が困難となります。
要介護5の支給限度額は月に360,650円となっていますが、要介護5の方は基本的に特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームに入居することがほとんどとなっています。
ただ、要介護5の方を在宅でケアする場合にはデイサービスについては毎日利用することになり、その他にも週2回程度の訪問介護や福祉用具貸与で介護用ベッドやマットレスをレンタルすることになります。
まとめ
ここまでデイサービスを利用することができるのはどのような方なのか、また、要介護度別にどの程度の利用が可能なのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
解説してきたように要介護認定を受けている方についてはデイサービスを受けることが可能になっています。
ただ、「要支援1・2」の方は従来の介護予防通所介護ではなく「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象者として指定を受けたデイサービスを利用することになります。
また、要介護度にはそれぞれ区分支給限度額というものが設定されており、この範囲内であれば自己負担1割(所得に応じて2~3割)でデイサービスを始めとする介護保険サービスを利用することができますが、範囲を超えてしまうと全額自己負担となってしまいますので注意してください。