介護老人保健施設は要介護高齢者のために、医療ケアやリハビリなどのサービスを行う介護保険施設です。
この施設は、在宅復帰を目的としている施設であるため、終身利用や入所期間などには制約があります。
この記事では、この介護老人保健施設の制約等について詳しく解説します。
介護老人保健施設の目的
介護老人保健施設とは、病気などで入院したあとに、自宅での生活が難しくなった要介護高齢者に対して、看護や介護、医療ケア、リハビリ、日常生活上のサポート等を提供する介護保険施設です。
病気や怪我などで病院に入院しても、入院日数が決まっていて退院を勧められることもあり、まだ今の状態で退院して自宅での生活を行うには不安という場合があります。
そのような場合に、病院から直接自宅に帰るのではなく、介護老人保健施設に一度入所して、リハビリなどを継続して、万全の状態で自宅に帰ることができます。
介護老人保健施設は在宅復帰することを目的としている施設で、病院と自宅の中間的な意味合いを持っています。
介護老人保健施設は他の特別養護老人ホームなどに比べて、医療ケアやリハビリが充実しているのが特徴です。
医師、看護師の配置が義務付けられており、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職も常駐しています。介護老人保健施設では、入所者100人に対して1人以上の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士の配置が義務付けられており、入所者ひとりひとりの状況に合った専門的なリハビリを受けることができることができます。
介護老人保健施設は在宅復帰することが目的の施設であるため、長期入所はできず、入所期間は原則的に3ヶ月までと定められています。
対象者は要介護1の方から利用することができ、受け入れの幅としては広く取られています。
介護老人保健施設は終身介護ではない
特別養護老人ホームは最期まで看てもらうことができる、終身介護を行っている介護保健施設です。
一方で、介護老人保健施設は在宅復帰を目的とする施設のため、原則として終身介護ではなく、長期入所はできません。
入所者の状況によっては、延長も可能ですが、入所期間は原則3ヶ月と定められており、終身利用はできないこととなっています。
その① カンファレンスによって期間が検討される
介護老人保健施設では、3ヶ月ごとにケアプランの評価を行い、ご利用者・ご家族にも参加して頂き、カンファレンスにて新たなプランについての検討・承認をして頂きます。
また、在宅復帰に向けての相談・要望等についても話し合い、準備、調整等を行い、この際に、入所期間についても検討されます。
終身介護ではないため、このカンファレンス時には、在宅復帰に向けて退所ができるように期間、プランを検討します。
その② 平均所在日数(入所期間)について
介護保険施設の平均所在日数は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は1405日、介護老人保健施設は311日、介護医療院・介護療養型医療施設は482日となっています。
介護老人保健施設は終身介護ではないため、他の介護保険施設に比べ、介護老人保健施設の平均所在日数は311日と短いです。
しかし、介護老人保健施設は在宅復帰を目的としている施設であり、定められている入所期間が原則3ヶ月であることを考えると、平均所在日数が約10ヶ月もあり、大きく超えていることがわかります。
これは、介護老人保健施設に入所したものの身体機能が上がらず自宅に帰れない、自宅で誰も見る人がいないため帰れないという人が増えたためです。
その結果、長期入所となってしまう入所者が増えてしまい、本来の介護老人保健施設の目的とは違っており、課題となっています。
その③ 退所後の行き先
介護老人保健施設における退所者の退所後の行き先については、医療機関が36.6%、自宅が33.1%、死亡が12.0%です。
ここでの自宅というのは、本人の家、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、認知症対応型共同生活介護のことを指します。
介護老人保健施設は、病院と在宅との中間点としての役割を担っており、在宅復帰を目指す施設です。
しかし、まだ自宅へ帰る人の割合は少なく、退所後は医療機関へ行かれる方の方が多いのが現状です。
一方施設で死亡する方の割合は12%と少なく、この結果を見ても終身介護の施設ではないということがわかります。
まとめ
この記事では、介護老人保健施設の終身利用や入所期間などの制約について詳しく解説しました。
以下にこの記事についてまとめます。
- 介護老人保健施設は、病院で入院した後に自宅での生活が難しくなった要介護高齢者に対して、看護や介護、医療ケア、リハビリ、日常生活上のサポート等を提供し、在宅復帰を目的とする介護保険施設です。
- 介護老人保健施設は在宅復帰を目的とする施設のため、原則として終身介護ではなく、入所期間は原則3ヶ月と定められており、長期入所はできません。
- 介護老人保健施設は終身介護ではないため、平均所在日数は311日と短く、施設で亡くなられる方は全体の12%です。
入所期間はカンファレンスで検討されます。
退所後はの行き先は医療機関が多く、次いで自宅が多いです。
介護老人保健施設は在宅復帰を目的とした施設であるため、原則的に終身介護はできず、入所期間も定められています。
終身利用をしたい人には介護老人保健施設は向きませんが、リハビリを受けたい方、在宅へ戻りたい方にはぴったりの施設です。
入所期間が決まっており、定期的にカンファレンスがあることも、入所者の退所やリハビリへのモチベーションの向上にも繋がるでしょう。