継続して続けていくことにより、激しい運動でなくとも身体機能の維持や向上が期待できます。
今回は毎日のレクリエーションで使える、効果的な体操を紹介していきます。
体操をどのように行えばよいかわからないという、高齢者デイケアの職員や身の回りに高齢者がいる方の参考になれば幸いです。
体操が高齢者に与える効果
高齢者デイケアで使える体操を紹介するにあたり、まずは体操をすることによって得られる効果から確認していきましょう。
その① 身体機能の維持と向上をさせてくれる
第一に身体機能の維持と向上が挙げられます。
高齢者の方は加齢による筋力や体力の低下により、身体機能が衰えていきます。
また身体機能の低下が進行すると外出の機会が少なくなり、日常生活に様々な影響を及ぼします。
そこで身体機能の維持と向上を日頃から行う必要があるのです。
高齢者デイケアで体操を行えば、日常生活で運動から遠ざかっている方でも効果的な運動が行えます。
その② 運動習慣を身に着けてくれる
2つ目は運動習慣の定着につながることです。
体操をはじめとした運動は、継続して行わなければ効果が現われません。
高齢者デイケアを利用は一週間に何回という定期的なものでしょうから、高齢者デイケアで体操を行うことにより必然的に定期的な運動を行うことになり、運動習慣を身に着けることができます。
その③ 仲間と一緒に運動する楽しみを実感できる
3つ目は仲間と一緒に運動する楽しみを実感できることです。
運動を行うときに1人だとモチベーションが上がらず、継続して運動を行うことが難しい場合があります。
しかし高齢者デイケアで体操を行えば、他の利用者と一緒に運動することになり、モチベーションの維持につながります。
また高齢者デイケアで体操を行うことにより、1人ではなく他の利用者と運動を行え、他社との交流も増えることでしょう。
安全に配慮した体操を行うために必要なことは?
身体機能が低下していく高齢者の運動には、転倒による骨折などのケガのリスクが存在します。
また体調がよくても運動を行うと血圧や脈拍が上がり、特に息を止めて運動を行うと血圧が急上昇し、心臓発作などの循環器系に障害が発生する可能性が高まります。
これらのリスクに注意し、体操を行う必要があります。
まずはケガのリスクに備えて、立ち上がって体操を行うのではなく、椅子に腰かけて行うようにしましょう。
椅子に深く腰かけ、背筋を可能な限り伸ばします。
もしその状態で床に足裏が付いていないのであれば、足裏が床につくまで体を前にずらしましょう。
また体操は痛みのない範囲で、急がずにゆっくり行いましょう。
ゆっくり体操を行うと関節への負担が少なくなるだけでなく、筋肉などへの負担が多くなるため、より効果的な運動が行えるでしょう。
次に心臓発作などの循環器系の障害に関しては、声を出して運動を行えばリスクの軽減を行えます。
声を出すことにより自然と呼吸が行えますので、血圧の急上昇を防ぐことができるためです。
体操を行う前に利用者に今まで紹介してきた、体操を安全に行うためのポイントを周知したいところです。
高齢者デイケアおすすめ体操10選!
それでは高齢者デイケアでおすすめの体操を紹介していきます。
先ほど紹介したように体操を行うにあたり安全配慮し、椅子に腰かけて行うようにしましょう。
その① 深呼吸
おへそに両手を当てて、お腹のふくらみとへこみを意識して、大きく深呼吸を行いましょう。
回数は10回を目安とするとよいです。
お腹のふくらみとへこみを意識することにより、腹式呼吸を意識的に行うことができ、腹筋が鍛えられます。
腹筋が鍛えられると、立ち座りの姿勢を安定化につながります。
その② 首の運動
前→後→右→左の順に首を倒します。
その後、首を右へ向けたあと、左へ向けます。
一連の首の運動を1セットとし、10セットを目安に行いましょう。
首の柔軟性を保つことで、肩こり防止や嚥下、咀嚼機能の活性化が期待できます。
その③ 体幹のストレッチ
胸を丸めた後、体を後方へ反る動きを5秒ずつ、計10秒行います。
10回を目安に体感のストレッチを行うようにしましょう。
体感のストレッチを行うことにより、胸の柔軟性が高められ、背中が丸くなる円背(えんぱい)の予防につながります。
その④ 腰のストレッチ
できるだけ体を前に倒し、その姿勢を6秒間続けます。
体を前に倒すときには椅子からの転落に注意し、10回を目安に行います。
腰のストレッチでは腰の柔軟性が向上し、靴や靴下の脱ぎはきがスムーズに行えるよう期待できます。
その⑤ 上半身のひねり運動
後ろを向くように、体を左右にひねりましょう。
左右、ともに10回を目安に行います。
上半身のひねり運動を行うと、バランス感覚の向上や腰痛の予防につながります。
その⑥ 脇腹のストレッチ
両手、両足を開き、体を左右に大きく開く姿勢を10秒間、継続します。
6回を目安に行いましょう。
脇腹のストレッチをすることで、脇腹の柔軟性が高められ、深呼吸がしやすくなります。
その⑦ 太もものストレッチ
つま先を天井に向け、膝を10秒間押し続けましょう。
左右10回ずつ行い、左右どちらの足からはじめても問題ありません。
太もものストレッチでは、太ももの裏にある筋肉の柔軟性が高まる効果があります。
結果として姿勢改善や腰痛予防が期待できます。
その⑧ 内もものストレッチ
ストレッチしたい方の足を大きく開き、開いた足を10秒間のばします。
太もものストレッチと同じように左右、どちらの足からはじめても問題ありません。
左右10回を目安に行いましょう。
内もものストレッチでは内ももの裏にある筋肉の柔軟性が高められ、足のむくみが改善される可能性があります。
また内もものストレッチでは、太ももの裏側の筋肉の柔軟性を高めることができます。
その⑨ 足首のストレッチ
足首を立て、ゆっくり回しましょう。
行う回数は左右10回が目安です。
足首のストレッチを行うことにより、腰の負担軽減やバランス能力の維持が期待できます。
その⑩ クールダウン
その場で足踏みを30回行いましょう。
手足全体を動かすことにより、太ももや体幹、腕のクールダウンが期待できます。
運動習慣がない高齢者が体操を行う時には、運動の最後にクールダウンの機会を設けましょう。
まとめ
体操が高齢者に与える効果や、おすすめの体操を紹介してきました。
日常的に運動の機会が少ない高齢者でも、デイケアで体操を行うことにより、継続的な運動が行えることをおかわりいただけたのではないでしょうか。
高齢者デイケアで使える元気にさせる体操をまとめると
- 高齢者デイケアでの体操では身体機能の維持と向上、運動習慣の定着、そして仲間と一緒に運動する楽しみを実感できる。
- 高齢者デイケアで体操を行うときには、転倒やケガ、心臓発作など循環器系の障害に十分な配慮をする。
- 運動の機会が少ない高齢者が体操を終えるときには、クールダウンを行う。
ということがあります。
特別な機具や専門的な知識がなくとも、高齢者デイケアで体操が行えます。
日々の業務や人員配置の関係から、定期的な体操を行えないという高齢者デイケア職員もいることでしょう。
しかし先ほど紹介したように、体操をはじめとした運動は継続的に行うことが必要となるため、可能な限り体操の機会を設けるようにしましょう。