皆さんの施設では、どのくらいの頻度で行事を行っていますか?また、行事の時はどのようなレクリエーションを行っていますか?
デイサービスはある意味で客商売!楽しい催し物がたくさんあれば、それだけでも口コミでお客さんが増える場合もあります。
しかしその一方で、職員の立場からすれば常に頭を悩ませることでもあります。
マンネリ化は避けたい、でもあまり費用をかけることもできない…。
そこで今回は、お勧めのイベントについてご紹介していきます。
デイサービスでのレクリエーションの必要性
レクリエーションには、専門的に言えば大きく3つの目的があります。
まずは、脳や身体機能の活性化です。
体を動かしたり、頭を使うことで脳が活性化し、認知症予防や進行抑制に効果があると言われています。
また、体を動かすことで身体機能の維持向上にも寄与します。
2つめは、コミュニケーションの促進効果です。
病気をしたり身体に後遺症が残ったりすると、どうしても自宅で過ごすことが多くなってしまいます。
その結果、ひきこもりやうつ状態、認知症の悪化などの症状が発生します。デイサービスに通って他人と交流し、社会との繋がりを再確認することで脳が活性化され、気持ちも軽くなり、これらの症状を防いだり改善したりする効果があるのです。
3つめは、QOL(生活の質)やADL(日常生活動作)を上げる効果です。
生活の質とは、どれだけ人間らしく生きる喜びや楽しみを見出しているかという概念で、介護の世界では特に重要視されている要素です。
レクリエーションを通して心身機能を活性化させることにより、ADL(日常生活動作)だけでなく、生きがいや日々の楽しみといった生活の質の向上を目指していくことができるのです。
イベントで楽しめる出し物
各事業所ごとに毎日アクティビティ活動は行っていると思いますが、今回は例えば毎月1回のお楽しみ行事や季節行事を感じさせる出し物についてご紹介します。どれも準備や練習には時間がかかるかもしれませんが、喜ばれること間違いなし!
餅つき大会
正月だけでなく、毎月のように利用者さんの眼前で餅つきを行い、昼食時に提供している施設もあります。
目の前でいつもの職員が杵を振り、餅を返す姿は迫力満点です!普段とは違う職員の姿に感動することもあるでしょう。
最近の若い人は餅つきを行ったことがなく、杵の重さに尻込みする男性職員もいるでしょう。
そんなときは、ぜひ利用者さんに問いかけてみてください。
指導を請えば、きっと喜んで教えてくれる方がいるはずです。
私も仕事で初めて餅つきを経験し、今や職人と言われるレベルに達しています(笑)。
ただ、杵を振る職員は複数人用意しておいてくださいね。
そうしないと、握力がすべて持っていかれるのでその後の仕事に多大な影響を与えてしまいます(汗)。
あとは、臼と杵を扱っているお店も減ってきているため、買うとすると高価な場合が多いようです。
イベント用具のレンタル業者もあるようなので、そういったところを探してみるのもいいかもしれませんね。
笠回し
パッと見難しそうに感じられますが、実は練習すれば意外といけるものです。
まずはビニールの大きめのボールやプラスチックのボールなどから試してみてはいかがでしょうか。
伝統芸はやはり喜ばれるものです。
2人組の某笠回し芸人さんのようにお揃いの紋付き袴でステージに立つと、それだけで盛り上がるでしょう。
二人羽織
こちらも、年に1度くらい行っています。
普段真面目に仕事に取り組んでいる職員が熱い具に悶絶したり、顔いっぱいにケーキを押し付けられてクリームだらけになっている姿は抱腹絶倒ものですよ。
ただ食べている姿を見せるのではなく、早食い競争をするなどするとさらに盛り上がりますね。
介護員だけでなく、事務員や調理員なども参加すると、普段見られない一面を垣間見えて喜ばれるでしょう。
時代劇
時代劇といえば、高齢者の方々には定番です。
よくあるのが「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」ですよね。
オリジナルの内容で時代劇をやるのもいいのですが、それでは利用者さんたちにはなじみのないものなので朗てしまう場合があります。
そのため、よくあるのは複数のストーリーを混ぜてしまうことです。
これがオールスター的要素で大変盛り上がるんですよね。
大体10分くらいの内容で、職員のなかでも上層部の方に協力してもらい出演してもらうと、効果テキメンですよ。
歌謡ショー
