居室のタイプや加算等によって、介護老人保健施設の費用が異なることはご存知でしょうか。
介護老人保健施設の利用を検討するときには、毎月発生する費用も重要な要素になります。
今回は介護老人保健施設の費用について、とことん解説していきます。
介護老人保健施設の居室タイプとその金額(目安)
介護老人保健施設の居室タイプとその金額は、同室で生活を送る人数やキッチン、トイレの配置状況により異なります。
介護老人保健施設ごと居室タイプと料金は異なりますので、利用を検討している介護老人保健施設の居室がどのタイプになるかを、事前に確認しておきたいところです。
なお介護老人保健施設の居室タイプごとに発生する料金のことを、当記事では「施設サービス費」と呼ぶことにします。
それでは具体的な介護老人保健施設の居室タイプと「施設サービス費」を解説していきます。
その① 従来型個室(基本型)
従来型個室(基本型)はいわゆる1人部屋です。
入所者は割り当てられたそれぞれの部屋で生活することになります。
従来型個室(基本形)に関わらず「施設サービス費」は介護保険の給付対象となり、入所者は「施設サービス費」の1割から3割を負担することになります。
介護保険の給付対象となるサービスを利用したとき、負担する費用の割合は人によって異なります。
介護保険の負担割合は、介護保険被保険者証に記載されていますので確認しておきましょう。
次に従来型個室(基本型)の介護老人保健施設を、1か月間(30日間)利用したときに発生する「施設サービス費」を介護度別に紹介します。
なお「施設サービス費」の負担割合は1割とします。
その② 従来型個室(在宅強化型)
従来型個室(在宅強化型)の介護老人保健施設では、居室の作りは先ほど解説した「その① 従来型個室(基本型)」と変わりありません。
「その① 従来型個室(基本型)」との違いですが、従来型個室(在宅強化型)の介護老人保健施設は、厚生労働省が定める在宅復帰に関する要件を満たした施設です。
厚生労働省により在宅復帰・在宅支援機能が高いと認められた施設と言えるでしょう。
病院から自宅までの橋渡し的な役割で介護老人保健施設の利用を検討しているのであれば、在宅強化型の介護老人保健施設が適しています。
従来型個室(在宅強化型)の「施設サービス費」は次の通りとなっています。
その③ 多床室(基本型)
多床室(基本型)とは一般的な大部屋で、2~4人の入居者が1つの居室で生活を送ります。
「施設サービス」をおさえられるというメリットがある反面、個人のプライベートが確保しにくいというデメリットが存在します。
多床室(基本型)の「施設サービス費」は以下の通りです。
その④ 多床室(在宅強化型)
多床室(在宅復帰型)は居室タイプが多床室でありつつ、在宅復帰・在宅支援機能が高いと認められた介護老人保健施設が該当します。
多床室(在宅復帰型)の「施設サービス費」は以下のようになっています。
その⑤ ユニット型個室(基本型)
ユニット型個室(基本型)の介護老人保健施設では10人の入所者が1つのユニットを組み、日々の生活を送ります。
居室のタイプは個室ですが、リビングやトイレ、キッチンなどはユニットに属している入所者で共有することになります。
ユニット型個室(基本型)の「施設サービス費」は次の通りです。
その⑥ ユニット型個室(在宅強化型)
ユニット型個室(在宅強化型)は先ほど紹介した「その⑤ ユニット個室型(基本型)」と同じ施設の作りで、在宅復帰・在宅支援機能が高いと認められた介護老人保健施設になります。
ユニット型個室(在宅強化型)の「施設サービス費」が次のようになっています。
その⑦ ユニット型個室的多床室(基本型)
ユニット型個室的多床室(基本型)では大部屋を間仕切りで仕切り、それぞれのスペースで日々の生活を送るという点が大きな特徴です。
リビングやトイレ、キッチンなどの設備はユニット型個室と変わりありませんが、居室の作りがユニット型個室と大きく異なる点に注意が必要です。
ユニット型個室的多床室(基本型)の「施設サービス費」は次の通りです。
その⑧ ユニット型個室的多床室(在宅強化型)
ユニット型個室的多床室(在宅強化型)は施設の作りは「その⑦ ユニット型個室的多床室(基本型)」と同じであるものの、在宅復帰・在宅支援機能が高いと評価された介護老人保健施設です。
ユニット型個室的多床室(在宅強化型)の「施設サービス費」は次のようになっています。
介護老人保健施設の加算について
加算とは介護老人保健施設が提供している、サービスの内容や職員の配置状況によって発生する追加料金のようなものです。
各種加算は介護保険給付対象となり、「施設サービス費」と同じように利用料金の1割から3割を負担することになります。
介護老人保健施設ごとに発生する加算が異なりますので、加算で発生する料金についてわからないことがあったら、介護老人保健施設の請求を担当している部署に確認を行いましょう。
