この記事ではデイケアは重度の認知症患者であっても利用することはできるのか、また、どのような対応を行ってくれるのかということについて解説しています。
在宅での介護を行っている方の強い味方となるものにデイケアというものがあります。
このデイケアは自宅で生活を送っている要介護者が、できる限り自立した生活を送ることができるように支援するサービスとなっており、対象者はデイケアを提供している施設に通ってサービスを受けることになっています。
では、このデイケアは重度の認知症患者であっても利用することはできるのでしょうか?
ここではデイケアは重度の認知症患者であっても利用することはできるのか、また、どのような対応を行ってくれるのかということについて解説していきますので、重度の認知症患者を在宅で介護しており、デイケアを利用したいと考えている方などは是非この記事をご覧ください。
デイケアの目的と対象となる人
デイケアとは介護保険において通所リハビリテーションといい、病院・診療所・介護老人保健施設に通ってサービスの提供を受けることができるもので、利用者の身体機能の維持・回復、日常生活の回復、認知機能の改善を目的として提供されます。
デイケアでは、主治医の指示に基づいて理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が利用者に合わせたリハビリメニューを提供してくれます。
このデイケアを介護保険によって利用するためには、要介護認定において「要介護1~5」と認定されている必要があります。
このため、特定疾病が原因で介護が必要になったと認められなかった第二号被保険者の方や介護保険に加入することができない39歳以下の方は介護保険を利用してデイケアを利用することはできません。
また、医療保険においてもデイケアは利用可能になっており、医療保険で利用することができるデイケアには「精神科デイケア」と「重度認知症患者デイケア」の2種類があります。
この2つは医療保険が適用されるため、利用にあたっては要介護認定を受ける必要はなく、39歳以下の方も利用することができます。
デイケアは重度認知症でも利用できる?
先程の項目ではデイケアの目的や対象となる方について解説しましたが、このデイケアは重度認知症の方も利用することができます。
重度認知症の方が利用することができるデイケアには医療保険の適用となる「重度認知症患者デイケア」がある他、介護保険のデイケアを利用することも可能になっています。
ちなみに、重度認知症患者デイケアとは、認知症患者の方のリハビリテーションを目的としている精神科医療のデイケアであり、利用者に対して安心することができる場を提供する他、リハビリ等を通して認知症に関する症状の軽減を目指してくれます。
重度認知症の人がデイケアを拒否した場合
認知症の方に多い症状として、介護を行おうとしても嫌がったり、言うことを聞いてくれなかったりという「介護拒否」というものがあります。
ここでは重度認知症の方がデイケアの利用を拒否した場合の対応について解説していきます。
その① とりあえずその日はやめる
認知症の方に対して本人がやりたくないと言っていることを強制することは絶対にしてはいけません。
そのため、デイケアに行くこと拒否している場合には、とりあえずその日はデイケアの利用をやめてみるのも一つの手です。
無理にデイケアに生かせようとしてしまうと、さらに相手をかたくなにしてしまい、場合によってはものを投げられたりする場合もありますので注意が必要です。
その② 担当ケアマネージャーさんに相談してみる
担当のケアマネージャーに相談するということも重要になってきます。
認知症の方がデイケアを拒否する理由には、デイケアの職員が自分と合っていなかったり、他の利用者と合わないということが挙げられます。
このため、このような理由でデイケアの利用を拒否している場合にはケアマネージャーと相談しながら、施設側に担当の職員の変更をお願いしたり、苦手な利用者とはなるべく交わらないように別グループにしてもらうなどの対応をお願いしましょう。
また、大勢の利用者がいる環境が嫌だという場合には、利用するデイケアの変更も検討する必要があります。
その③ 家族が同行してみる
初めてデイケアを利用する場合にはやはり心細くなるものであり、1人で通うことへの抵抗から利用を拒否することもあります。
このような場合には家族が同行してみるのもいいでしょう。家族がいることによって施設に対して馴染むスピードが速くなる場合もあります。
ただ、施設によっては家族の動向を断られる場合もありますので、同行する場合には必ず施設側に許可をもらうようにしましょう。
デイケアでは重度認知症の人にどう対応してくれる?
最後に重度認知症の方がデイケアを利用する場合、施設側はどのような対応をしてくれるのかということについて解説していきます。
その① 基本的に無理強いはしない
認知症患者の方には無理強いは厳禁です。
このため、デイケアでは利用者により添って、利用者の意思を尊重した対応を行ってくれます。
本人の意思を尊重することによって認知症の方も「自分のことを大切にしてくれている」と感じるため、友好的な関係を築きやすくなります。
その② 見守り体制の強化をしてくれる
認知所の方は徘徊などの恐れがあるため、通常の利用者の偏りも見守り体勢を強化して対応してくれます。
見守る場所から離れるという場合には、次に見守りを行う職員に対して「この場を離れること」や「今までの見守り内容」についての報告を行い、見守りを行う職員で利用者の情報を共有します。
その③ レクリエーションなどを通して活動性を高めてくれる
デイケアではレクリエーションやゲームを通したリハビリも行われます。
単なる機能訓練などでは認知症の方は自分の無力さを感じることもあり、それによって自身を失ってしまうこともありますが、レクリエーションであれば遊び感覚で気軽に行うことができますので、新しい楽しみを見つけることができ、活動性を高めることもできます。
その④ 精神的な安定を図ってくれる
重度認知症患者デイケアでは精神科医を始めとする医療専門スタッフが利用者に合わせたリハビリや介護などを提供してくれます。
これによって重度の認知症患者であっても更なる症状の進行を予防することができ、介護拒否や不穏・興奮といった認知症の周辺症状を緩和するとともに精神的な安定を図ることが可能になります。
また、認知症患者本人や介護を行っている家族がよりよい暮らしを送ることができるように、医療機関等と連携して在宅ケアサポートなども行ってくれます。
まとめ
ここまでデイケアは重度の認知症患者であっても利用することはできるのか、また、どのような対応を行ってくれるのかということについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
解説してきたように、重度の認知症の方であってもデイケアは利用することが可能になっています。
認知症の方の中にはデイケアの利用を拒否される方もいますが、決して利用を無理強いすることなく、何が原因で利用を拒否しているのかを理解するためにも施設側やケアマネージャーとの連携を行うようにしてください。
また、医療保険の適用となる重度認知症患者デイケアとは違って、介護保険が適用されるデイケアの場合には大前提として要介護認定を受けている必要がありますので、利用を検討する場合には早め早めの行動が必要になってきます。