日本は地震や台風などの災害が多い国です。
災害により被害を受けた場合は、介護保険料の支払いが困難になります。
そのような場合に保険料の減免制度があるのはご存知ですか?
この記事では、介護保険料の減免制度について詳しく解説します。
災害による介護保険料減免の目的
災害などにより、住宅・家財等に著しい被害を受けた場合や、失業など特別な事情で所得が著しく減少したことで、介護保険料の支払いが困難になったときは、その被害の程度や収入の状況に応じて、利用料の軽減または免除を受けられる場合があります。
災害による介護保険料減免の対象条件について
介護保険料の利用者負担の減免される場合は、以下のような場合です。
- 要介護者等または生計維持者が震災・風水害・火災等で住宅などの財産に著しい損害を受けた場合
- 生計維持者が、死亡または心身の重大な障害等により収入が著しく減少した場合
- 生計維持者の収入が、事業・業務の廃止や著しい損失、失業などで著しく減少した場合
- 生計維持者の収入が、干ばつ・冷害などによる農作物の不作や不漁などで著しく減少した場合
これらのような場合に、介護保険料が減免されます。
また、減免制度の対象となるのは、以下の条件を満たす方です。
その① 減免の申請時点で納期の過ぎてない介護保険料がある
介護保険料が賦課されていて、納期限の過ぎていない保険料がある方が対象となります。
納期限以降の保険料が対象となります。
その② 前年の合計所得額が1000万円以下である
第1号被保険者または、その属する世帯の生計を主として維持する者の前年の合計所得金額が1000万円以下の方が対象となります。
その③ 家財や財産に一定基準の損失を受けた
災害により、自己の所有する居住用の住宅または家財に30%以上に相当する額の損害を受けた方が対象となります。
この損害の額は、保険金などにより補填されるべき金額を除いた額をいいます。
また、店舗など自己の居住用以外の住宅について30%以上の損害を受けていても、自己の居住住宅に損害がない場合は、減免の対象とはなりません。
減免割合について
前年中の合計所得金額と居住用住宅又は家財の被害割合に応じて、原則として納期限の過ぎていない保険料について減額または免除されます。
減免の割合を以下の表にまとめます。
上記のように、災害による損害を受けた場合、介護保険の給付率が90/100を越え、100/100以下の範囲内において、市町村が定めた割合に減免されます。
利用者負担割合は9〜0%に減免されます。
申請場所や申請に必要なもの
<申請場所>
各自治体の市役所等の介護保険の窓口
<申請時に必要なもの>
- 介護保険料減免・猶予申請書
- 同意書(市役所等のホームページよりダウンロード可能)
- 罹災証明書(市役所等の担当課で発行可能)
- その他損害の内容が分かるもの
- 保険金・共済金等で損害の補填がある場合、その金額が分かるもの
- 認印
(市役所等のホームページよりダウンロード可能)
<申請期限>
納期限の7日前までに申請する必要があります。
減免・猶予は第1号被保険者からの申請が必要になります。
過去に該当した災害
過去に該当した災害について、いくつか紹介します。
- 平成17年9月 台風14号
- 平成23年3月11日 東日本大震災
平成17年9月の台風14号において、九州・四国・中国地方を中心に日本全国に大きな被害を与えました。
この災害を受け、住宅または家財に30%以上に相当する額の損害を受けた方、農作物の減収による損失額が平年の収入額の30%以上ある方を対象に、被害を受けた日以降に納期の到来する保険料額の減免の条例が発表されました。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋地震及びこれに伴う原子力発電所の自己による災害)の被災者に対して、介護保険料の減免の条例が発表されました。
対象となる方は、住宅に損害を受けた方、世帯の生計を主として維持する人が死亡または障害者、行方不明となった方、世帯の生計を主として維持する人の事業収入等の減少額が平年の収入額の30%以上ある方、原子力災害対策特別措置法により避難・立ち退きの対象の方などです。
平成23年3月11日から平成24年9月30日までの間に納期限が設定されている保険料に対して減免が行われました。
まとめ
この記事では、災害による介護保険料の減免について詳しく解説しました。
以下にこの記事についてまとめます。
- 災害などにより、住宅・家財等に著しい被害を受けた場合や、失業など特別な事情で所得が著しく減少したことで、介護保険料の支払いが困難になった場合は、その被害の程度や収入の状況に応じて、利用料の軽減または免除を受けられます。
- 減免の申請時点で納期の過ぎてない介護保険料がある、前年の合計所得額が1000万円以下である、家財や財産に30%以上の損失を受けた場合が対象となります。
- 前年中の合計所得金額と居住用住宅又は家財の被害割合に応じて、13〜100%の割合で減免されます。
- 台風14号や東日本大震災など、過去に起こった災害も該当し、介護保険料の減免の条例が発表されました。
災害の被害に遭ったときには、家族や自宅のことが第一で他のことまでは頭が回らないかもしれません。
しかし、この介護保険料の減免制度は、自ら申請する必要があり、申請をしないと受けられないものです。
災害時までも介護保険料を全額支払い続けるというのは難しいもので、減免を受けると経済的に余裕ができます。
知識として頭に入れておき、いざ災害に遭ったときに、スムーズに申請を行えるようにしておきましょう。