40歳以上の方であれば、給料から介護保険料が天引きされるようになります。
この介護保険料は、一律ではないのはご存知ですか?この記事では、第1号被保険者、第2号被保険者それぞれの介護保険料について詳しく解説します。
介護保険料の全国平均について
介護保険制度は、介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるために、平成12年4月1日に施行されたものです。
40歳以上の人には、介護保険への加入と保険料の負担が義務付けられ、介護が必要な状態になったときには、介護サービスを1割の費用負担で利用することができます。
介護保険の運営主体は、市町村や特別区で、介護保険料と地方自治体の税金によって、残りの9割の費用が賄われています。
介護保険料は全国一律ではなく、自治体により差があります。
厚生労働省は、2018〜2020年の65歳以上の方の介護保険料の全国平均が月5869円になると発表しました。
これは前回よりも6.4%値上げしています。
第1号被保険者か第2号被保険者で支払い方法も保険料も違う
介護保険料は40歳以上の方に支払い義務がありますが、65歳以上の方(第1号被保険者)と40歳〜64歳の方(第2号被保険者)では、支払い方法も保険料も異なります。
以下に第1号被保険者と第2号被保険者の違いについてまとめます。
その① 第1号被保険者
65歳以上の方を第1号被保険者といいます。第1号被保険者は原因を問わず、要介護、あるいは、要支援状態と認定されると介護サービスを受けることができます。
第1号被保険者の保険料は、各市区町村が介護サービス給付額の見込みに基づいて3年間の予算を決め、その総額の21%の額を第1号被保険者の保険料としており、それを65歳以上の人数で割って年間の介護保険料を計算しています。
また、本人の前年の合計所得金額及び、その属する世帯全員の課税状況等により、所得段階が分けられ、市町村ごとに所得段階に合わせた介護保険料が決定されます。
第1号被保険者の場合は、「特別徴収」と「普通徴収」という2つの支払い方法があり、原則は特別徴収です。
国民年金や厚生年金をかけていた人、遺族年金の受給者で年間18万円以上を受け取っている方は「特別徴収」という支払い方法になり、国民保険料や住民税などと同じく年金から直接徴収されます。
一方で、年金支給額が年間18万円以下の人や老齢福祉年金や恩給を受け取っている方は「普通徴収」という支払い方法になり、直接市町村に納付書で振り込みをするか、口座振替で納める形になります。
その② 第2号被保険者
40歳〜64歳までの方で、医療保険に加入している方を第2号被保険者といいます。
第2号被保険者の介護サービスの利用は、第1号被保険者とは違い、末期ガンや関節リウマチといった、加齢を原因とする特定疾病が原因で要介護状態になったときに限られます。
第2号被保険者の保険料は、加入している医療保険とともに徴収されます。国民健康保険の被保険者は、国民健康保険税の介護保険分として、世帯ごとに徴収されます。
国民健康保険以外の職場の医療保険の被保険者も、加入している医療保険と合わせて徴収されます。
被保険者が第2号被保険者に該当しない場合であっても、被扶養者が第2号被保険者に該当する場合には、介護保険で被保険者の扱いになり、介護料が発生します。
第1号被保険者は一律でない?その決め方とは?
介護保険の保険料の計算方法は、第1号被保険者と第2号被保険者では異なります。
また、第1号被保険者でも保険料は一律ではなく、市町村や所得段階によって異なります。
第1号被保険者の保険料を決める基準額と所得段階について、次に詳しく説明します。
その① 基準額について
第1号被保険者の保険料は、各市区町村が介護サービス給付額の見込みに基づいて3年間の予算を決め、その総額の21%の額を第1号被保険者の保険料としており、それを65歳以上の人数で割った一人当たりの保険料基準額を算出します。
これは各自治体によって違い、高齢者の多い過疎地では、高くなる傾向にあります。
2018〜2020年の65歳以上の方の介護保険料基準額の全国平均は月5869円です。
その② 所得によって保険料が違う(一覧表でご紹介)
第1号被保険者は本人の前年の合計所得金額及び、その属する世帯全員の課税状況等により、所得段階が分けられます。
先ほどの保険料基準額に所得段階別に応じた係数をかけて、介護保険料が決まります。
第1号被保険者の負担区分の事例を以下の表にまとめました。実際の区分や基準額に乗じる割合は市町村ごとに異なります。
所得段階 | 区分の内容 | 保険料 |
---|---|---|
第1段階 | 生活保護被保護者 | 基準額×0.45 |
世帯全員が住民税非課税の老齢福祉年金受給者 | ||
世帯全員が住民税非課税かつ本人年金収入80万円以下 | ||
第2段階 | 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円超120万円以下 | 基準額×0.75 |
第3段階 | 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等120万円超 | 基準額×0.75 |
第4段階 | 本人が市町村民税非課税(世帯に課税者がいる)かつ本人年金収入等80万円以下 | 基準額×0.9 |
第5段階 | 本人が市町村民税非課税(世帯に課税者がいる)かつ本人年金収入等80万円超 | 基準額×1.00 |
第6段階 | 市町村民税課税かつ合計所得金額120万円未満 | 基準額×1.20 |
第7段階 | 市町村民税課税かつ合計所得金額120万円以上190万円未満 | 基準額×1.30 |
第8段階 | 市町村民税課税かつ合計所得金額190万円以上290万円未満 | 基準額×1.50 |
第9段階 | 市町村民税課税かつ合計所得金額290万円以上 | 基準額×1.70 |
第2号被保険者の保険料の決め方
第2号被保険者の保険料は、介護保険サービスにかかる費用の見込みから、1人あたりの平均負担額を毎年、国が決めています。
その① 国民健康保険加入の場合
国民健康保険に加入している場合は、介護保険料は「所得割」、「均等割」、「平等割」、「資産割」の4つを独自に組み合わせて計算され、介護保険料率も異なります。
所得割は世帯ごとに被保険者の前年の所得に応じて算出されます。
均等割は被保険者一人について課されるもので、平等割は一世帯ごとに課されます。
資産割は所有する土地や家屋に応じて、算出されるものです。これらを合計して保険料が算出されます。
その② 職場の健康保険加入の場合
国民健康保険以外の、協会けんぽや組合管掌健康保険、共済組合など、職場の医療保険に加入している第2号被保険者は、給与や賞与(標準報酬月額)に各医療保険ごとに設定される介護保険料率を掛けて、介護保険料が算出されます。
標準報酬月額は、給与などの報酬を区切りのよい幅で区切って決められているものです。
通勤代や残業代も含まれ、5万8000円から139万まで50等級に分かれています。
そしてこの保険料の支払いは、事業所と被保険者で折半になります。
まとめ
この記事では、介護保険料について詳しく解説しました。以下にこの記事についてまとめます。
- 2018〜2020年の65歳以上の方の介護保険料の全国平均は前回よりも6.4%値上げされ、月5869円になります。
- 第1号被保険者の保険料は、市町村ごとに基準額と所得段階をもとに、介護保険料が決定されます。第1号被保険者は特別徴収、普通徴収の2つの支払い方法があります。
- 第2号被保険者の保険料は、国民健康保険の場合と、それ以外の健康保険の場合で算出の仕方が変わります。第2号被保険者は、加入している医療保険とともに徴収されます。
介護保険料は40歳以上の方には支払い義務があります。通常ならば1割の負担で済むサービスですが、介護保険料を滞納したりすると、全額負担となってしまう場合もあります。
ご自分が将来介護サービスを利用するときのために、介護保険料支払いはしっかりと行いましょう。