この記事ではデイケアの意味とは一体何なのか、また、介護保険と医療保険を利用したデイケアについても解説しています。
介護保険には様々な介護保険サービスがあり、その中でも多くの方が利用しているのがデイケア(通所リハビリテーション)ですが、皆さんはデイケアがどのような意味を持っているのかご存知でしょうか?
サービスを利用している方などであればどのような意味があるのかを理解した上でサービスの提供を受けている場合が多いかと思いますが、あまり詳しくは知らないという方もいるのではないかと思います。
また、このデイケアですが、介護保険だけではなく医療保険においても利用することが可能になっているのですが、介護保険と医療保険ではどのような違いがあるのでしょうか?
ここではデイケアの意味とは一体何なのか、また、介護保険と医療保険を利用したデイケアについても解説していきますので、デイケアについて詳しく知りたいという方は是非この記事をご覧ください。
デイケアの意味とは
冒頭でも触れましたが、デイケアとは正式には通所リハビリテーションといい、病院・診療所・介護老人保健施設に通うことによってサービスの提供を受けることができます。
主治医の指示に基づいて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が日常生活動作のリハビリ・身体機能のリハビリ等を提供してくれ、最終的には日常生活をできる限り自分で行うことができるようになることを目的としています。
このデイケアですが、日中施設に通うことによってサービスの提供を受けるものであるため、普段介護を行っている家族の介護による負担を軽減するという意味も持っています。
介護保険におけるデイケアとは
介護保険におけるデイケアとは、介護保険を利用して行うことができるデイケアですが以下のような内容となっています。
その① 対象となる人について
介護保険を利用したデイケアの対象となるには大前提として要介護認定において「要介護1~5」と認定されている必要があります。
この要介護認定ですが、65歳以上の第一号被保険者であれば介護が必要になった原因がどのようなものであっても受けることができますが、40歳~64歳までの第二号被保険者の場合は介護が必要になった原因が特定疾病(以下記載)であると認められなければ受けることができません。
このため、第二号被保険者の方は特定疾病以外の病気や交通事故等で介護が必要になったとしても要介護認定を受けることはできませんし、そもそも40歳未満であるという方は介護保険に加入することができませんので要介護認定を受けることもできません。
[特定疾病一覧]
- がん(がん末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
また、デイケアを利用するためには医師からの指示書が必要になりますので、利用するためには主治医からデイケアが必要であるとの診断を受ける必要があります。
その② サービスの内容
介護保険のデイケアでは主治医の指示に基づいて理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が利用者に合わせたリハビリメニューを提供してくれます。
基本的にデイケアによって提供されるリハビリは日常生活全般の機能維持を目指したものとなっています。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
運動療法(立つ・座る・歩く等)を中心に利用者が日常生活を送る上で重要となる基本動作を行う機能の維持・回復を図ります。
作業動作を通して身体機能の回復や社会に適応する能力の維持・回復を図ります。
話す・発音する・聞くといったコミュニケーションに関する訓練を行う他、嚥下機能の回復を図ります。
その③ 利用料金の目安
介護保険においてデイケアを利用した際にかかってくる料金ですが、以下のようにサービスの提供を受けた時間によって基本料金が変わってきます。
また、提供を受けたサービスの内容等によって加算料金が発生する場合があります。
医療保険におけるデイケアについて
先程の項目では介護保険におけるデイケアについて解説してきましたが、ここでは医療保険におけるデイケアについて解説していきます。
医療保険を利用したデイケアには精神科デイケアや重度認知症デイケアといった種類のデイケアがあります。
その① 対象となる人について
医療保険を利用したデイケアですが医療保険が適用されますので、介護保険が適用されるデイケアのように要介護認定を受けていなくても利用することができます。
このため、40歳~64歳の第二号被保険者で特定疾病が原因で介護が必要になったと認められず要介護認定を受けることができない方や39歳以下の介護保険に加入していない方でも利用することが可能になっています。
その② サービスの内容
医療デイケアは認知症等の精神疾患を持っている方を対象としており、食事・入浴等の介助、日常生活機能訓練、リハビリテーション等のサービスを受けることができ、生活機能の維持・改善や認知機能の進行予防を目的としたプログラムを提供してくれます。
その③ 利用料金の目安
医療保険を利用した精神科デイケアと重度認知症デイケアを利用した場合の料金の目安は以下のようになります。
精神科デイケアの利用料
1割負担の方:1日820円
3割負担の方:1日2,470円
重度認知症デイケアの利用料
1割負担の方:1日1,160円
3割負担の方:1日3,490円
デイケアは通院治療の1つであるため基本的に3割負担でのサービス利用となりますが、自立支援医療の申請を行っている方については1割負担で利用することができます。
『介護保険のデイケア』と『医療保険のデイケア』の併用は可能?
ここまで介護保険のデイケアと医療保険のデイケアについて解説してきましたが、これらを併用することはできるのかと思われる方もいるでしょうが、基本的に併用はできません。
医療保険における精神科デイケアを算定している患者は、当該精神科デイケアを反復して行うことが望ましいとされるため、患者が介護保険の要介護被保険者であったとしても精神科デイケアを行っている期間内には介護保険において通所リハビリテーション費(デイケア)を算定することはできないとされています。
まとめ
ここまでデイケアの意味とは一体何なのか、また、介護保険と医療保険を利用したデイケアについても解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
デイケアは利用者の身体機能の維持回復、日常生活の回復、認知機能の改善等を目的として行われており、介護保険だけではなく医療保険においても利用することが可能になっています。
介護保険のデイケアは利用するにあたって要介護認定を受けることが必要になっているのに対して、医療保険のデイケアは要介護認定を受けていない方でも利用することができるようになっています。
ただ、これらのデイケアを併用することは基本的にはできませんので、この点に関しては理解しておくようにしてください。