利用者さんたちがよくカラオケで歌う「三波春夫」「北島三郎」「美空ひばり」など。
職員がそれぞれ本人になりきって、歌い上げましょう。よくあるのが「〇〇(施設が所在する地名)の美空ひばり」などの芸名を名乗って登場するパターンですね。
ワイヤレスマイクがあれば、利用者さんに握手して回るなどの演出も楽しいです。
かくいう私も、北島三郎さんに扮して「祭り」を歌ったことがあります。
初めて一人でカラオケボックスに行って練習したのはいい思い出ですね(笑)。
もちろん、仕事のために練習しましたのでカラオケ代は経費で落としてもらいました。
コント
やはりお笑い的要素は喜ばれますね。
なかなか高齢者でもわかる芸人さんのコントというと選択肢は限られてしまうかもしれませんが、youtubeなどで検索してみると、参考になるものが意外とヒットするかもしれません。
これをやる職員さんは、笑いのためにもある程度体を張る覚悟も必要かもしれませんね。
合唱・バンド演奏
老人ホームの中には、クラブ活動のようなものを実施しているところも多いと思います。
行事の際に、そのクラブ活動の発表の成果として合唱やバンド演奏が行われることもあるのではないでしょうか。
私の経験談としては、例えばクリスマス会に発表することを決め、定期的に音楽クラブを開催し、利用者さんからもタンバリンやカスタネットなどを使って一緒に演奏練習を行っています。
職員で結成したバンドと、利用者さんの音楽クラブの演奏のコラボレーションとして毎年発表していました。
大喜利
テレビ番組の笑点でもおなじみの大喜利。色違いの紋付き袴や座布団、紅白幕を用意するなどして、敬老会で行ったことがあります。
準備は題材からその回答内容の準備まで、大変なところはありますが笑いが取れたときの快感は忘れられません。
ポイントは、やはり地域や高齢者に関するネタにどれだけ切り込めるかというところですね。
子供たちとの交流
「赤ちゃんはいるだけでボランティアになる」これは私の恩師の名言です。
最寄りの保育園や小学校にお遊戯発表等を依頼し、訪問してもらうとお年寄りの皆さんは涙を流して喜びます。
子供たちとしても、高齢者施設に慰問することは社会的経験となるために保育・学校機関側としても歓迎してくれるでしょう。
まさに「子は宝」ですね。子供たちと触れ合うことになりますので、企画するのであれば、感染症が流行る時期だけは避けましょう。
踊り
地域に根差した踊りを皆さんで楽しむというのも大変喜ばれます。
例えばご当地もので言えば、花笠音頭や阿波踊り等ですね。
その地域で実施されている踊りを、その季節に合わせて行うとよいでしょう。
地域ごとにそういった踊りのサークルもあると思いますので、協力を依頼して指導してもらい、一緒に披露するのもいいですね。
ぜひ、地域の社会資源は積極的に活用しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?利用者から行事を楽しんでもらえると、こちらまで楽しくなりますよね。努力したかいもあるというものです。
しかし、これらを企画する上で注意しなければならないことがあります。
例えば、
最近流行の芸人のモノマネではありませんか?
最近の流行ネタは流行りすたりのスパンが早いだけでなく、高齢者が最近のお笑い番組を見て芸人のことを知っている保証はありません。また、その芸人のネタ自体についても高齢者が共感できるものは多くないでしょう。
手品を行う際に、前列の方にしか見えないような小さな道具を使った内容ではありませんか?
ただでさえ視野や視力が衰えている高齢者。何をやっているのか分からない、見えないということになると関心を持ってもらえず、盛り上がりに欠けてしまいます。
観客が楽しんでもらえるようなネタを選定しましょう。
職員バンドによる演奏が、最近流行りの曲や洋楽ではありませんか?
高齢者にとって耳馴染みのない曲を演奏しても、結局は何の曲なのか分からず、盛り上がりません。出演者の自己満足で終わってしまう可能性もあります。
これらのポイントについて、ぜひ一度振り返ってみてください。あくまでイベントによる出し物は、介護サービスを利用している高齢者に対するレクリエーション活動の一環であることを忘れてはなりません。
年齢が離れ、価値観や感性の異なる方たちなのです。
どんな出し物をしたらいいか迷っていたら、まずはその利用者さんたちの時代について知ることから始めるのも大切なのかもしれませんね。