次に代表的な加算の一部を紹介していきます。
介護老人保健施設の料金に含まれないもの
介護老人保健施設の料金に含まれないものは散髪代や洗濯代などがあり、これらの料金は利用ごとに実費での支払いになります。
介護老人保健施設の料金に含まれるものだと思いサービスを利用した結果、後ほど利用料金の請求が来てしまったということがないように、介護老人保健施設の料金に含まれないものを確認していきましょう。
その① 散髪代
散髪代に関しては介護老人保健施設の料金には含まれません。
カットのみやカット・顔そりつきなど、施設が委託している業者によって対応できることがことなりますので、気になる方は確認しておきましょう。
その② 洗濯代
業者委託により洗濯を希望した場合には、介護老人保健施設の料金に含まれず実費となります。
その③ 嗜好品
個人の嗜好品に関しても、介護老人保健施設の料金に含まれないので実費となります。
ただし療養管理の観点から、施設によっては飲料物など嗜好品の持ち込みについて制限されることがありますので、嗜好品については事前に確認しておくことをおすすめします。
次の項目では介護老人保健施設の料金に含まれるものについて解説していきます。
介護老人保健施設の料金に含まれるもの
介護老人保健施設の料金に含まれるものにはオムツ代や薬代があります。
その① オムツ関係
オムツ代やオムツカバー代、オムツを洗濯した時の料金は介護老人保健施設の料金に含まれるため、実費で負担する必要はありません。
その② 薬代
薬代に関しても介護老人保健施設の料金に含まれるため、別途請求されることはありません。
一方で薬代が介護老人保健施設の料金に含まれることにより、高価な薬を服用している方は入所が難しくなる場合があります。
高価な薬を服用している方の入所を希望する場合には、介護老人保健施設の入所関連を担当している窓口に確認しておいた方がよいでしょう。
介護老人保健施設も負担限度額認定の対象になる
介護老人保健施設も負担限度額認定の対象になるため、負担限度額認定の対象者は利用しない手はありません。
次に負担限度額認定がどういったものなのかについて解説していきます。
その① 負担限度額認定とは
負担限度額認定とは所得や預貯金が一定の要件を満たした場合、介護老人保健施設や介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などを利用した時の居住費と食費が一部減額になる制度です。
負担限度額認定は所得の状況によって、4つの段階に区分され、第1段階の負担限度額が最も低く設定されています。
負担限度額以上の居住費、食費が発生したとしても、実際に支払う金額は負担限度額になるのです。
例えば1日当たりの居住費に関する負担限度額370円であった場合、1日当たり650円の居室代が発生する介護老人保健施設を利用したとしても、実際に支払う金額は1日当たり370円になります。
このことから負担限度額が低ければ低いほど、介護老人保健施設を利用するにあたり金銭的な負担も低なることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
負担限度額認定を利用するには、施設に入所した方が住んでいる市区町村から発行される「負担限度額認定証」が必要になります。
負担限度額認定の申請は市区町村の介護保険を担当している課にて行います。
その② 負担限度額認定の対象者
負担限度額認定の対象者は、所得と預金額が一定の要件を満たした方になります。
負担限度額認定の必要な要件は以下の通りとなっています。
その③ 負担限度額認定でいくらになる?
負担限度額認定を利用した場合、具体的にいくらくらいになるかを解説していきます。
負担限度額の段階ごとに負担限度額が変化する点に注意が必要です。
負担限度額認定の対象となる方は、自分が第何段階なのかを確認しましょう。
負担段階ごとの居室代、食費は以下の通りです。
まとめ
介護老人保健施設の費用について解説していきました。
介護老人保健施設の費用には「施設サービス費」や加算、居住費や食費などが含まれていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
介護老人保健施設の費用についてまとめると
- 介護保険の給付対象となる「施設サービス費」は居室タイプによって異なる
- 各種加算は職員の配置状況や提供しているサービスの内容によって施設ごとに異なるため、介護老人保健施設の請求を担当している窓口に確認するとよい
- 負担限度額認定は市区町村税の課税状況や収入・預貯金の状況によって負担段階が変わり、負担段階が高くなればなるほど、介護老人保健施設を利用した時の居住費・食費をおさえることができる