高齢者の方が大好き(?)な言葉。そのうちの一つに「リハビリ」がありますよね。
私も介護施設で働いていて、利用者さんにお手伝いをお願いするときに「これもリハビリになるから…」と言ってお願いすることがよくあります。
普段何気なく行っている生活動作でも、要介護状態になっている方からすれば全てがリハビリと言っても過言ではありません。
祖父が存命だったころ、よく「リハビリ行ってくるね」と迎えのバスに喜んで乗って出かけて行ったことをよく思い出します。
そのときの祖父の笑顔は、とても活き活きとしていました。
そんな祖父が通っていたのは、デイケアという介護保険のサービス。
デイサービスとは違い、医療行為であり専門的なリハビリテーションを受けることができます。
今回は、そんなデイケアの魅力について紐解いていきましょう。
デイケアの概要について
デイケアとは、介護保険法上の居宅サービスに分類されているサービスで、正式名称を「通所リハビリテーション」と言います。
医師の指示の基づき、施設に通ってリハビリテーションを受けたり、アクティビティ活動を通じた作業療法、入浴や食事などの介護サービスを受けたりできるサービスです。
利用者さん同士の交流も活発で友人関係が出来やすく、友人との交流を目的に通所する方も少なくありません。
デイケアが目指すもの
デイケアを利用する一番の目的は、何と言ってもリハビリテーションです。
そもそもリハビリテーションとは、「単なる機能回復訓練ではなく、心身に障害を持つ人々の全人間的復権を理念として、潜在する能力を最大限に発揮させ、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にし、その自立を促すものである」とされています(2004年 厚生労働省「高齢者リハビリテーション研究会」より)。
単に物理的な機能回復訓練を行うだけでなく、“残存機能を維持する”という考え方を超えて、潜在する能力を最大限発揮させるための総合的な生活訓練なのです。
つまりデイケアが目指していることとは、利用者の社会参加と自立支援をリハビリテーションによって促し、可能な限り住み慣れた地域で、自宅で暮らすことができるように支援するということになります。
デイケアで活躍する人たち
まずデイケアには、医師の配置が義務付けられています。
これはリハビリテーションという名の医療行為を提供する施設ならではのことです。
身体に過度な負担をかけることのないよう、またいざという時も安心してサービスを利用することができます。
続いてメインのスタッフとなっているのは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の各種リハビリの専門家と介護職員です。
リハビリ専門職が提供する訓練と、介護職員による入浴や食事などのケアを受けることができます。
もちろん、介護職員についてもただ身体介護を行っているわけではありません。
理学療法士等からリハビリについて指導を受けていますので、機能訓練的視点をもって提供されています。
デイケアでの過ごし方
一般的なデイケアでの日課は下記のような形になっています。
※サービス提供時間 9:30~16:00の場合
デイケアの3つの役割
デイケアには、先にご紹介した目的を達成するために、大きく3つの役割を担っています。
主に機能回復、閉じこもり防止や仲間づくり、介護負担軽減がそれにあたります。
とにかくリハビリで心身ともに元気で!
まずは機能回復について。デイケアに到着すると、まずは必ず健康チェックを行います。体調が整っていないと、リハビリを受けても十分な効果を得ることができません。
それどころか、体に悪影響を及ぼしてしまうことにもなります。
持病がある方であれば、医師がいる施設で通所するたびに健康状態を確認してもらうだけでもありがたいサービスと言えるでしょう。
デイケアでのリハビリは、急性期→回復期→生活期(維持期)のなかでも主に生活期のリハビリが担当領域になります。筋力トレーニングや関節可動域訓練だけでなく、生活上必要な日常生活動作の訓練を受けることもできます。
自宅の中のような環境の訓練設備が整っていて、より実践的なリハビリを受けることができるのです。
また、身体的なリハビリだけではなく、レクリエーションや書道や俳句、麻雀などの各種クラブ活動を通じて昔楽しんだ趣味を再び楽しんだり、友人関係を築いていくことによって社会的リハビリテーションを目指すこともできるんです。
仲間作りでリフレッシュ!
次に閉じこもり防止や仲間作りについて。高齢になると徐々に外出の機会が減っていき、閉じこもりがちになってしまうために生活不活発病に陥りがちです。
リハビリという大きな目的のために定期的に外出することにより、生活リズムが整います。
デイケアは、皆さんリハビリが目的です。
つまり、生活向上意欲が高い方々が多いということです。
同じ目的をもって通う仲間ともあれば、仲良くなるのは当然ですよね。
施設としても、通所の動機づけとして新たな人間関係の構築にも力を入れています。
お互い笑いあったり、励まし合ったりすることによって気分も晴れ、お互い頑張ることができるという相乗効果も生まれます。
デイケアに通うこと自体が、精神的なリフレッシュにもつながっていると言えますよね。
家族の介護負担の軽減を
最後に、家族の介護負担軽減について。
デイケアに通うことによって、2つの面で家族の介護負担を軽減することができます。
施設に通っている間は、家族は他の家事をしたり、自分の時間を有効に活用したりすることができますよね。
もう一つは、リハビリの効果による介護負担の軽減です。
例えば今までは立位が保てなくてオムツを使っていた方がいるとします。
リハビリの効果によって短時間でも立位を保つことができるようになれば、トイレでの排泄ができるようになる可能性があります。
また、例えオムツでも関節拘縮が改善されれば、オムツ交換時の介護者の負担感が大幅に軽減するのです。
今まで常に脇に寄り添って歩行を見守っていた我が家の祖父も、デイケアに通うことで自宅内であれば見守りなしで歩けるようになりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
デイケアは、これら3つの役割が複合的に絡み合って相乗効果を生むことにより、利用者の生活の質を高めることができるサービスなのです。
現在、デイサービスでも多様なサービス形態が増えることにより、リハビリ特化型と謳っている事業所もあり、素人目には分からない差しかなかったり、混同されて誤解の原因とさえなっています。
もう一度、サービス内容の整理が必要なのかもしれません。
何度も繰り返しになりますが、リハビリテーションとは医療行為であり、その専門的な訓練を受けることができるのがデイケアなのです。ぜひ、有効活用していきたいですね。