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介護保険の負担限度額認定の要件について!恩給や労災の受給は関係ある?

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介護保険の負担限度額認定の要件について!恩給や労災の受給は関係ある?

この記事では介護保険における負担限度額認定制度の判定要件はどのようになっているのか、また、恩給や労災の受給は判定要件に関係してくるのかということについても解説しています。

介護保険には介護保険施設を利用した際に支払う食費や住居費を軽減することができる負担限度額認定という制度があります。

ただ、この制度は所得が低い方や預貯金が低い方などを対象としているため誰でも利用することができるという制度ではなく、制度を利用するためには定められた判定要件を満たしている必要があります。

では、負担限度額認定制度の判定要件はどのようになっているのでしょうか?

ここでは介護保険における負担限度額認定制度の判定要件はどのようになっているのか、また、恩給や労災の受給は判定要件に関係してくるのかということについても解説していきますので、負担限度額認定制度を利用したいと考えている方は是非この記事を参考にしてみてください。

介護保険の負担限度額認定の概要

介護保険の負担限度額認定の概要

介護保険施設を利用すると介護サービスにかかってくる介護保険の自己負担分1割(所得に応じて2~3割)以外に食費や住居費を自己負担する必要が出てきますが、所得が低い方などはこれらの出費が重くのしかかってくると思います。

そのような方を対象としているのが介護保険における負担限度額認定制度です。

この負担限度額認定制度とは、介護保険施設に入所する際にかかってくる食費や住居費を軽減することができる制度ですが、冒頭でも触れたように所得が低いからといって誰でも利用することができるというわけではありません。

軽減を受けることができるのは所得が低い中でも定められている判定要件を満たしている方のみとなります。

介護保険の負担限度額認定の要件について

介護保険の負担限度額認定の要件について

負担限度額認定制度を利用するためには名前の通り認定を受ける必要がありますが、認定を受けるためには認定のための要件を全て満たしている必要があります。

その① 配偶者がいない場合

配偶者がいない方の場合は、以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 世帯全員が住民税非課税である(世帯分離を行っている配偶者を含む)
  2. 利用者本人の預貯金等の合計金額が1,000万円以下である

その② 配偶者がいる場合

配偶者がいる場合は、以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 世帯全員が住民税非課税である(世帯分離を行っている配偶者を含む)
  2. 利用者本人とその配偶者の預貯金等の合計金額が2,000万円以下である

判定要件について

判定要件について

先程の項目では配偶者がいる場合と配偶者がいない場合の要件について解説してきましたが、一般的に①が所得要件、②が預貯金等の要件といわれており、いずれの要件も満たしていないと負担限度額認定制度を利用することはできません。

所得要件についてはわかりやすいかと思いますが、預貯金等の要件の「預貯金等」とは一体何を指すのかと思われる方も多いでしょう。預貯金等とは以下のもののことを指します。

  • 預貯金(普通預金、定期預金)
  • 有価証券(株式、社債、国債、地方債等)
  • 投資信託
  • 金や銀といった購入先の口座残高によって容易に直評価額を把握することができる貴金属
  • タンス預金
  • 負債(ローンなどの負債は借用書や残高証明書等の確認書類を申請時に提出することによって預貯金等から差し引くことができる)

2つの要件を満たしている場合には負担限度額の認定を受けることができますが、軽減されることになる食費や住居費の軽減額は利用者の所得状況によって決定される「利用者負担段階」というものによって決められます。

この利用者負担段階は以下のように4つに分かれており、老齢年金等の課税年金収入の他に、遺族年金や障害年金といった非課税年金収入も含めて判定が行われます。

第1段階:生活保護を受給されている方、老齢福祉年金の受給者で世帯全員が住民税を課税されていない方

第2段階:世帯全員が住民税非課税で、本人の課税年金収入額、合計所得金額、非課税年金収入額の合計金額が年間80万円以下である方

第3段階:世帯全員が住民税非課税で、本人の課税年金収入額、合計所得金額、非課税年金収入額の合計金額が年間80万円を超える方

第4段階:第1段階~第3段階までに該当しない方

また、段階による軽減額は以下のようになっています。

gg0445 表1

判定要件に該当しない年金等の収入

判定要件に該当しない年金等の収入

先程の項目では食費・住居費の軽減額が決定される利用者負担段階は課税年金収入だけではなく非課税年金収入も含めて判定が行われると解説しましたが、以下で紹介するものについては非課税年金収入に含まれず、遺族や障害といった単語が付いた名称であったとしても判定の対象とはなりません。

その① 労災

労災とは労災保険によって支給される労災年金のことを指します。

労災保険では、労働者が業務災害や通勤災害によって負傷してしまったり、病気にかかって長期間にわたって直らないという場合には傷病年金が、傷病が治ったという場合であっても後遺症等で身体に重い障害が残ってしまった場合には障害年金が支給されます。

また、負傷や病気が原因で労働者が亡くなってしまった場合には、その遺族に対して遺族年金が支給される他、ボーナス特別支給金や特別支給金の支給も行われます。

その② 恩給

恩給とは好悪無院に対して支払われるもので、相当年限に渡り忠実に勤務を行って退職した場合、公務が原因で病気や怪我になった場合、公務が原因で死亡した場合において国が公務員の使用者として年金給付を行うという制度であり、国家補償の性格を有しています。

その③ 戦傷病者

戦傷病者に対しては戦傷病者戦没者遺族等援護法という法律に基づいて、障害者本人には障害年金を、死亡してしまった方にはその遺族に対して遺族年金・遺族給与金及び弔慰金の支給が行われます。

この法律は昭和27年4月に制定され、国と雇用関係又は雇用類似の関係にあった軍人軍属と準軍属又その遺族を支給の対象者としています。

その④ 弔慰金

弔慰金とは、なくなった方が元々勤めていた会社から遺族に対して功労の意味を込めて送るお金のことをいいます。

このため、弔慰金とは会社からの感謝だけではなく、遺族がこれまで通りの生活を送ることができるようにするための補助という意味合いも含まれているお金となります。

その⑤ 給付金

給付金には様々なものがありますが、遺族給付金や障害給付金は非課税年金収入には含まれません。

遺族給付金とは、厚生年金基金・確定給付企業年金において加入者や受給する資格を有している方が死亡した場合に遺族に対して支給される年金又は一時金のことを指します。

厚生年金基金においては遺族給付金の支給は一時金のみであり、年金については一時金の年賦払いとして支給するものとされています。

障害年金とは、厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出年金において加入者や加入者であった者が規約において定められている障害の状態に該当している場合に、本人に対して支給される年金又は一時金のことを指します。

規約において定められている障害の状態とは、障害厚生年金の障害給付等の範囲内のことです。

まとめ

まとめ

ここまで介護保険における負担限度額認定制度の判定要件はどのようになっているのか、また、恩給や労災の受給は判定要件に関係してくるのかということについても解説してきましたがいかがでしたでしょうか?

介護保険には介護保険施設を利用する際にかかってくる食費・住居費を軽減するための負担限度額認定制度というものが設けられています。

この負担限度額認定制度を利用することによって介護保険施設を利用する際にかかってくる費用を軽減することができるため、所得の低い方にとっては非常にありがたい制度となっています。

また、負担限度額認定制度には利用者負担段階というものがあり、段階によって軽減額が異なることになっていますが、この負担段階の判定には労災・恩給や遺族給付金・障害給付等は含まれませんので、これらの非課税年金収入があるという方であっても問題ありません。

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