デイサービスは日中高齢者の方を預かってくれ、家族の方にとっては介護から解放される時間ができ、介護の負担軽減になります。
しかし、喜んでデイサービスに通ってくれる方ばかりではなく、デイサービスへ通うことを嫌がる方もいます。
この記事では、デイサービスを嫌がる理由と、その対応方法について解説します。
嫌がる理由を観察してみよう!
デイサービスに通うのは要介護状態で身の回りのことに介助が必要な方が多いですが、そのような方も自尊心が失われるわけではありません。
人間ですので、デイサービスの対応などに大して不快に感じることはあります。デイサービスを嫌がる理由は人それぞれです。
デイサービスを嫌がる理由には以下のものが考えられます。
その① デイサービスの職員
デイサービスに通う利用者の方には認知症の方もいれば、身体障害のみで認知機能には全く問題がない方もいます。
認知機能に問題がない方にとっては、デイサービスの職員の対応が幼稚臭く感じられることがあります。
職員も「やってあげている」という感覚がどこかにあると、そんなつもりはなくても利用者の方にとっては、上から目線で物を言われているように感じることもあります。
また、人間同士ですので、「馬が合う、合わない」は必ずあり、利用者の方が職員に対する好き嫌いがあるのも当然です。
また、認知症の方の場合は新しい人を覚えることが難しく、デイサービスの職員や他の利用者の方などの新しい顔に対して拒否を示すこともあります。
知らない場所で知らない人たちに囲まれることに混乱してしまう場合もあります。
その② デイサービスの内容
デイサービスの内容が合わずに拒否をされる方はいます。
私はまだまだ元気で、そんなところに通う必要はないという思いがあり、デイサービスでのレクリエーションを幼稚臭くばかばかしく感じたり、自分には身の回りのサポートは必要ないと思ってしまうのです。
また、周りの利用者の方と馬が合わず人間関係を構築することが難しく、拒否をされる方もいます。
その③ デイサービスの食事
人間にとって食事はとても大切なものです。
デイサービスの食事は高齢者の方が好む味付けやメニューにするように工夫はしていますが、どうしても自宅の食事と味付けが違う、メニューが違うなど、好みに合わない場合もあります。
また、当然好き嫌いもあり、デイサービスの食事が自分の嫌いなものばかりが出てくる場合は嫌になってしまいます。
自分の食べたいものが食べたい時に食べられないため、他人が作る食事には飽きてしまうという方もいます。
その④ デイサービスの入浴
入浴の際には裸になり、介助が必要な方には職員が入浴介助を行います。
異性の職員に入浴介助をされる場合は、恥ずかしく不快な思いをする方もいます。
デイサービスによっては、入浴介助は同性の職員が行うようにしているところもありますが、どうしても職員の人数の関係で異性の職員が入浴介助に入ることもあるでしょう。
また、他の利用者の方と一緒に入浴するのが嫌だと思ったり、認知機能に問題がない利用者の場合は、自分が認知症の方と一緒に入浴することを嫌がったりする場合もあります。
デイサービスによっては、時間帯で利用者の客層を分けて入浴したり、個浴の対応が可能な場合もありますが、これも利用者や職員の人数の関係によって難しい場合もあります。
嫌がる場合の対応方法
デイサービスを嫌がる理由にはいろいろありますが、これらもデイサービスの職員や担当のケアマネージャーに相談することで、解決する場合もあります。
以下にデイサービスを嫌がる場合の対応方法について説明します。
その① デイサービスの職員に相談してみる
デイサービスへ行くことを嫌がる理由はデイサービスの内容や食事、入浴などいろいろありますが、まずはデイサービスの職員に相談してみると良いです。
その方が好きなレクリエーションを行ったり、食事の味付けも好みに近づけたり、入浴は個浴にしたりと対応をしてくれると思います。
人間関係に原因がある場合は、入浴介助や送迎の職員の変更をしたり、苦手な利用者とは別グループにしてもらうなどの対応があります。
また、通う曜日を変更することで、出勤している職員や通う利用者の層も変わり、雰囲気も変わるため、拒否なく通えるようになることもあります。
職員や利用者の方の人数の関係で対応できないこともありますが、大抵のことは対応できるよう努力をしてくれるはずです。
その② 担当のケアマネジャーに相談してみる
まずはデイサービスの職員に相談することが良いですが、直接デイサービスの職員には言いにくかったり、デイサービスでは対応しきれないこともあります。
そんな場合はケアマネージャーに相談してみると良いです。ケアマネージャーに相談すると、利用者の方がデイサービスを嫌がる理由から、対応策を考えてくれます。
通っているデイサービスが本人に合わないならば、それに対応できるデイサービスを探してくれます。
デイサービスによって特徴が違うため、希望に沿えるデイサービスを見つけてくれるでしょう。
例えば、大勢の利用者の方がいるデイサービスの雰囲気自体が嫌な場合、小規模のデイサービスへの変更をすることも良いでしょう。
また、デイサービスへの送り出しの際に拒否が強く困っている場合は、送り出しの時間にヘルパーを入れるという対応策もあります。
家族の言うことは聞かないけれど、ヘルパーの言うことは聞くという人もいます。
その③ 本人に理由を聞いてみる
認知症の方の中には、デイサービスへ行くということが理解できずに、知らない人が迎えに来て、知らないところへ連れて行かれるという、恐怖心を抱くこともあります。
デイサービスを嫌がることを怒らずに、本人に理由を聞いてみると、理由を述べてくれることもあります。
特に認知症の方の場合は徘徊や暴言などの問題行動の方が注視されがちですが、その行動には必ず理由があります。
何が嫌なのか、何を不快に思っているのか、その理由を特定するために本人の言い分にじっくりと耳を傾けることが大切です。
それでも解決できなければ・・・
デイサービスの職員や担当のケアマネージャーに相談しても解決できないこともあります。
そもそもデイサービスなどの人が大勢集まるところが嫌いという人もいます。
そのような場合はデイサービスへ通うことにはこだわらず、訪問系のサービスを利用するという方法もあります。
デイサービスの目的が入浴であれば、その代わりに訪問入浴や訪問介護で自宅での入浴介助のサービスを受ける方法があります。
また、デイサービスの目的がリハビリであるならば、その代わりに訪問リハビリで自宅での機能訓練を受ける方法があります。
まとめ
この記事ではデイサービスを嫌がる理由と、その対応方法について解説しました。以下にこの記事の内容についてまとめます。
- デイサービスを嫌がる理由には、デイサービスの職員、食事、入浴などさまざまな理由があります。
- デイサービスを嫌がる場合、デイサービスの職員や担当のケアマネージャーに相談すると、本人の希望に沿う内容に変更してくれたり、違うデイサービスを探してくれるなど、対応をしてくれます。怒らずに本人に理由を聞くことも大切です。
- それでも解決しない場合は、デイサービスにこだわらず、訪問系のサービスを利用するという方法もあります。
高齢者の方がデイサービスを拒否するケースは多々あります。ここで大事なのは、まずは家族の声掛けです。
「みんなお父さん(お母さん)のことを待ってるよ」など、その人が周りに必要とされているということを伝えてあげると良いでしょう。
本人が行ってもいいかなという思いにさせることが大切です。
また、嫌がる理由がはっきりしている場合には、対応できるケースがほとんどであるため、無理に我慢して通わせるのではなく、通っているデイサービスに対応してもらったり、違うデイサービスへ変わることも早めに考え、本人が楽しんで通えるような環境を作ってあげましょう。